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転生したら奴隷になりました[魔力を得て楽しく暮らます]  作者: アル治


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第34話  新たな場所へ

いつも読んでいただきありがとうございます。

初めての5人での現場が始まった。


オスカーが言っていた通り、仕事量そのものに変化はない。


それどころか、少し仕事量が増えたようにも感じる。


山を切り崩す作業が、以前よりも明らかに捗っているのだ。


ブライ

「ジン、大丈夫か? 今日、仕事量多いな……」


ジン

「そうですね……でも、午前中で終わらせます。移動した後に回復しますから」


「ブライは俺に合わせなくていいですからね。守り役はいますから」


現場でオスカーの名前を出すわけにはいかない。


看守の名前を知っている奴隷などいない。


奴隷同士も、同じ小屋の者以外とは交流が少ない。


昼食も、小屋の者同士で集まって食べるのが自然だった。


ブライ

「……俺の唯一の仕事だったんだけどな……」


ジン

「大丈夫です。ブライはボケ担当です」


ブライ

「ぼけ? それは悪口か?」


ジン

「違いますよ! 愛されているんです」


ブライ

「……本当か?」


ジン

「はい! 人気者です」


ブライ

「そんな……人気者って……」


ブライは、どこか嬉しそうな顔をして仕事へ戻っていった。


昼食


ラック

「ジン、どうだ?」


ジン

「行きます。ただ……どうやって来てくれるのかが判りません」


レイ

「何か考えてくれてるとは思うんだが……」


ブライ

「とりあえず、いつもの場所に行ってみるしかないな」


ジン

「そうですね」


ブライ

「それにしても……昼食がこれだと元気出ないな……」


ラック

「その分、夜が楽しみだろ?」


ブライ

「そうなんだけどね……」


物足りない昼食を終え、ジンはいつものように移動している木の下へ向かった。


すると――


オスカー

「来たか。仕事が終わるまでここにいるから、心置きなく行ってこい」


ジン

「ありがとうございます。ただ……顔色悪いですよ……」


オスカー

「あぁ……言うことを聞けば良かったよ……頭が痛いし……少し吐き気も……」


ジン

【二日酔い……ここの人達はお酒が弱いのか、あの酒が強いのか……】


「無理しないでくださいね」


オスカー

「大丈夫だ! ここに居ればいいんだから」


ジン

「判りました。では、行ってきます」


オスカー

「おぅ! 俺のために行ってこい!」


オスカーは満面の笑みでジンを送り出した。


ジンは川へ移動すると、魚や蟹を捕り、それからトビーのところへ向かった。


ジン

「トビーさん、元気にしてますか?」


トビー

「おー! 来たな! 何が欲しい? 明日には用意しよう!」


ジン

「明後日じゃなくていいんですか?」


トビー

「構わないさ。ジンのお陰で、じゃがいもも売れ始めてな。もう街に引っ越そうかと考えてるくらいだ」


ジン

「えっ! じゃあ、もう会えなくなるんですか?」


トビー

「冗談だよ。それくらい儲かってるってことだ!」


トビーは笑いながら続けた。


「蟹は売れるし、白いのとじゃがいもの炒め物も売れる。それを真似したくて、じゃがいもまで売れる。笑いが止まらないのよ!」


ジン

「そうなんですね。それは良かったです」


トビー

「ジン様々だよ! 人も雇ったから、俺が街に行くことも無くなったよ」


そう言って、トビーは布袋を取り出した。


「そうだ、これをまずは渡す」


トビーは、膨れ上がった布袋をジンに渡した。


ジン

「ッ! これ……金ですか?!」


トビー

「おぅ。それはジンの取り分だ」


ジン

「こんなに……ダメですよ!」


トビー

「持っとけ! 悪いがな、それでも売上の半分の半分にも満たないんだ。それに、ここに来たってことは、何か頼みがあるんだろ?」


「その分は引かせてもらってるんだよ」


ジン

「……本当ですか? まだ何を頼むか言ってませんよ」


トビー

「ジンが頼む物は、そんなに値が張らないんだよな。塩とか肉とかなら値は張るが、その他はそんなに大差ないさ」


ジン

「そうなんですね。今回、少し量が多くなりそうなのですが……」


トビー

「大丈夫だ。運ぶのはちゃんと雇ってある」


ジン

「ありがとうございます。では、多めの林檎とミルク、卵、野菜、それと小麦粉……行けますか?」


トビー

「問題ない。野菜は持っていってくれ。白いのとじゃがいもは残してくれよ」


ジン

「はい、判ってます。それと、レモンは手に入りますか?」


トビー

「れもん?」


ジン

「黄色の果実で、切るとオレンジみたいなんですが、味は物凄く酸っぱいんです」


トビー

「あー、あれはレモンって言うのか。多分、問題ない。買えるはずだ」


ジン

「ありがとうございます。では、明日また来ます」


トビー

「あぁ、待ってるよ」


ジンはいつものように、受け取った野菜などをアイテムボックスへ入れ、深々と何度も頭を下げてから川へ戻った。


ジン

「今日は夕暮れまで時間がある。上流、行くか!」


ジンは上流へ移動すると、木の実を少し回収し、さらに上流を目指した。


今までよりも、移動できる範囲を広げることにしたのだ。


ジン

「かなり登ったな……川も大分狭くなった。それに……嫌な感じだ」


ジンは周囲を見渡す。


「常に視線を感じるような……正直、怖い……」


ジンはかなり慎重に進んでいった。


この先、何があってもおかしくない。


魔物が、いつ出てきてもおかしくない。


森の中では、時々腐敗臭を感じることもあった。


何かが死んでいる。


それだけは間違いない。


弱肉強食。


そこには、そんな世界が広がっていた。


ジン

「ここまで来れば、いつでも魔物と遭遇できそうだな……戻るか」


ここまで来るだけで、体力のほとんどを使っていた。


魔力も、最初の滝をよじ登った時にヒールを何度も使っている。


ここで魔物と対峙するのは――死を意味していた。


ジン

「戻ろう」


【メトイキシス・パオ】


オスカー

「うん? 戻ったか?」


ジン

「はい……」


オスカー

「かなり疲れてるみたいだな? 大丈夫か?」


ジン

「何とか……。滝を登って来たので、ヘトヘトです……」


オスカー

「滝?」


オスカーの表情が変わった。


「ジン……あの滝を越えたのか?!」


ジン

「はい……疲れました……」


オスカー

「驚いた! あの先は魔物しか居ない。冒険者ですら尻込みする場所だぞ!」


「そこに行って、帰ってきたのか!?」


ジン

「そうでしたか……どうりで……空気が違いました」


「すぐそこに死がある感じでした」


オスカー

「だろうな……」


オスカーはジンを見つめる。


「生きて帰ってきて、なによりだ」


そして、夕暮れ。


ジン達は小屋へ戻った。


だが――


ジンの体力も魔力も、ほとんど限界だった。


今のジンには、二つの選択肢しか残されていない。


お風呂か。


それとも――食事か。

今後もよろしくお願い致します。

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