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転生したら奴隷になりました[魔力を得て楽しく暮らます]  作者: アル治


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第35話  滝の上

いつも読んでいただきありがとうございます。

夕暮れ。


小屋へ戻った5人は、探索で疲れ切ったジンを囲んでいた。


体力も魔力も、ほとんど限界。


今のジンには、お風呂か食事か――そのどちらかしか選択出来なかった。


ブライ

「俺は飯だ!」


「風呂に入らなくても、飯があれば何とかなる!」


レイ

「俺は風呂に入りたい」


「酒があれば、奴隷食でも構わない」


ラック

「俺はジンが楽な方でいい」


ジン

「俺はどちらでも良いですよ」


「ただ……両方なのがちょっと……魔法が使えるか判らないです」


4人が話していると――


コン! コン! コン! コン!


オスカーの合図だった。


ジンが隠し扉を開けると、オスカーが合流する。


ジンは今日のことをオスカーに説明した。


オスカー

「飯か風呂か……なかなか難しい2択だな」


ジン

「オスカーはどっち?」


オスカー

「俺は飯……と言いたいが、風呂に入りたいな」


「風呂は娼館の時しか入らないからな」


ラック

「看守も風呂ないのか?」


オスカー

「ないない」


「寒い日は体を拭いて終わりだよ。温かい日でも、水をかぶって終わりだ」


レイ

「そこは俺達と同じなんだな」


オスカー

「そうだな」


「俺達は見てるだけだから、そこまで汚れないけどな」


ジン

「じゃあ、お風呂にしますか?」


ラック

「俺は構わない」


ブライ

「…………飯……」


ジン

「ソースと木の実は出せますよ」


「後は火を通さなきゃいけないから、石を温める火で何か少しは焼けるかもしれないけど……」


ブライ

「ジン、大丈夫だ……」


「これ以上ワガママ言っても、ジンの負担になる」


「そんなこと頼めない」


ジン

「ブライ……すみません」


「俺がもう少し抑えれば……」


すると、ブライがジンの頭を優しく撫でた。


ブライ

「ジンは頑張りすぎなんだよ!」


「毎日風呂、料理……」


「たまには何もしない日があってもいいんだよ」


「今さらだけど、今日はゆっくり休め」


ジン

「ブライ……ありがとう」


5人は食事よりも風呂を選んだ。


魔力の残っている者から順番に、風呂へ入っていく。


いつものような料理はない。


それでも、温かい湯に浸かるだけで、今日1日の疲れが少しずつ抜けていった。


そして風呂上がり。


5人は林檎の酒を囲んで盛り上がった。


オスカー

「しかし不思議だよな」


「こんなに甘いのに、ちゃんと酔うんだよな」


ラック

「いつの間にか酔ってるのが怖いよ」


ブライ

「俺はもう、酔ってなくても2杯って決めたから、もう大丈夫だ」


レイ

「林檎だから甘いんだろうな」


「他の果実でも出来そうだな」


ジン

「多分、出来るとは思います」


「ただ、林檎みたいに硬い物じゃないと、持って来てる間に傷んで使えなくなりますからね」


「林檎も傷んだところは切り落としてますから」


レイ

「酒は奥深いな……」


ブライ

「それより……」


「林檎の酒、多分明日でなくなるな……」


ジン

「一応、明日林檎は届きます」


「ですが、3日くらいは飲めませんね」


オスカー

「お前ら、飲み過ぎだぞ」


ラック

「オスカーが言う?」


オスカー

「俺はまだ2日目だから」


ラック

「初日に何杯飲んだ?」


オスカー

「10杯は飲んでないさ」


レイ

「オスカー……飲み過ぎ……」


「みんな5杯も飲まないよ」


オスカー

「マジか?」


「なんだ、お前ら弱いな!」


ブライ

「そこじゃないよ!」


ブライのツッコミに、5人は一斉に笑った。


食事は質素だった。


それでも――


5人の笑い声に包まれながら、その日は終わった。



翌朝。


5人は二日酔いになることもなく、いつも通りの朝を迎えていた。


ジン

「オスカー、今日もお願いします」


オスカー

「任せておけ。夕暮れまで行ってこい!」


ラック

「トビーさんによろしくな」


レイ

「何かお礼が出来ればな……」


ブライ

「肉を少し渡しては?」


ジン

「ブライ、いいんですか? 肉ですよ」


ブライ

「お世話になってるからな」


「ジンが取ってきてくれたものだから、俺が決めることじゃないが……」


「あの肉は美味いからな。お礼には良いと思う」


ラック

「ブライ……」


ラックは少し驚いたようにブライを見る。


「大人になったな……嬉しいぞ……」


ブライ

「ラック! いつまでも子供じゃない!」


「なぁ? レイ!」


レイ

「……うっ……」


「ブライが……」


ブライ

「レイ! 泣くことか!?」


「俺、そんなにワガママか?」


オスカー

「うん。ワガママというか……子供だったな」


ブライ

「オスカーもか!?」


ブライはジンを見る。


「ジン……」


ジン

「判ってます」


「ブライは優しい人ですからね」


ブライ

「ジン……」


「判ってくれるか……」


オスカー

「そろそろ集合だ。行くぞ」


4人

「はい!」


午後に入ると、ジンはいつものように木の下へ向かった。


オスカーもジンの周囲の護衛につく。


ジンはいつものように川へ移動し、魚や蟹を取ってから、トビーのところへ向かった。


ジン

「トビーさん」


トビー

「おぅ、揃ってるぞ! 持ってけ!」


ジン

「ありがとうございます」


「それと……仲間……家族から、これをトビーさんに渡してくれと頼まれました」


「いつもお世話になってるからって」


ジンは魔物の肉をトビーに差し出した。


トビー

「……おい……」


「この肉……まさか……魔物の肉か?」


ジン

「はい。少ないですが、受け取ってください」


トビー

「いやいやいや!」


「魔物肉は金貨で取り引きされる肉だぞ!」


「どれだけ高価なものか判ってるのか?」


ジン

「家族が渡してこいと言ったので……」


「これは引けません!」


トビー

「ジン……」


「お前達は、本当に何者なんだ?」


「魔物肉を渡せるほどの人なんて、冒険者でもかなり高ランクの冒険者くらいだぞ」


ジン

「お礼ですから、いいんですよ」


「受け取ってくれますよね?」


トビー

「あ、あぁ……受け取るが……」


「いや!」


トビーは魔物の肉をしっかりと受け取った。


「ありがとう! 受け取る!」


「いつでも、なんでも言って来い!」


「俺に出来ることは、やってやるからな!」


ジン

「ありがとうございます」


「じゃあ、行きますね。ありがとう、トビーさん」


トビー

「おう、いつでも来い!」


「欲しい物が出来た時は、いつでも来い! 待ってる!」


ジン

「はい」


ジンはトビーと別れ、川へ戻った。


そして――


ジン

「行くか……!」


ジンは滝の先の森へ移動した。


ジン

「…………」


「凄い……」


「空気が全然違う……」


今までいた森とは明らかに違う。


ジンの肌が、何かを感じ取っていた。


「緊張感……殺気……」


「ピリピリ……ヒリヒリする……」


ジンは用心深く進んでいく。


1歩。


また1歩。


何が出てきてもおかしくない。


そう思いながら、周囲を警戒する。


やがて、少しだけ開けた場所へ出た。


ジン

「少しだけ木が少ないな……」


「日差しもしっかり届く……」


「……うん?」


開けた場所に、何かが落ちている。


ジンは警戒しながら近づいていく。


ジン

「これは……剣……?」


剣を拾い上げる。


「もう錆びてる……」


「それに……折れている」


「使えないな……」


その剣を見れば、ここで何かが起きたことは明らかだった。


戦闘があった。


それだけは間違いない。


ジン

「ッ!」


その時――


森の奥から、聞いたことのない音が響いた。


【ギギャー!】


ジン

「……近い!」


「これは……?」


ジンは周囲を見渡す。


「……うん?」


次の瞬間――


「ッ!」


ジンが、上を見た。

今後もよろしくお願い致します。

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