登録の外側
【本文】
仮登録の審査期限が残り一分になった。
世界の声は《行政陣営》と《独立勢力》の二択を表示している。どちらを選んでも、地域網の百二十人は同じ陣営へ一括登録される。
湊は選ばない。
代表会議で決めたのは、県庁との連絡を続け、物資と情報を交換し、中央命令は内容ごとに確認することだった。協力関係は、世界の声が用意した陣営名と同じではない。
期限が零になる。
《選択なし。施設G-17を独立勢力――》
冷たい声を、空欄報酬の白い画面が遮った。
《共同承認者未登録。単独決定を保留します》
地域網の表示は《選択保留》のまま残る。湊は画面へ触れていない。空欄報酬が以前設定した「自動登録を止める」機能だけを繰り返したようだった。
直後、相馬から連絡が入る。県庁はG-17を独立施設ではなく、連携避難圏として暫定登録した。個人名簿なしで薬と燃料の申請を続けられる。ただし中央査察は中止されていない。
食料は地域網二十三日、体育館八日。燃料十三日。数字に余裕はない。
それでも、登録されなければ助け合えないという境界を一つ越えた。
四日後に来る査察隊が、同じ線を認める保証はなかった。
相馬は暫定登録の条件として、週一回の集計、緊急搬送の結果、受領物資の使用記録を求めた。地域網側も、県庁の保管状況と第三者提供の有無を同じ頻度で報告してほしいと返す。監査される側だけが透明になる関係にはしない。双方が見せられない情報を持ち、必要な範囲を交渉する。その細い合意が、命令でも陣営でもない最初の行政連携になった。合意文は両避難所へ掲示された。
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