第40話 葡萄酒と蒸留装置のヒント
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いつも通りの仕事をこなし、トビーとの取り引きや魔物の肉の調達を続ける5人。
奴隷とはかけ離れた食事を楽しみながら、2ヶ月という時間が過ぎていった。
そして、ついに葡萄酒が完成する夜がやってきた。
ジン
「ついに葡萄酒の完成ですよ!」
ラック
「待ってましたよ! 長かった……。林檎酒も良いけど、やっぱり慣れ親しんだ葡萄酒だよな……」
ブライ
「だなぁ……。あの葡萄酒が、ついに飲めるんだな!」
レイ
「あんまり期待するなよ。俺達は初めて作ったんだからな」
オスカー
「レイとジンなら問題ないだろう。ブライなら不安だったがな」
ブライ
「オスカー! それは酷くないか?」
ジン
「そうですよ、オスカー。ブライも手伝ってくれたから葡萄酒が出来たんですよ」
オスカー
「すまん……。ほんの冗談だよ」
「ブライ、すまん」
ブライ
「分かればよし!」
5人は顔を見合わせ、笑い合った。
こうして、楽しい夜が始まった。
ジン
「では、飲みましょう!」
「今日は、ニンニクとじゃがいもの炒め物に、ペテノザークの唐揚げです!」
ラック
「おぉー! 最高だな!」
ブライ
「唐揚げ美味いよな! マヨネーズもあるよな?」
レイ
「あるよ! マヨネーズも他のソースもあるよ。レモンもあるから、かけるなら使って」
オスカー
「俺にレモンをくれ。最近、このレモンと唐揚げの相性の良さに気付いたんだよ」
2ヶ月も経つと、マヨネーズやケチャップ、レモンといった言葉も、みんなちゃんと言えるようになっていた。
ジン
「葡萄酒はゆっくりすくってくださいね。混ぜると澱が舞って、飲めなくなりますから」
4人
「分かった!」
5人はそれぞれ、自分の好きな量をゆっくりとすくい、晩餐の準備を整えた。
ジン
「いただきましょう!」
ゴクッ!
まずは、全員が葡萄酒を口にした。
ジン
「……なんか、かなりあっさりですね」
ラック
「葡萄酒にしては薄い?」
ブライ
「葡萄の味は薄いけど、ちゃんと酒だな」
レイ
「うん、酒感が強いな」
オスカー
「正直……イマイチだな……」
ジン
「せっかくの晩餐が、残念な結果ですね……」
2ヶ月も待ち続けた葡萄酒だったが、期待していた味とは少し違っていた。
オスカー
「イマイチだが、飲めない訳じゃない。林檎酒もあるし、今回はせっかくの晩餐だ。楽しもうじゃないか」
ラック
「やっと飲めた葡萄酒だからな」
ブライ
「そうだな! 美味い飯もあるし、酒もあるんだろ。文句を言ったらバチが当たる!」
レイ
「そうだな。今日飲んで、残りはまた寝かせよう。そうしたら、もっと美味い葡萄酒になる」
ジン
「そうですね。同じくらい寝かせれば、ちゃんと葡萄酒になりますね」
若い葡萄酒も林檎酒も楽しみながら、五人の晩餐は続いていった。
オスカー
「料理も無くなったし、今日はここまでだな」
ラック
「これ以上飲んだら、明日休んでしまうからな」
ブライ
「すー……くー……うん?」
レイ
「ブライはもう寝てるし」
ジン
「ブライは酒が入ると、すぐ寝ちゃいますね」
ラック
「ブライはまだ若いからかな」
レイ
「ラックもすぐ寝ますよ」
ラック
「……俺はまだまだいけるけど、明日も仕事だから抑えてるんだ」
ジン
「そうですね。2人とも休みだと寂しいですからね」
レイ
「晩餐の片付けをしましょう」
ジン
「はい」
5人で楽しんだ晩餐も終わり、ジンとレイは食器を片付け始めた。
そんな中、ジンはふと思い出したようにレイへ声を掛けた。
ジン
「レイ、相談なんですが、この近くで高温に耐えられる場所ってありますか?」
レイ
「この辺は森と川だからな。火や高温は……」
ジン
「そうですよね……」
レイ
「ガラスか?」
ジン
「はい……。石を溶かせばガラスになるはずなんです」
【確か映画で見た気がする……】
レイ
「そうなのか? ガラスって石なのか?」
ジン
「確か、そうだったかと……」
レイ
「高温か……。厳しそうだな……」
ジン
「ですよね……」
レイ
「氷じゃダメなのか?」
ジン
「出来ますが、せっかく酒を濃くしたいのに、氷だと薄まってしまいます……」
レイ
「そっか……。ちょっと何か考えよう」
ジン
「そうですね。ガラスにこだわらず、何か考えます」
【汚れた水から水蒸気にして、貯める装置があったような……】
ジンは前世の記憶を探ってみたが、はっきりとは思い出せなかった。
レイ
「明日、みんなで話してみよう。何か良い考えが見付かるかもしれない」
ジン
「そうですね」
こうして、少しばかりの悩みを残す夜となった。
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次の日の夜。
5人は魚や野菜、肉を食べながら、蒸留装置を作るためのヒントがないか話し合っていた。
ジン
「酒を濃くするために、今ある酒を火に掛けて煮詰めるんです」
ラック
「煮詰めたら、なくなっちゃうぞ」
ジン
「なくなるのは、お湯にした時、白いゆらゆらした物になってしまうからです」
ブライ
「その白いゆらゆらを取ればいいのか?」
ジン
「そうなんです。それを何とかして取りたいんです」
レイ
「手では掴めない……。何かで受けなければならない……」
ラック
「うーん……。風呂に入ると天井に水滴が出来るよな? あれは、ゆらゆらと関係してるのか?」
ジン
「はい! ゆらゆらが冷やされて……」
ジンはそこで、ハッとした。
ジン
「……そうか! 冷やせばいいんだ!」
ラック
「お、おう?」
ジン
「ラック、流石です! ちょっと明日試してみます。ありがとうございます!」
ラック
「あ、あぁ……。何もしてないんだが……」
ジン
「全然! ラックのお陰で上手くいくかもしれません!」
ラック
「あぁ、まぁ俺はジンより歳上だからな」
レイ
「歳は関係ないと思いますよ」
ラック
「……いいんだよ!」
5人の間に、いつもの笑いが広がった。
こうして、蒸留装置のヒントを得た夜は、楽しく暮れていった。
今後もよろしくお願い致します。




