仮番号G-17
【本文】
相馬は県庁端末へ仮登録欄を作った。
中央の様式を勝手に変更すれば処分対象になる。それでも個人名を平文で送れば、停電復旧のたび複製される共有サーバーへ残る。
施設番号G-17。所在地は市町村単位、所有者は県確認済み、収容者は地域網百四十九人と外部連携避難所九十三人。患者情報は必要薬と搬送条件だけを記す。
相馬は自分の職員番号で承認した。上司も共同承認欄へ署名する。
送信すると、中央端末は三項目の不足を警告した。氏名、正確な座標、陣営。十秒後、《仮受付》の表示へ変わる。
同時に世界の声が地域網へ告げた。
《施設G-17を行政陣営の審査対象に登録。所属確定まで二十三時間五十九分》
湊たちは所属を申請していない。相馬の仮受付を、世界の声が陣営選択へ利用したのだ。
空欄報酬の白い表示が一瞬だけ開き、《共同承認者――未登録》という行を映す。
湊が触れる前に画面は閉じた。今使えば何が起こるか分からない。
朔は映像を保存し、登録時刻と二種類の音声を並べる。
仮番号は名前を守ったが、新しい期限を呼び込んだ。守るべきものが増えた以上、登録を成功とは呼べなかった。
相馬は仮登録の控えを印刷し、電源を落とした保管庫へ入れた。端末上の履歴だけでは、中央から修正された時に比較できない。県庁側の原本、地域網へ送る写し、橋で交換する封印文書の三つを残す。効率は悪いが、通信障害や命令変更の後でも、誰が何を申請したかを証明できる。上司は処分が来た時の責任を相馬一人に負わせず、同じ控えへ署名した。控えの番号も地域網へ伝えた。
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