第29話 葡萄酒作り
いつも読んでいただきありがとうございます。
翌日。
4人のテンションは高かった。
ラック
「ジン、午後から向かうんだろ?」
ジン
「はい、その予定です」
ブライ
「俺がフォローするから大丈夫だ!」
レイ
「それが少し心配です」
ブライ
「なんでだよ!」
3人は笑う。
ジン
「ブライ、居ない間頼みますね」
ブライ
「おう! 任せておけ!」
朝食にトーストと木の実を食べ、4人は奴隷仕事へ向かった。
ジンはいつも通り午前中に仕事を終わらせ、昼食を済ませると、木の下に陣取り、移動の準備を進める。
ブライ
「準備出来たか?」
ジン
「出来ました。後は頼みますね」
ブライ
「任せておけ! 俺に任せておけば問題は起きない!」
ジン
「はいはい、任せます。行ってきます!」
ブライ
「行ってこい!」
ジンは川へ移動し、そこから村まで歩いて、トビーに会いに行った。
ジン
「トビーさん」
トビー
「来たな! 待ってたよ」
「頼まれてた、葡萄と林檎だ。普通に買える果物は、この2つだな」
ジン
「ありがとうございます。いただいていきますね」
トビー
「おう。野菜も持ってけ」
ジン
「ありがとうございます。蟹、どうですか? 売れてますか?」
トビー
「一番売れた時よりは落ちてるけど、売れない訳じゃないからな」
「蟹自体は食べられるって、みんな真似してるが、あの白いのを使ってるのは俺の所だけだからな!」
ジン
「そうですか。あれは食べたことがないと、なんだか判らないですからね」
トビー
「そうだな」
「そうだ、ミルクと卵も持っていけ」
ジン
「ありがとうございます」
「白いのとジャガイモでも美味しいですよ。ジャガイモはちょっと焦がして、表面を揚げる感じで」
トビー
「判った。明日から売ってみるよ」
「それより、これは渡しておく」
トビーから、銀貨を数十枚渡される。
ジン
「これは受け取れませんよ!」
トビー
「金は持ってて困らない。とりあえず持っておけ!」
ジン
「しかし……」
トビー
「いざって時に使え! そういう時はいつか来る!」
ジン
「判りました。ありがとうございます」
トビー
「いいさ。気を付けて帰れよ」
「ところで、この荷物どうする? 手伝うか?」
ジン
「はい! 大丈夫です。実はアイテムボックス持ちなんです」
トビー
「ッ! ジンは凄い人だったんだな!」
ジン
「取り柄はこれだけです」
トビー
「いやいや、アイテムボックス持ってる奴はかなり貴重だ。冒険者なのか?」
ジン
「そんな所です」
トビー
「そうか。そうだよな。木の実も蟹も、冒険者ならではかもな」
ジン
「はい、行きます」
トビー
「また来いよ。果物無くなったら、いつでも言えよ。買ってくるから」
ジン
「判りました。ありがとうございます」
ジンは振り返りながら何度も頭を下げ、川へ戻る。
そして、そのまま仕事現場へ戻った。
ジン
「戻ったよ、ブライ」
ブライ
「…………」
看守
「戻った?? 寝てたんじゃないのか?」
ジン
「ッ! えっ?」
看守
「無理してるみたいだから様子を見に来たんだが……」
ジン
「起きた事を、みんなで戻ったって言うんです……」
看守
「…………起きたって事か?」
ジン
「そうです!」
看守
「変な言い方するな。まぁ、元気そうで良かった」
看守はそう言うと、自分の持ち場へ戻っていった。
ジン
「……ブライ……どうしたんですか?」
ブライ
「俺も寝てるからって言ったんだけど、起きるまで待つって……」
ジン
「そうでしたか……」
「心配されてるのか、疑われてるのか……」
ブライ
「本当に心配してたぞ」
ジン
「それならいいんですが」
ブライ
「それより、どうだった?」
ジン
「品物は大丈夫です。葡萄に林檎、野菜、ミルク、卵です」
ブライ
「それなら、ついに作れるな!」
ジン
「はい! 楽しみですね」
「早く帰って、石の樽とか作らないと」
ブライ
「手伝える事は言えよ」
ジン
「はい。その時はお願いします」
看守は、ジンとブライを見ていた。
会話までは聞こえていない。
それでも、その視線はしばらく動かなかった。
仕事を終え、小屋に戻ると、4人は葡萄の仕分けを始めた。
レイ
「傷んだ物や傷があるのもダメだから、しっかり確認!」
ラック・ブライ
「はい!」
4人は仕事の時よりも真剣に葡萄を仕分けた。
ブライ
「ダメなの、食べてみていい?」
ジン
「いいですけど、美味しくないと思いますよ」
ブライが一粒食べる。
ブライ
「ッッ! 酸っぱい!」
レイ
「葡萄は食べる物ではないから」
ブライ
「昨日は辛くて、今日は酸っぱいのか……」
3人はブライを見て笑う。
ラック
「ここまで来たら、お風呂と食事を済ませよう」
今回は葡萄酒作りに時間を使いたいため、焼き魚と焼き野菜で夜ご飯を手早く済ませた。
ジン
「樽、作りますね」
ラック
「それ、どこに隠す? 床下はお風呂だし、アイテムボックスは時間が止まってるだろ?」
ジン
「そうでしたね……」
ブライ
「風呂をアイテムボックスに入れて、そこに置けばいいじゃん」
「風呂に入る時は樽をしまって、風呂を出せばいいじゃん」
3人
「ッ!」
ラック
「ブライ! やるな! それでいこう!」
ジン
「流石ブライ!」
レイ
「やるな! ブライ!」
ブライが、またドヤ顔で3人を見る。
レイ
「判った、判った。凄い、凄い」
ジンは湯船をアイテムボックスに収納した。
ジン
「始めますね」
「【ヴラホス】」
ジンが唱えると、地面から岩がせり上がる。
ジン
「削っていきます!」
「【シエラ】」
ジンが岩を削っていき、石の樽が出来上がる。
ジン
「余った石で蓋も作りますね」
「【シエラ】」
ジンは石の樽に合う蓋も作った。
ラック
「ジン、重くて持てないよ」
ジン
「大丈夫です。収納して出せば蓋出来ますよ。蓋をしたら、魔法でくっつけます」
ジンは蓋をアイテムボックスに入れる。
レイ
「葡萄、潰して樽に入れていくぞ!」
4人の葡萄酒作りが始まった。
今後もよろしくお願いします。




