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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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モモの古い言葉

【本文】

 迂回路の試験中、モモが第十迷宮の空台座へ向かった。

 桃色の体を台座へ乗せると、いつもの短い言葉ではない音が漏れる。

《M-00、地上補助槽の再封鎖を申請》

 直後、モモは半分ほどに縮み、湊の腕へ落ちた。完全な権限はなく、申請だけで力を使い果たしたらしい。

 冷たい世界の声は《不正管理核を検出》と告げ、モモの回収に高得点を付ける。

 誰も触れさせない。小春が餌と清潔な水を用意し、治癒も追加申請もさせず休ませる。

 台座には《補助槽再封鎖・共同承認者二名不足》と表示された。空欄報酬の《共同承認者》と同じ語である。

 湊と澪が所有者として触れても、一名分しか埋まらない。人間の所有者二人を一つと数え、別種の管理者を求めている可能性がある。

 今は解読を続けない。モモの正体を答えへ変えるより、縮んだ体を戻すことを優先する。

 古い言葉が示したのは、血獣を殺す命令ではなく、壊れた檻を閉じ直す手順だった。

 モモの体重と体積を小春が測り、第百五十六話以前の半分以下と記録した。魚肉ソーセージへ反応はしたが、一口で眠る。湊は台座から離したくなかったが、医療区画の待機箱へ戻す判断を澪へ任せた。台座表示は写真、時刻、音声の三形式で保存し、中央隊には原本でなく写しを渡す。不正管理核という表示だけを理由にモモを危険物へ分類させない。共同承認者の空欄も今回埋めず、第518話までの伏線を早期解決しない。

 モモの待機箱には面会者を一人ずつに制限した。心配した住民が餌を大量に入れないよう、回復量も掲示する。

 回復するまで台座へ戻さない。

(次話へ)

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