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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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最初の代表会議

【本文】

 地域網と市民体育館の代表が、初めて同じ場所で会議を開いた。

 参加者は湊、千鶴、安西、由香、文、誠、拓郎、体育館職員。所有者や公務員だけで決めない構成にした。

 議題は水、食料、医療、救助、情報、治安の六つ。

 体育館側は地下の物資量が見えず、不公平を疑う。地域網側は、送った物が誰へ渡ったか分からない。双方の帳簿形式が違うため、同じ箱を別の数え方で記録していた。

 誠と拓郎が共通の箱番号を提案する。発送、到着、配布、空箱返却を一つの番号で追える形にする。

 治安については、武器を持つ自警団を作る案が出た。安西は、訓練なしの武装が避難者同士へ向く危険を説明する。見回りは二人一組、武器ではなく無線と照明を持つことに決まった。

 会議は三時間続き、全ての意見は一致しなかった。

 決まらなかった項目も、次回までの確認担当と期限を置く。

 湊は会議を支配しなかった。最後に迷宮設備で可能なことと不可能なことを説明し、議事録へ署名する。

 地域網は、所有者一人の避難所から、異なる不安を持つ人々が運営する場所へ変わり始めた。

 議事録は難しい言葉を減らし、食堂と体育館の入口へ一部ずつ掲示した。反対意見も削除しない。採用されなかった案には、理由と見直し条件を書く。水量や避難者数が変われば、今日の決定が明日も正しいとは限らない。会議へ参加できない夜勤者や患者には、後から意見を書ける欄を用意し、次回冒頭で必ず読むことにした。

 代表任期は一週間とし、同じ人だけが席を持ち続けない。引き継ぎに必要な資料も最初から作る。


(次話へ)

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