第24話 念願の肉
いつも読んでいただきありがとうございます。
小屋の扉が勢いよく開いた。
バンッ!
ラック
「ジン!」
レイ
「大丈夫か!?」
ブライ
「生きてるよな!?」
扉が開くなり、3人が凄い勢いで小屋へ入ってきた。
ジンは、あまりの勢いに引きつった笑顔を浮かべる。
ジン
「ビックリしたッ!」
「ちゃんと生きてますよ。どこも怪我してません」
その言葉を聞いた瞬間――
ラックは膝から崩れ落ち、そのまま床へ座り込んだ。
レイは大きく息を吐き、優しい笑顔を浮かべる。
そしてブライは何も言わず、ジンを強く抱き締めた。
ジン
「心配掛けました。すみません……」
3人は笑顔で答える。
「本当に良かったよ」
ジン
「ありがとうございます」
少し落ち着いたところで、ラックが尋ねる。
ラック
「……勝ったのか?」
ジン
「…………勝った……と思います」
レイ
「どういうことだ?」
ジンはアイテムボックスを開く。
そして――
ドサッ。
中から、ヴィソーンの腕を取り出した。
ブライ
「…………ッ!」
次の瞬間。
ブライ
「にくーーー!!」
「にーーくーー!!」
「肉だーーー!!」
ブライのテンションが一気に跳ね上がる。
ラック
「ヴィソーンの腕だな」
「ちゃんと勝ってるじゃないか」
ジン
「持ち帰ったのは、これだけです」
レイは不思議そうな顔をする。
ジン
「……ヴィソーンを倒し……」
「……殺してないです」
ジンは少し俯いた。
するとラックが、ジンを抱き締めたまま優しく言う。
ラック
「いいんだ」
「殺さなくていい」
「ジンは合ってる」
ラックの優しい抱擁が続く。
ジン
「ラック……」
「俺、ヴィソーンの腕も……治療してきた……」
ラックは少し驚いた表情を見せる。
しかし、すぐに優しい笑顔へ戻った。
ラック
「それがジンだ」
「優しい子だ」
「ジンは正しいよ」
小屋の中が、温かな空気に包まれる。
――その時。
ブライ
「肉! 肉! 肉! 肉! 肉!」
「焼く?」
「煮る?」
「にーく、にーく、にーく……」
レイがブライの近くへ歩いていく。
パシッ!
ブライ
「ッ!」
レイ
「ブライ……流石にそれはダメだ」
ブライ
「ッ! ハッ!」
「……レイ……すまない」
「ちょっと、調子に乗りました……」
レイ
「はい、いいよ」
その様子を見ていたラックとジンは、思わず笑ってしまう。
そして――
いつもの夜が始まった。
ジン
「お風呂の準備、しちゃいますね」
「肉はどうしますか?」
「直火? フライパン? 煮ますか?」
3人
「直火!」
ジン
「最初はそうですよね」
「分かりました」
4人はいつものように風呂へ入った。
しかし――
今日のブライは、明らかに落ち着きがない。
ヴィソーンの肉が楽しみで仕方ないのだ。
ブライ
「出るよ!」
レイ
「ブライ!」
ブライ
「何? 何?」
ラック
「ブライ、ちゃんと洗え!」
ブライ
「洗ったよ!」
ジン
「ブライ!」
「肉抜きにしますよ」
ブライ
「ッ!」
その瞬間。
ブライは驚くほど素早く動き始めた。
ゴシゴシゴシゴシ!
必死になって身体を洗う。
3人は笑いながら、そんなブライを見ていた。
ジン
「では、いきますよ」
風呂を終えると、ジンはヴィソーンの肩の部分を取り出す。
そして手をかざす。
ジン
「アエラス」
シュッ!
風の刃がヴィソーンの肉を切り裂く。
しかし――
ジン
「……全部は切れないんですね」
風魔法は肉を切ったものの、骨にまでは届いていなかった。
ジン
「それなら……」
「イスヒロス・アネモス!」
次の瞬間。
ザシュッ!!
ヴィソーンの肉が、石の皿の上へ落ちた。
ジン
「こっちなら1回で切れますね」
ジンは4人分の肉を切り分け、残った肉をアイテムボックスへしまう。
そして振り返る。
レイ
「ジン……やっぱり凄いな……」
ラック
「敵じゃなくて良かった……」
ブライ
「……に……く……」
ジン
「早く自分の肉を取らないと、食べちゃいますよ」
ブライ
「ッ!?」
4人は慌てて肉を取り合う。
そして――
直火で肉を焼き始めた。
ブライ
「にっく、にっく、にっく……」
ジン
「焼き具合は個人判断でいいですよ」
「ちゃんと焼いた方が好きな人もいますからね」
ラック
「ジン?」
「ちゃんと焼く以外あるのか?」
ジン
「中が生みたいな状態で食べないんですか?」
ラックとブライは、揃って首を横に振る。
レイ
「ジンは本当になんでも知ってるな」
「でも、レアは高い肉でしかやらないよ」
「普通はしっかり焼かないと腹を壊す」
「酷いと……死を招く」
ジン
「そ、そうなんですね……」
「ヴィソーンもしっかり火を通した方がいいんですか?」
レイ
「ヴィソーンはレアで大丈夫だ」
その言葉を聞いた瞬間――
ジンの目の色が変わった。
そしてラックとブライも、レイの言葉を聞いて肉を見る。
4人は――
ヴィソーンの肉をレアの状態で引き上げた。
「…………」
全員が肉を見つめる。
そして――
ゴクッ!
4人同時に唾を飲み込む。
次の瞬間。
ガブッ!
カプッ!
ハムッ!
バクッ!
4人が一斉に、ヴィソーンの肉へかぶりついた。
今後もよろしくお願い致します。




