生活班の名簿
【本文】
生活スライムの世話係が、正式に生活班として登録された。
責任者は一人置かない。清掃、冷却、濾過、警戒の担当を分け、それぞれに二人以上の代行者を置く。
班員には子ども、高齢者、体力仕事ができない避難者もいた。スライムの札確認、餌の計量、濁りの記録なら座ったままでもできる。
結衣は医療区画の清掃粘体を担当した。喘息があるため、埃の多い排水路には入らない。自分の体調と個体の状態を同じ用紙へ書く。
世話係になれば配給が増える制度にはしなかった。仕事ができない日を罰にしないためだ。夜勤や重作業で必要量が増える場合は、仕事の地位ではなく消費量として調整する。
スライムにも番号だけでなく呼び名が付き始めた。
湊は止めなかった。ただし台帳上の個体番号は残し、似た色の個体を取り違えないようにする。
人間が名前を付けたことで、使い潰しにくくなるなら意味がある。
生活班の最初の目標は効率ではなく、一週間、一体も失わず仕事を続けることになった。
呼び名は食べ物や色から自然に生まれた。台帳には「ミズ」「シロ」など似た名が並び、聞き間違いが起きる。生活班は呼び名の横に区画名と番号を必ず付けることにした。子どもたちは反発したが、別の個体へ薬品汚れの作業をさせないためだと説明すると、自分たちで違う名を考え直した。名前を付けることにも世話の責任が伴った。
班員は毎日の終わりに、働けた個体だけでなく休ませた個体と理由も報告する。何もしない日も管理の一部だった。
名簿には代行可能な仕事と、できない作業も記された。
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