↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら奴隷になりました[魔力を得て楽しく暮らます]  作者: アル治


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/51

第1話  家族

読んでいただきありがとうございます。

俺は、転生していた。


前世の記憶もある。


けれど、この世界で前世の知識をひけらかして生きていたら、面倒なことになる気がした。


だから――普通を演じることにした。


とはいっても、赤ん坊の俺には何も出来ない。


腹が減れば泣く。


オムツが汚れれば泣く。


それ以外は、なるべく泣かない。


泣けば誰かに迷惑を掛けるからだ。


母親は、そんな俺を抱き上げながら笑っていた。


母

「ジンは偉いね」

「ご飯とオムツの時しか泣かない」

「本当に手の掛からない子」


俺は母親の腕の中で、黙って彼女の顔を見つめていた。


ジン

【母親って……こんなにも温かいものなのか】


前世では、親孝行らしいことを何1つ出来なかった。


そのまま死んでしまった俺にとって、この世界の母親は不思議な存在だった。


最初の頃、俺はこの人を「この世界の母親」としか思っていなかった。


けれど――


一緒に過ごす時間が増えるにつれて、その考えは少しずつ変わっていった。


この人は、俺の母親だ。


そう思えるようになっていた。


そして俺は、すくすくと成長していった。


ただ、幼い頃から気付いていたことがある。


この家は――裕福ではない。


食事は決して多くない。


服も継ぎ接ぎだらけ。


家も決して立派ではない。


それでも――


温かい家庭だった。


俺には兄が2人いた。


そして、俺が五歳になる頃には弟も生まれた。


家族が増える。


嬉しい。


でも――


ジン

【この家……経済的にかなり厳しいな】


【このままだと、いつか破綻する……】


そんなことを考えながら、俺は十歳になった。


そして、その日。


父親と母親に呼ばれた。


父

「ジン……」


父親は、しばらく黙っていた。


そして、苦しそうに口を開いた。


父

「お前には……すまないが……」


「お前を売ることにした……」


ジン

【……やっぱり、そうなるか】


驚きはなかった。


家族が増えた。


食べる物も必要になる。


このままでは、家族全員が苦しくなる。


だから――


俺なのだ。


ジン

「分かりました……」


「俺が行けば、家族は大丈夫なんですよね?」


母親は泣いていた。


何も答えられない。


父

「……すまない」


ジン

「大丈夫です」


「家族のためになるなら……」


「俺、恩返ししますよ」


父親は、俺の言葉を理解出来ないようだった。


それでも――


俺は売られることになった。


その夜。


兄たちが俺の部屋に来た。


次兄

「……悪いな」


「俺は身体が弱くて……」


長兄

「俺はもう働いてるから……」


「俺を売るわけにはいかないんだ……」


2人とも、苦しそうな顔をしていた。


俺は笑った。


ジン

「大丈夫だよ、兄さんたち」


「俺、幸せだったよ」


「この家に生まれて良かった」


2人は何も言わなかった。


ただ、黙って俺を抱きしめた。


その夜。


俺は家族と過ごす最後の時間を、静かに過ごした。


明日。


俺は――


奴隷として売られる。

今後もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。