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エンドレス・サマー

「はぁぁぁぁ!?合体ロボット!?なんですのそれ、ズルいですわ!!」


「———マスターメモリ、オートモードへ移行します」

機械の合成音声が響き渡る。

その声は、もはやプラチナ・コードのものではなかった。

クラスター・ビットvre2・《モビル・クラスター》とは、自身のメモリコアをオートモードへと移行することで、完全な戦闘マシンへと変貌を遂げるのであった。


白銀の機影。

その姿は、まるで戦場に降臨した“鋼の猛禽もうきん”。


背部の大型スラスターが低く唸り、姿勢制御スラスターが細かく火花を散らす。

キイイイイイイイイ……ッ!


バイザーが展開し、猛禽の“目”が多重ソナーの緑の採光を放つ。

みかんのまばたきすら正確に捉える。


「……集積完了。

対象:ロッテン・みかん。

危険度──SSランク。

殲滅プロトコル、起動」

その声は、もはや完全に“戦闘AI”の声だった。


右側の巨大砲身が、白色の光を収束させる。

……ヴウゥゥゥン!!


みかんの顔が青ざめる。

「ゲッ!あれ絶対にヤバいヤツですわね!」


——ッズオォォォォォン!!!

一本の光の筋が戦場を貫き、大地が削がれる。


だが、それを魔焦ウイングで急旋回し、ギリギリで直撃を避けた。

「熱っつ!!……あんなの直撃したら、痛いじゃ済みそうにありませんわねぇ!!そうと分かれば接近あるのみ!覚悟なさい!」

その身を反転、一気呵成に攻めに転じるデビルみかん。


右手に光が集まり、それがみるみる剣を形作っていく。

「デェェェービィィィールゥゥゥー……ソォォォドッ!!」

高出力の光の束を、力任せに叩きつけるデビルみかん。


———だが。

ギィィィィィン!!

サブアーム型ビームソードが火花を散らし、デビルソードを受け止める。

「ちょっ……!受け止めますの!? それにその腕、どこから!?」


モビル・クラスターはわずかに向きを変え、デビルみかんを正面に捉える。

「近接戦闘に移行。カウンタープロトコル、起動」

左腕のサブアームが回転し、 みかんのデビルソードを弾き飛ばす。

「うわっ!?ちょっ……なによそのキモい動きは!!」


反動で一瞬だけ体制を崩すデビルみかん。

その隙を逃さず、モビル・クラスターの背部ガトリングユニットが火花を上げる。

「……背部ガトリングユニット、掃射開始」

——ズガガガガガッ!!

高速で回転しながら打ち出される一斉掃射。

みかんは魔焦ウイングで紙一重の回避を繰り返すが、その速度をもってしてもガトリングユニットは正確に追尾。


徐々に被弾するデビルみかん。

「あだだだだっ!……んなろぉ、しつこいわね!……だったらもう被弾覚悟で……」

被弾しながらも距離を取るデビルみかん。


「まてまて、ちゃんと避けないと!もう回復に回せるパワーリザーブは……」

マキナの心配を他所よそに、被弾もお構いなしにデビルみかんは大きく足を開き、両手を額の前に交差させる。

「デビルみかんの本気の本気、とくと味わいなさいな。

殲滅破壊光:魔焦閃ましょうせん!!」

デビルみかんの全身から黒紫のオーラが滲み出る。

両手を構えた額から特大のビームが放たれる。

それはもはや、避ける事すら敵わないほどの広範囲にわたる閃光。

——ズドォォォォォォォッ!!


しかし。

「回避不能……銀盾・《オービタル・シールド》展開」

モビル・クラスターの前方に 白銀のシールドが展開し、かろうじて魔焦閃をしのぐ。

「なっ……!?アレを防ぎますの……!?」


「……殲滅プロトコル再起動。ターゲットロック」

右腕の巨大砲身が再び光を収束し始める。

——ヴウゥゥゥゥゥン……!!


「ちっ……!またさっきの砲撃ですの!?」

「……発射。」

白色の光線が戦場を一直線に貫く。

——ズドオォォォォォン!!!

地面が抉れ、大気が震え、辺りが真っ白に染まる。


しかし、視界が晴れた時……。

魔焦ウイングがすこし焦げているのが見える──が、みかんはそこで微動だにもして居なかった。

「ふぅ、その程度なら避けるまでもないですわねぇ。

で・は・そろそろ幕引きと行きましょうか」


突き上げた右手に炎が宿る。

「全速前進!やっぱ最後は直接ぶっこわーーーーすっ!」

魔焦ウイングが高速形態に変化し、デビルみかんが音速で突進する。

「回避不能、防御不能」


「ばぁぁぁくさぁぁぁつぅぅぅ!デビル……クラァァァーーーシュ!!」

真っ赤に燃える手刀がモビル・クラスターの胸部コアに突き刺さる。

——ドゴッ!!!

白銀の装甲が砕け、火花が飛び散る。

「……エラー……エラー……メモリコア損傷……修復不能……」


「まだまだ終わりではありませんことよ!!

デェェェビィィィルゥゥゥソォォォドッ、ゼロッ!!」

突き刺した手刀から伸びた光の筋が標的を貫き、一直線に空を裂く。


——ズドォォォォォン!!!

モビル・クラスターは全身から火花を撒き散らし、鋼の猛禽は煙を拭き上げながら地に落ちる。

「……マスターメモリ……オートモード……解除……プラチナ……コード……システム……全機能……停……止……」

白銀機構・《プラチナ・コード》は火花を散らして沈黙した。


別の戦場では———

プラチナ・コードが撒き散らす白煙の中で、それは静かに存在感を露わにする。


*****


サニーが振り返る。

未視も同時に気配を察知する。

そこに、いつの間にか立っていた。


No.0アスト・レガリア。


殺気は感じられないが、倒すべき相手である事に変わりはない。

サニーが剣に手をかけたまま、声を発する。

「オイッ、レガリア!やる気あんのか、ねぇのか分からねーが。

こっちは手ぇ抜かねーぞ!」


サニーの声に答えるレガリア。

「……来たな。父なるローデリングと、母なるミテラケフィの子らよ」


未視は静かに頷き、二人は迷いなく構えを取る。

「ソフィア、初手から全力で行くぜ!」

「えぇ、サニー。出し惜しみしている時では有りませんね」

サニーの剣と、未視の拳が輝きを増していく。

太陽と月の光が重なり合い、戦場に新たな輝きが生まれる。


月に隠れし 天頂のきらめき

覆われたるは 影なき現世

輝きを増し 現れたるは

はてをも照らす 金冠の輝き


合技ごうぎ——百冠夜行・《アニュラー・イクリプス》!」

因果を持たぬ輪廻の輝きが、戦場全体を白金色に染め上げる。


しかし——

レガリアは一歩も動かない。

防御も、回避も、反撃もない。

ただ、静かに光を受け入れる。


光に包まれたレガリアは、どこか安堵したように微笑む。

「……太陽の戦士よ。月の姫よ。

これでやっと……楽になれる……」


驚きを隠せないサニー。

「なっ!まさか最初っから!」

理解し受け止める未視。

「……苦しかったのですね……」


レガリアの瞳が光の中で輝きを失っていく。

「父なるローデリングの……呪いを……終わらせてくれて……ありがとう」

最後の言葉とともに、レガリアのコアが静かに沈黙する。


光が収束し静けさを取り戻した戦場には、レガリアが静かに横たわる。

やり場のない怒りにサニーは拳を握りしめ、未視は震える声で呟く。

「……ごめんね……もし違った形で出会えていたなら……」

戦場に沈黙がこだまする。

No.0アスト・レガリア——撃破。



それと同時に、戦場の中心が大きく動いた。

「ついに追い詰めたぜ!」

「……観念するんだな、博士」

白銀の屍が無数に横たわる中、三つの閃光が砂塵を巻き上げる。

リボルバー・カグヤ。 ストライカー・ジョー。 ダイヤモンド・リリー。


その眼前には追い詰められたサルモネラ博士の姿。

「ここで逃がしてなるものか!一気呵成に攻め立てる!」

ダイヤモンド・リリーの掛け声と共に、3人が博士を包囲する。


——ガガガァァン!

三人の攻撃が重なったその瞬間。

博士の身体が光に包まれた。


「……やれやれ、ここまで追い詰められるとはな。計算外だ」

声が変わり、影が伸びる。

まるで別人のように姿形が変わっていく。

それまでサルモネラ博士“だったモノ”は、ゆっくりと顔を上げた。

「我が名は──行基ぎょうき。旧き人類を導くべく存在してきた者なり」

黒いオーラをまとうその異様な姿は、今までにないプレッシャーを放っていた。


その変貌を遂げた姿を見て驚愕する一同。

「……ヤツが話に聞いていた……旧人類ってか……」

「……えぇ、そのようね……」


行基は倒れたプラチナ・コードとアスト・レガリアに向けて手をかざす。

「この二体は回収させて頂こう。まだまだ利用価値があるからな」

黒い球体が二体を包み、まるで吸い込まれるように消えていく。

「おい待てテメェ!! どこへ連れて行くつもりだ!!」


黒い球体が行基を包み込み、徐々に薄れていく。

「さて、茶番はもう終わりだ。……私はこれで失礼させて頂く」

そう言って右手を立てた次の瞬間。

———ギギギギギギギ……!!

残存していたネクストたちが一斉に起動し特攻を開始する。


そして———

ドオォォォン!


「クソッ!ヤツら自爆を!各自撤退!

みかんはそのまま空から退避!

動けねぇマキナはオレが担ぐ!

ジョー!リリー!ソフィアも限界だ、そっちは頼んだ!

カグヤは殿しんがりを任せる!

ジョーカー、カグヤのサポートに回れ!

各自、死ぬことは許さん!

直ちに行動に移れ!」


サニーの指示に皆が一斉に行動に移す。

爆音が鳴り響き、炎と火薬の匂いが辺り一面に立ち込める。

その混乱の中、行基の反応は完全に消えていた。

「クッソ!旧人類……行基!待ってろ、絶対に居場所を突き止める!」


鳴り止まぬ爆音の中、苦汁の撤退を余儀なくされるサニー達。

そして物語は新たな局面に突入する。


第一部──終幕。

皆さん、コンニチワ。

ポーランド埼玉です。


ここで第一部が終幕です!

じつは…ここまでは序章です。

あくまでも世界観の説明です。


いや~、本来なら5話~6話くらいで終わらせる予定だったのが。

気が付けば14話(笑)


次からは心機一転、第二章がスタートします。

ep15も宜しくです♪

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