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世界の声が鳴る前に、俺たちは十のダンジョンを攻略していた――崩壊した日本で家族を守る高校生たちの拠点防衛記  作者: 竜太郎


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消防署の地図

【本文】

 消防署の壁一面に、救助要請の地図が広げられた。

 赤は生命危機、黄は孤立、青は物資不足、黒は進入不能。安西は通報順ではなく、残り時間と到達可能性で班を割り当てる。

 救助班は疲れていた。公開から休めていない隊員もいる。出動できる車両は燃料制限で二台、残る移動手段は自転車とゴーレムだった。

 地域網から来た能力者だけを頼れば、湊たちが倒れた時に全て止まる。安西は一般隊員へ、影獣と戦わず避ける方法、入口の人数表示、迷宮へ近づかない避難線を教える。

 訓練中、若い隊員がゴーレムを信用できないと言った。安西は無理に触らせず、人間の隊員と組ませ、運搬だけを任せる。

 地図には、まだ向かえていない赤い印が三つあった。

 安西は一つを隠さず、地域網と体育館へ共有する。誰も行けない事実を知らせ、近くにいる一般人から情報を募る。

 十分後、体育館の避難者から、赤い印の家へ通じる裏道があると連絡が入った。

 救助は消防署だけで完結せず、町に残る人の記憶を借りて道を作り始めた。

 出動できない赤い印には、近隣の井戸、農道、住民名も書き足した。地図上の直線距離が近くても、崩れた橋や侵食区域があれば到達時間は延びる。安西は隊員へ、無理に到達して救助者まで孤立することを禁じた。撤退した班は失敗扱いにせず、通れなかった場所と時刻を次の班へ残す。戻る情報が次の道を作る。

 地図の更新時刻は一時間ごとに書き、古い安全情報を信じて班を送らない。黒い印も再確認予定を残す。

 隊員の勤務時間も地図の横へ置き、道があっても疲労した班を連続出動させない。

(次話へ)

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