爆薬の封印
【本文】
中央討伐隊の輸送車で、爆薬の封印が破られていた。
持ち出した隊員二人は、試験場外壁へ仕掛ければ核を露出できると主張した。倉橋の命令か、独断かは確認できない。
安西は武器を向けず、相馬と倉橋を無線へ呼ぶ。封印番号、持出時刻、目撃者、爆薬量を読み上げる。
その間にも黒膜が爆薬へ細い線を伸ばした。岳が《荷重固定》で箱を動かなくし、ゴーレムが防振容器を被せる。
隊員の一人が起爆器へ手を伸ばしたため、中央側の護衛が取り押さえた。地域網が中央隊員を拘束する形にはしない。
爆薬は橋南側へ戻さず、県庁管理の空倉庫へ封印する。黒粒子が付着していないか検査し、相馬、倉橋、安西が共同署名した。
世界の声は《討伐妨害》として湊の行政評価を下げた。
評価が下がっても、隔離槽を爆破させない。
倉橋は二人を任務から外したが、討伐命令自体は撤回しなかった。火力を止めたのは決着ではなく、次の誤作動を防ぐ一日分の猶予だった。
外された二人の氏名は住民掲示へ出さず、行為、危険、処置だけを公開した。中央隊全体を爆破者として扱えば、観測に協力する隊員まで対立側へ押しやる。倉橋には全封印番号の再点検を求め、地域網側の発炎筒や燃料缶も同じ表で確認した。黒膜が伸びた防振容器は開けず、第三迷宮の空槽近くで隔離する。起爆器は電池を抜き、別の箱へ封印した。一度止めた爆薬が後で使われないよう、物と判断経路の両方を切り離した。
倉橋は再点検中、部下の武器を一時的に集中管理した。地域網側はその保管場所へ立ち入らない。
封印倉庫の見張りも二人交代とした。
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