再会
「おやおや、まさかこんな辺境でお会いできるとは。その節はありがとうございました♪」
その人物はデステ兄さん本人で間違いなかった。
「あっ、やっぱりデステ兄さん!ひっさしぶりじゃん!元気だった?って言うか、何でこんな所にいんの?」
久しぶりの邂逅にテンションの上がる透流太。
「お久しぶりです、その節はお世話になりました。アナタから譲り受けたこの剣が無かったら、今こうしてここには居られなかったかもしれません」
「はいはい、あなた様もご一緒でしたか~。と言うかその節はまだお名前を伺っておりませんでしたね」
「あぁ、あの頃はまだ真名を授かってませんでしたからね。今の私の名は音之羽寧々(おとのはねね)と申します」
「ところでデステ兄さんよ~。あんとき夢に出てきたのって、デステ兄さんだよなっ?」
そうです、あの少年と出会った夜、透流太の夢の中に現れたのは間違いなくデステ兄さんでした。
「はて?何の事やら?……まぁ、夢は夢でごさいますからね~♪」
何かはぐらかされたような感じで腑に落ちない透流太。
「……ところで、音之羽さま。アナタ、なにやら良くない感じがしますねぇ。いえいえ、これは単に商人の感みたいなモノでして。そこで……」
デステ兄さんが乗り物のトランクの中をゴソゴソと漁りだす。
「あったあった。それでは、コチラを差し上げます。な~に、お守りみたいな物ですよ♪」
それは綺麗な青い石がはめ込まれたペンダントでした。
「実は指輪もあるんですが~……やはり指輪ってのは気になる異性から贈られるのが一番でございますからね♪」
そう言って透流太の方をチラッと見るデステ兄さん。その言葉に顔を赤くする寧々。そして何食わぬ顔の透流太。
「……音之羽さま、苦労しますよ……」
デステ兄さんの口角が少し上がったような気がした。
「ねぇねぇ、おじちゃん。ほかには何があんの~!?」
「……可愛いの欲しい……」
そこへ、メイとマイもやってきました。
「これはこれは、可愛らしいお客様でございますね~。では、取って置きをお出しいたしますね」
デステ兄さんはそう言って、またトランクをゴソゴソと漁りだす。
そして大量のオモチャを取り出したのでした。
「わぁ~、アタシこれが良い!」
「……この子、ピーちゃんのお友達……」
そう言ってマイが選んだのは浮遊型ロボット。そしてメイはウサギのぬいぐるみを選びました。
「はいよ~。じゃあデステ兄さん、寧々のペンダントも一緒にオレのポイントで支払うよ」
グラフィックギドラーを差し出し、会計を済ませる透流太。
「毎度どうも♪そして、コチラは再会の記念に、サービスでお付けしますね」
そう言って透流太の手に何かを握らせるデステ兄さん。それは光る鉱石がはめ込まれた指輪でした。
「ほらほら、彼女にプレゼントの一つくらい、いかがですか♪」
「べ、別に寧々は彼女とかじゃねーし。で、でもまぁ、くれるってんなら貰っておくけどよ……」
そう言い残すと一礼をし、かの地の住人たちの輪の中へと消えていくデステ兄さん。
*****
「そう言えば、寧々。先生には会ったのか?」
「えっ、義理父がここに居るのか!?だって引退して旅に出るとかって言って。そしてそれっきり……」
「あっ、そっか。知らなかったんだ。実は先生、引退した後に何してたと思う?もうさ、聞いたら驚くぜ~」
アッシュが言う先生、寧々も知っている口ぶりのその人物に会いに行く事となった。
「せんせ~、居る~?ビックリするお客さん連れてきたぜ~」
「ん?アッシュか。俺に客って、写世からか?」
そこに現れたのは、背は高く体格の良い、頬に傷のある男だった。そして纏っている雰囲気は明らかに普通の人のそれではなく、まさに抜身の刀のような鋭さを放っていた。
「おとうさん……いえ、ラスティ師匠、お久しぶりです!私です。№1225、ソニック・ウィングです!」
「ん!?おぉ、ウィングじゃねーか。久しぶりだな。元気にしてたか」
「はい、師匠のお陰です。そして今は真名も与えられ、特隊員の使命を与えられています」
この人物は元八輝星。そして寧々の義理の父であり前任者、実行部隊・第一部隊の元中隊長、赤錆の破軍・《アルカイド・ラスティ》であった。
「ラスティ師匠、ガントフォースを退役した後は旅に出るとかおっしゃってたのに。まさか、かの地にいらっしゃったなんて」
「ん?あぁ、それか。ほら、あのヤローによ。仕返しするために戻って来たんだよ。で、そのままここに居ついちまったって訳だ」
「まさか……あの変異龍を追って、戻って来ていたなんて……」
「あぁ、負けっぱなしじゃ座りがわりーだろ?それに、あんなヤツを野放しにしとく訳にも行かねーしよ」
アルカイド・ラスティが退役した理由。それは変異龍との戦闘で受けた傷によりプラズマエンジンを損傷。
長期の任務に耐えられなくなり、弟子だった当時の寧々に隊を任せ、退役したのであった。
「で、特命って言ったな。サニーに何を言い渡された」
「はい、それは……」
今までの経緯を話す寧々。そして今の仲間たちとのことや、これからの事について。
ラスティはまるで我が子を見るような目で聞き入っていた。
「そうか、よく頑張ったな。……そして、透流太。義理娘を守ってくれたみてーだな。礼を言う、ありがとう」
そう言って透流太に深々とお辞儀をするラスティ。
「えっ、いえ、オレは当たり前の事をしただけで、それに寧々には助けられっぱなしで……」
「そうか。うんうん、良い仲間に恵まれたな寧々。そしてそこの二人も、久しぶりだな。元気だったか?」
「オッス、おっさん。久しぶり~」
「……おじさま、お久しぶりです……」
「コ、コラ!師匠に向かっておっさんって!」
「まぁまぁ、こやつらは昔っからこうだから良いんだよ」
そう言って双子の頭をなでるラスティに、ニコニコと笑顔を返す双子。
「久しぶりに再会したんだ。身体がなまってねーか、手合わせとでも行っとくか。ほれ、アッシュと透流太も来い」
「げっ、先生の指導かよ!さっさと逃げとけば良かったよ……」
「もしかして……先生って厳しいのか?」
「あぁ、透流太も経験しといた方が良いかもな」
「そうだな、透流太は剣の指導なんて、インサニティ隊長に少し受けただけだろ?型も何も合ったもんじゃないからな」
——そうして、ラスティの剣術指南は暗くなるまで続いた。
*****
「あぃてててて、寧々の義理父ってすげーな。あれで引退してるってマジかよ」
「あぁ、だが現役時代はあんなもんじゃなかったぞ。今では当時の半分もチカラを出せてないだろうな」
「半分であれかよ……」
夜風に当たりに、高台で涼む二人。
「ふぃ~、でもよ。まさかこんな所でデステ兄さんに出くわすとはな~」
「そうね、ホントまさかね」
「そのペンダント、似合ってるな」
「……あ、あぁ、ありがとう」
「……あのさ……ちょっと手を見せて欲しいんだけど……」
「えっ、手なんか見てどうするんだ?」
そう言って寧々の手を取り、不意に指輪をはめる透流太。
「えっ、ちょ……」
「あのさ……いつもサンキューな」
「……うん、こっちこそ……隣に居てくれて、ありがとう」
両手で指輪を包み込み、言葉を出すだけで精一杯の寧々。
つかの間の平穏が二人を包み込む。
―to the Next World―
皆さん、コンニチワ。
ポーランド埼玉です。
ちょっと本編、外伝と二本同時進行はキツイですな(笑)
でもまだまだ書きたい事が溢れてますんで。
これからもどんどん更新して行きますね~。




