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転生したら奴隷になりました[魔力を得て楽しく暮らます]  作者: アル治


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第36話  魔物との戦い

いつも読んでいただきありがとうございます。

ジンが上を見た。


次の瞬間――


空から魔物が、ジン目掛けて襲いかかってきた。


ジン

「ッ! 避けられない!」


【ヴラホス】


ジンは魔物の進行方向へ向け、地面から岩をせり上げた。


「ギギ!」


魔物は一声鳴くと、岩をひと蹴りした。


その反動を利用して、岩の上へ飛び乗る。


ジン

「鳥……!」


ジンがそう言うのも無理はなかった。


くちばし。


羽。


どう見ても鳥にしか見えない。


ダチョウやハシビロコウに似た姿をしている。


だが――


その脚の筋肉は異常なほど発達していた。


ジンは魔物へ手をかざす。


しかし魔物は大きく翼を羽ばたかせると、岩から飛び去った。


ジン

「くっ! ヴィソーンとはスピードが違う!」


魔物は羽ばたいた。


しかし、すぐに地面へ着地する。


「ギャー!」


魔物は翼を大きく広げ、甲高い声を上げた。


ジン

「こいつ……高くは飛べないのか?」


ジンの推測は当たっていた。


この魔物は翼を持っているものの、飛べる高さは木の高さ程度。


長距離を移動する時は、翼ではなく脚を使って走る魔物だった。


ジンは再び手をかざす。


しかし――


魔物が森の中を走り回る。


速い。


狙いを定めることが出来ない。


ジン

【早い!】


【パレステジアが使えない……どうする……】


【殺すしかないのか……】


ジンが手をかざしながら狙っていると、魔物が突然、木へ向かって走り出した。


そして――


木を蹴る。


反対側の木へ飛ぶ。


さらに蹴る。


三角飛びのように木々を利用しながら、ジンへ向かってくる。


「ギッギャー!」


ジン

「早い!」


【パゴメノス・ティホス】


ジンの目の前に、氷の壁が現れた。


魔物の蹴りが氷壁へぶつかる。


「ギャー! ギャー!」


魔物は羽をバタつかせながら、激しく鳴きわめいた。


ジン

【どうする……】


【動きを止めなければ……】


魔物は氷壁へ乗ろうとはせず、大きく迂回してジンを睨みつける。


ジン

【氷は苦手か?】


実際には、魔物は氷が苦手なわけではなかった。


ただ、冷たい氷を避けただけ。


しかしジンには、そんなことは判らない。


避けた。


ならば、苦手なのかもしれない。


そう考えるのが自然だった。


ジン

【氷で攻めるか……】


【脚を凍らせるしかない……】


「ギギギ!」


【パゴメノス・ティホス】


今度は氷壁を作るのではない。


ジンの手は、地面へ向いていた。


ジンの足元から、地面が凍りついていく。


「ギャー! ギャー!」


魔物は鳴きながら翼を羽ばたかせ、何とか木の上へ逃げた。


ジン

「そうなるよな……」


「でも、地面にはもう降りられないだろ?」


魔物は木の上を行ったり来たりしている。


そして――


「ギギャー!」


ひと鳴きすると、魔物が木を蹴った。


ジン

「来るのか!」


【パゴメノス・ティホス】


魔物の前に、再び氷壁を作る。


魔物の攻撃を防ぐ。


しかし魔物は、そのまま地面へ着地した。


そして――


爪を氷へ突き刺す。


滑ることもない。


普通に歩きながら、ジンと向かい合った。


ジン

「くっ……どうすれば……」


ジンが魔物へ手をかざす。


魔物は走って避ける。


ジン

「くっ!」


【氷も意味がなかった……】


【魔力も結構使ってる……】


ジンは悩んでいた。


このまま戦い、何とか倒せたとしても――


魔力が尽きれば、帰ることが出来ない。


ここから戻るには、転移魔法が必要だ。


撤退するべきなのか。


それとも――


ここで決着をつけるのか。


ジン

「…………」


そして、決めた。


「……賭けるか……」


「もってくれよ……俺の魔力!」


【パゴメノス・ティホス】


ジンは、再び氷魔法を唱えた。


だが、今度は手を空へ向けていた。


周囲の木々まで巻き込みながら、森の中に巨大な氷の天井が出来上がっていく。


ジン

「よし!」


「ギャ! ギャ!」


魔物が空を見上げる。


飛べない。


翼を羽ばたかせても、頭上には氷の天井がある。


ジン

「パゴメノス・ティホス!」


今度は地面へ向けて魔法を放つ。


空の氷に気を取られていた魔物の脚が、凍りついていく。


そして――


動きが止まった。


「ギャ! ギッギャー!」


魔物は鳴きながら、脚の周囲の氷をくちばしでつつき始めた。


ジン

「遅い!」


【パレステジア】


ジンの麻痺魔法が魔物へ命中した。


脚が凍っているため、魔物はそのまま後ろへ倒れる。


そして――


身体を痙攣させ始めた。


ジン

「よし! やれた!」


ジンは魔物へ近づく。


そして――


【シエラ】


【シエラ】


魔物の腕と脚を切り落とした。


ジン

「メガロス・ヒール」


回復魔法をかける。


すると、欠損した腕と脚が元通りになっていく。


ジンは切り落とした腕と脚をアイテムボックスへ入れた。


そして、少し離れる。


ジン

「シネルホマイ」


麻痺を解除する。


魔物はゆっくりと立ち上がった。


まだ凍りついている片方の脚。


魔物は、その氷をくちばしでつつき始める。


ジンは何もせず、じっと見ていた。


やがて――


氷が砕ける。


魔物は立ち上がり、歩き始めた。


ジン

「……大丈夫そうだな」


ジンが安心した、その時――


「ギギギャー!」


魔物が、ジンへ向かって走り始めた。


ジン

「ッ!」


【メトイキシス・パオ】


ジンは転移魔法を使い、いつもの木の下へ戻った。


オスカー

「遅かったな」


「もう小屋に帰る時間だぞ。早くしろよ」


ジン

「……は……い……」


返事はする。


しかし――


ジンが動く気配はない。


オスカー

「おい!」


「大丈夫か?」


「ちょっと待ってろ!」


オスカーはラック達へ近づいていった。


オスカー

「ジンがヤバい!」


「頼む!」


看守であるオスカーは、ジンに手を貸すわけにはいかない。


そのため、ラック達へ助けを求めるしかなかった。


ラック

「なっ!」


「判った!」


「レイ! ブライ!」


レイとブライはラックの声を聞くと、すぐにラックのもとへ走ってきた。


レイ

「どうした!?」


ブライ

「何かあったのか!?」


ラック

「ジンがヤバい!」


3人は木の下へ向かって走り出した。


ラック

「ジン! ジン!」


レイ

「どうした? 何があった?」


ブライ

「大丈夫か!? ジンー!」


ジン

「……だい……じょうぶ……」


「……ま……りょく……が……つきま……した……」


ラック

「怪我はないのか?」


「それだけか!?」


ジン

「……は……い……」


その言葉を聞いた瞬間。


3人から、一気に力が抜けた。


その場に崩れ落ちる。


ブライ

「……良かった……」


「ジンが死ぬかと……」


レイ

「ジン……良かった……」


ラック

「バカヤロー!」


「あれだけ無理するなって言っただろ!」


「何やってんだ!」


ジン

「……すみ……ません……」


ラック

「…………」


ラックは、それ以上何も言わなかった。


ただ、ジンを背負う。


そして4人で檻へ向かった。


オスカーは、強く拳を握りしめながら、その姿を見つめていた。


助けてやりたい。


しかし、自分には何も出来ない。


ただ、心配して見ていることしか出来なかった。


4人が小屋へ入ると、ジンはすぐに眠ってしまった。


コン! コン! コン! コン!


すぐにオスカーから合図があった。


しかし――


ジンは眠っている。


扉を止めている石を壊すことも出来ず、隠し扉を開けられない。


レイ

「オスカー」


「ジンが寝てしまって、扉を開けられないんだ」


オスカー

「判った!」


オスカーは正面の扉から、普通に小屋へ入ってきた。


ラック

「オスカー! いいのか?」


オスカー

「構わない!」


「ジンは? 大丈夫なのか?」


レイ

「魔力の使いすぎです」


「明日には戻ると思います」


「今日はもう寝かせてあげてください」


オスカー

「判った」


「すまないが、後は頼む……」


3人が頷いた。


ブライ

「何があったんだ……」


「ジンがこんなに魔力を使うなんて……」


ラック

「誰かと遭遇したか、魔物だろうな……」


レイ

「そうですね……」


「ジンがここまで追い込まれるのは、戦闘しか考えられません……」


ラックは、眠っているジンの頭を撫でる。


ラック

「……また無茶しやがって……」


レイ

「そんな頑張らなくても、今のままで十分なのに……」


ブライ

「俺かな……?」


「俺がまたワガママ言ったから……」


「肉を取りに行ったのかな……?」


ラック

「それは違う!」


ブライ

「……でも俺、すぐ調子に乗って……」


「肉、肉って……」


レイ

「ブライ、違うよ」


「ブライが言わなくても、ジンは行くよ……」


「そういう男だよ、ジンは……」


3人は、眠っているジンを見つめていた。


やがて――


陽が沈んでいった。



翌朝。


ジン

「う、うーん!」


「よく寝たぁー!」


目を覚ましたジンの周りには、ラック、レイ、ブライの3人が眠っていた。


ジン

「…………」


「みんな……」


「ごめんなさい!」


「ありがとうございます!」


ラック

「うーん……?」


「ジン?」


「ジン! 起きたか?」


ラックは飛び起きる。


「体はどうなんだ?」


「大丈夫か!?」


ジン

「はい!」


「体は平気です。魔力も戻りました」


ラック

「……そっか……」


「良かった……」


ジンとラックが話していると――


パシッ!


ジンの顔が勢いよく右を向いた。

今後もよろしくお願い致します。

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