第28話 葡萄酒へ
いつも読んでいただきありがとうございます。
パクッ!
ハムッ!
ガブッ!
ジンは、3人のリアクションを待ちながら、じっと3人を見ていた。
ラック
「ッ! なんだこれ!」
レイ
「これはッ!」
ブライ
「はぁ~」
3人
「美味いッ!」
ジン
「良かった。口に合いましたね」
レイ
「なんだ、このバター! 濃厚だ! 香りもいいし、塩気もいい!」
ブライ
「これ、肉に乗せてもいいかも」
ジン
「肉にもいいですが、かなり濃くなりそうですね」
ラック
「魔物の肉じゃなければ、魔物の肉に近付くかもな」
ジン
「そうですね。魔物の肉は、あれで完成に近いですよね」
「魚もどうぞ」
3人は魚にも手を伸ばす。
ラック
「これ……俺好き!」
レイ
「焼いているのに、焼き魚とは違う!」
ブライ
「なんだこれ……。うちらが食べていいのか?」
ジン
「いいんですよ。俺達が頑張って取ったんですから」
ラック
「ほとんどジンだろ?」
レイ
「そうだよ。取っても持って帰って来られないんだから」
ブライは無言でジンに向かって手を組み、神に祈るような格好をする。
ジン
「やめてくださいよ」
「冷めないうちに食べましょう」
4人が食べ始めると、いつものごとく、食べ終わるまで誰も喋らなかった。
ジン
「美味しかった。今度はニンニクも入れましょう」
ラック
「あれを入れるのか?」
レイ
「全部にんにくの味になるのでは?」
ジン
「味はニンニク強めですが、バターの香りもコクも加わるんで、かなり美味しいですよ」
ラック
「明日が楽しみだな」
ジン
「明日はまだ葡萄も入らないので、ご飯に力を入れましょう」
「明日はキノコをニンニクとバターで炒めて、肉も少し使って切り身を炒めましょう」
「肉用に少しソースも作りますよ」
レイ
「それはいいな! 塩もいいが、肉用のソース楽しみだな」
ジンは玉ねぎとニンニクを取り出した。
レイ
「2つでソース?」
ジン
「本当は調味料も欲しいんですが、ここでは作れないので」
レイ
「いいさ。作って足りなければ、好みで足せばいいんだよ」
ジン
「はい」
ジンはニンニクを【アエラス】で微塵切りにする。
玉ねぎは石ですりおろした。
まずニンニクを炒め、ニンニクに焦げ目がついたところで玉ねぎを入れる。
そして、玉ねぎが飴色になるまでじっくり炒め、塩で味付けをした。
ジン
「出来ましたよ」
ラック
「ソースなのに、液状じゃないんだな」
ジン
「調味料があれば液状にもなるんですがね。でも、汁は多めですよ」
レイ
「汁多めの玉ねぎって感じだな」
ジン
「そうですね。後は好みの木の実……これは好みが分かれます。肉に合うかどうか……かなり辛いと思います」
ジンは山椒を取り出した。
ジン
「生で食べるのは怖いから、少し茹でておきますね」
ジンは山椒の実を茹で、それを乾燥させておいた。
レイ
「明日が楽しみだな」
翌日の朝
レイ
「ジン⋯バタ貰ってもいいかな?」
ジン
「もちろんですどうぞ、焼いたパンに合いますよ」
ラック・ブライも無言でジンを見る
ジン
「ちゃんとありますよ」
みんなで焼いたパンにバターを乗せて食べる
レイ
「なんだこれ!こんなの食べたら今までのパン食べれなくなる!」
ラック
「本当だな!油がこんなにパンに合うとは⋯⋯」
ブライ
「バタ⋯美味い⋯⋯バタだけ食べたい」
ジン
「ブライ、それは結構辛いですよ」
4人は笑いながら朝食を済ませて、奴隷の仕事に向かう
夕方
いつものように仕事を終え、小屋へ戻ろうとした。
すると――
看守
「ちょっと待て!」
4人がビックリして振り返る。
看守は、こちらを睨み付けていた。
ラック
「なんですか? また何か言われてるんですか?」
看守
「いや、それはもう来なくなった。言いに来ないだけで、他の奴らは何か言ってるがな」
レイ
「それじゃぁ……?」
看守
「お前ら、何してる?」
ブライ
「何って、仕事して飯食って寝てます」
看守
「お前達だけ、毎日元気だし、なんか匂うんだよな」
ジン
「体は洗ってますが……」
看守
「そっちじゃない。臭くないんだ」
「他の奴隷はちょっと臭うが、お前達は臭くない。それどころか、少しいい香りがする」
ブライ
「ッ! そ、そ、それは……」
看守がブライを睨み付ける。
ジン
「体を洗った後、この木の実を潰した液を体に付けてます」
ジンは手に赤い木の実を持っていた。
看守
「これは、その辺に落ちてる木の実だな。食べれるか?」
ジン
「食べられないですが、潰すと少し良い香りがするんです」
看守は木の実を潰し、匂いを嗅ぐ。
看守
「確かに、ほのかに良い香りだな」
ジン
「洗っても臭うときがあるので、それで誤魔化してます」
看守
「……なるほど。判った。済まなかったな」
ラック
「いえいえ」
看守
「お前達も色々苦労してるんだな。頑張ってもらうしかないんだが」
レイ
「はい、大丈夫です」
看守
「行っていいぞ。悪かったな」
4人は小屋に入ると、その場に座り込んだ。
ラック
「危なかった……」
レイ
「ブライがめっちゃリアクションしちゃってたよ……」
ブライ
「だって……いきなり言われたら、無理だよ……」
「ジン……助かったよ」
ジン
「俺もビクビクだったよ」
ジン
「でも、あの看守さんは大丈夫ですよ」
ラック
「話し方も、俺達奴隷なのに普通だからな」
ジン
「そうですね。見下すことも差別することもなく、心配してくれますからね」
レイ
「そうだな。こんな状況じゃなければ……」
ジン
「そうですね」
「とりあえず、お風呂とご飯にしましょう。今はどうにも出来ない問題ですから」
ラック
「そうだな……。うちらはサボらず仕事しよう」
「飯食べて、明日も仕事しよう」
4人は小屋に入り、お風呂と食事の準備を始める。
キノコと肉を切り、ニンニクを微塵切りにする。
フライパンにバターとニンニクを入れ、キノコを炒めていく。
その後、肉も加えて炒め、夕食が完成する。
レイ
「ニンニクとバターの香り、凄いな! 腹が減る!」
ラック
「凄い! 早く食べよう!」
ブライは何も喋らず、肉を凝視していた。
ジン
「明日は葡萄が手に入りますし、今日は豪華にいきましょう!」
3人
「おー!」
4人が食べ始める。
ラック
「ニンニクにバター、凄い合う! なんだこれ!」
レイ
「キノコも凄いが、肉用のソースも凄いな!」
ブライ
「……ジン……この木の実……辛いし、舌がピリピリするよ……」
ブライは味見をするつもりで、山椒だけを多めに食べてしまっていた。
ジン
「ブライ、それはスパイスって言ったじゃないですか。しばらくは口の中がピリピリしますよ」
ブライ
「味が判らないよ……」
3人は笑う。
ブライは顔を歪めたまま、それでも食事を最後まで食べ終えた。
ラック
「明日は葡萄が手に入るな!」
ジン
「作ってすぐには飲めないですけど、まずは作らないとですからね」
レイ
「成功させるさ!」
ブライ
「頼みます!」
ラック
「俺達も手伝うんだよ!」
ブライ
「もちろん! 出来ることは手伝う!」
4人は、葡萄酒に向けて動き出した。
今後もよろしくお願いします。




