子どもの仕事
【本文】
子どもたちも仕事をしたいと言い始めた。
生活スライムへ名前を付けた者、食器を運べる者、小さな文字を読むのが得意な者。大人だけが忙しく、自分たちは守られているだけに見えるのが嫌だった。
真理は子ども班を労働名簿へ入れなかった。代わりに、学習時間の中へ町の手伝いを置く。清潔な札の確認、紙の枚数数え、野菜苗の観察、床灯の点検。危険区域、薬品、夜勤、重量物は禁止する。
参加は三十分までで、途中で遊びへ戻ってよい。成果が配給へ影響することもない。
手伝いのない日も、普段からの学習と遊びの予定を先に守った。
結衣は医療区画の清掃粘体を見たいと希望したが、喘息がある。小春は埃のない待機箱で濁りと動きを記録する役だけを許可した。
子どもが書いた観察票には、「いつもより返事が遅い」「餌を残した」という大人の台帳にない言葉が並んだ。測定値ではないが、異変の早期発見に使える。
その日の終わり、手伝いをしなかった子も同じおやつを受け取った。
町へ参加する方法はあっても、子どもでいる時間を差し出す義務はなかった。
大人の一人が、手伝った子だけへ特別な菓子を渡そうとした。感謝のつもりだったが、手伝えなかった子が次回の危険作業へ参加したがる原因になる。真理は個人の贈り物を禁じず、学習時間の後に全員で分けるよう頼んだ。感謝は掲示板へ仕事内容を書き、町の役に立ったことを伝える。競争順位や優秀者の札は作らない。子ども班の観察票も、大人の責任者が確認してから設備判断へ使い、間違いを子どもへ負わせなかった。
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