封鎖率四十二%
【本文】
排水、水脈、振動、動物の四線を弱めたのに、地上隔離槽の封鎖率は五十四%から四十二%へ落ちた。
保守音声は《内圧上昇》を告げる。外へ逃げていた侵食を止めたため、試験場内部へ溜まり始めたのだ。
封鎖は正しかったが、出口のない容器になっている。
奈々は第三迷宮の循環槽へ細い迂回路を作る案を出す。ガンゼが管理する温泉水路なら、侵食を薄めず隔離容器へ移せる可能性がある。
湊の《分配》で水門操作を繋げれば早い。しかし過負荷から回復したばかりで、複数設備の同時分配は禁止されている。
代わりに奈々、鉄平、アクア、ガンゼが別々の弁を時刻表で開閉する。通信が一秒ずれても逆流する。
試験運転は十秒。黒粒子が第三迷宮側の空槽へ移り、内圧が一度だけ下がった。
空槽容量は全体の八%。永久の解決ではない。
残り表示は七日へ縮む。外へ漏らさず、中へ溜めすぎず、別の隔離槽へ少しずつ移す作業が始まった。
時刻表は紙、白い無線、機械時計の三つで同期した。世界の声の時刻表示は使わない。代替制御体が弁操作へ干渉する可能性を避けるためだ。十秒試験の間、体育館井戸と第三迷宮温泉区画には人を入れず、逆流時の退避線を空けた。空槽へ移った黒粒子は消えておらず、封印番号と容量を付ける。ガンゼが受け入れたから安全とは決めず、甲殻温度と循環水を測る。八%の猶予を討伐時間ではなく、次の安全な運転条件を探す時間に使った。
運転記録には成功だけでなく、通信遅延、弁の温度、担当者の疲労も書いた。次回は同じ四人を連続配置しない。
紙の時刻表も封印した。
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