惨状
「……なんだよコレ……全部燃えて……」
「透流太、気をシッカリ持って!まずは生存者を……」
——時は少し遡る。
ニューモートの目と鼻の先まで辿り着いた透流太たち。
森を抜け、開けた場所に出た所で、ガントフォースの野営地を発見する。
「ん?なんかテントが並んでるけど……」
「あの旗はガントフォース……と言うことは先行していた部隊ね」
一行は野営地へと向かっていく。だが、そこで4人が目にした光景は……。
「コッチ!早くクスリを!」
「重傷者だ!通してくれ!」
そこには、さながら最前線のような光景が広がっていた。
次々とタンカで運ばれてくる兵士たち。十分な手当が行き届かず、地べたにへたり込む者も数え切れない。
「なん……だ。何が起きているんだ!?」
寧々が1人の兵士を呼び止め事情を聞く。
「おい、どうした!何があった!私だ、分かるな?ソニック・ウイングだ!」
「ソニック元中隊長!それが……敵の待ち伏せがありまして……まずはビリー中隊長の所へ!」
野営地の最奥、一際大きなテントに設けられた仮設本部へと案内される寧々たち。
「ビリー中隊長、援軍です!ソニック元中隊長が来てくれました!」
そこに居たのは、全身に包帯を巻き、松葉杖を突きながらも軍の指示に当たっていた八輝星、一点突破・《ブレイキング・ビリー》の姿があった。
「ソニック、いや今は音之羽だったか。有り難い、来てくれたのか。援軍は何人だ?100か?200か?」
満身創痍のビリーの姿を見て驚きを隠せない寧々。
「ビ、ビリー……何があったの!アナタほどの男が……こんな」
一点突破・《ブレイキング・ビリー》、実行部隊の中隊長。
赤錆の破軍・《アルカイド・ラスティ》が退役後のガントフォースを支えた精神的支柱。
当時、新米中隊長であった寧々からは兄のように慕われていた。
「……待ち伏せだ……ニューモートへ入る所を襲われた。通信兵を真っ先に狙った手際から見て、かなり対人戦慣れしてやがる……だが、ここで引き下がる理由には……」
満身創痍の体だが、その眼光から鋭さは一切消えていなかった。
「ビリー、無茶しないで。それに私たちは確かに援軍だけど……」
一瞬、真実を伝えるのをためらう寧々。
「私たちは……ここに居る4人だけよ。かの地から直接ここへと派兵されたのよ」
寧々のその言葉に落ち込むどころか、笑みを浮かべ答えるビリー。
「4人だからって援軍は援軍、来てくれただけでも有難い。しかもそれが音之羽の部隊なら尚更だ」
そう言って他の三人に挨拶をするビリー。
「良く来てくれた、オレはブレイキング・ビリー。気軽にビリーと呼んでくれて構わない」
「オレは減田透流太。サニーさんの命令でここに来たけど……ニューモートはオレの生まれ故郷です」
「アタシはマイ。久遠マイよ……って知ってるわよね?」
「……ビリー、久しぶり。私の今の名前は久遠メイ」
3人の経緯を聞き、驚きを隠せないビリー。
「なにっ!?ニューモート出身だって!?……まぁ、そうだな。とりあえず自分の目で見た方が良いな……。それとお前たち、ナンバーズの双子だよな!?音之羽、オマエの部隊、どうなってんだ!?」
「彼らは部隊と言うよりも、仲間……って言ったら良いかしら。双子に関してはソフィアからお願いされてね、同行してもらってるのよ」
そんな双子の生き生きとした顔を見て笑みをこぼすビリー。
そしてビリーの口から告げられる事実。
「実はな……通信担当の隠密部隊が真っ先に狙われた。そしてスージーは、隠密の部下を逃がすために一人で敵を引き受けて……重傷を負った」
「スージーが!?そんな……フロウになんて言えば……」
寧々の反応に、ビリーが答える。
「そうか、ペトリコールの所から来たんだったな。重傷だが会話は可能だ、会いに行ってくれるか?」
*****
ここは負傷者を集めたテント。
スージー・9を探す寧々の目に飛び込んできたのは、かつての寧々の片腕であり追従者、砂塵の歛葬・《サンセット・ダリヤ》であった。
「ダリヤ!アナタも来てたのね!」
寧々の声に反応し振り返るダリヤ。
「先輩……!?うっ、うっ、先輩、来てくれたんですね」
寧々の顔を見るなり、大粒の涙を流すダリヤ。
その涙の理由とは……。
その身に負った損傷か、拭いきれない心の影か。
運命の螺旋は、糸を引くように絡まっていく……。
「うわぁ~ん、せんぱ~い」
—to be Next world—




