↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
122/396

返事を書く県職員

【本文】

 相馬遼は、県庁地下の災害対策室で安西からの返信を三度読み直した。

 送信元、利用目的、保管方法、支援内容。どれも当然の質問だった。だが中央再建評議会から届いた様式には、所有者氏名、能力、施設座標、収容者全員の陣営と健康状態を記す欄しかない。

 県庁に残る職員は二十七人。サーバー室は発電機で一日六時間しか動かせず、受け取った名簿を安全に保管できる保証もなかった。

 相馬は上司へ、群馬北部の施設は概数のみ回答、詳細提出には条件確認が必要と報告する。

「拒否と書くな。照会中だ」

 上司も命令へ逆らいたいわけではない。県内の避難所を結び、薬と燃料を配るには人数が要る。しかし漏れた座標が襲撃者へ渡れば、行政が危険を作る。

 相馬は定型文を消し、自分の言葉で返信した。

『県庁危機管理課、相馬遼。現在の保管設備では個人名簿を保護できません。先に必要物資、搬送可能路、重症者数を共有してください』

 送信直後、端末から冷たい声が流れる。

《所有権登録により行政保護を適用します》

 その下で、別の掠れた音声が重なった。

《隔離座標の外部登録は、保護境界を開示します》

 二つの声は、同じ登録を正反対の言葉で告げていた。

相馬は音声を録音し、安西への返信へ添付する。判断を県庁だけで抱えないためだった。

対策室では別の職員が、南部避難所から届いた紙の名簿を写真にしていた。通信容量が足りず、画像は途中で欠ける。死亡者と避難者の欄が重なった一枚もある。正確な名簿が必要という中央の前提そのものが、今の県庁にはなかった。相馬はG-17だけを特別扱いせず、全避難所に同じ保護基準と訂正手順を作る提案も報告書へ加えた。

(次話へ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。