↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
116/396

清掃班の失敗

【本文】

 生活スライム班の最初の仕事は、食堂裏の排水路清掃だった。

 人間三人と清掃粘体四体。経路へ丸印を置き、汚れを回収箱まで運ばせる。

 開始十分で、一体が排水口へ入り込んだ。奥の油汚れを追い、戻れなくなったのである。

 世話係が棒で引き出そうとすると、体が裂けかけた。湊は《領域編集》で排水路の側面を開き、粘体を回収する。

 体は黒く濁り、動かない。モモの治癒を使わず、清潔な水と待機箱で休ませた。二時間後、ようやく薄い色へ戻る。

 失敗の原因は、スライムが命令へ逆らったことではない。「奥まで汚れを取る」という曖昧な印だった。

 経路の終点へ壁を置き、汚れが残っても越えさせない。人間が最後に点検し、届かない場所は器具で清掃する。

 作業時間も二十分から十分へ短縮した。

 清掃効率は下がった。それでも一体を使い潰すより長く続く。

 事故記録には、助けた湊の名より、間違った指示を作った人間側の改善点が大きく書かれた。

 待機箱にも問題が見つかった。汚れを吸った個体と休息中の個体を同じ箱へ入れると、汚れが移る。清潔、作業後、要観察の三つへ分け、蓋の形も変えた。子どもの世話係が間違えないよう、文字だけでなく凹凸の札を付ける。事故に遭った個体は番号と時刻を記録し、元気に見えても一日作業へ戻さないことにした。

事故写真は責任追及のためではなく、同じ排水路へ別の班を入れないため共有した。待機箱の位置も図面へ加える。

翌朝、回収された個体は餌へゆっくり近づいた。世話係は喜んだが、作業復帰の印は付けなかった。回復したように見えることと、安全に働けることは別だからだ。小春が体積と反応速度を測り、平常値へ戻るまで観察を続ける。班全員が、その判断を待った。

(次話へ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。