表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンマスクより ーふたつのゴールー  作者: 福本 美憂


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/29

瑠(るぅ)

「瑠はさ、WEリーグとか行かないの?」

ってさー。律と同様の無神経な質問だよね。

行きたい気持ちはもちろんある。実はあるチームから誘いもある。

正直、迷ってる。

ゴール前で迷ったことなんて1度もない私が。


子どもの頃から兄の背中を追いかけてた。

海外でサッカーをする兄に「置いて行かれた」感覚。

無気力な、それでもサッカーはしたくて、

サッカーさえできればいいって思ってたけど、鈴のせいで自分の中の何かが騒ぎ出してる。

「サッカーが好き」だけで突っ走る、あいつのせいで。

私は、とっくに諦めたはずの夢まで思い出してしまう。


律が好きなのは本当だ。


今、律はうちのチームのために力を尽くしてくれている。

そして、

このチームをWEリーグに参戦させようと基盤を作っている。

私がこのチームから消えたら

自惚れて言えば、律の計画が大きく狂うことは間違いない。

だから、

チームを抜けるのは今じゃないと思ってる。


じゃ、いつなんだ?


言い訳してないか?


年齢は容赦なく選手生命を削っていく。

私、どうしたいんだろ。

怖いのかな。

律や鈴を捨てていくこと、レベルの高い場所でサッカーをすることが。

今までの私だったら、そんな人生は捨てていたんだけどね。


鈴が悪い!

その上、鈴の息子が追い討ちをかけて聞いてきた。


「瑠はさ、WEリーグとか行かないの?」

Jリーガーにこんなこと言われるのが、どんだけ強く背中を押すか、あいつは分かってない。分かってないで言ってんのが、ホント、むかつく。

Jリーガーの息子で、当たり前のようにJリーガーになってる君とは、違う人生を歩んでるんだよ、こっちは!


でも、むかつく理由はもう一つある。


私が、律以上にあいつが気になっているってことだ。

自分の人生にあいつを加えるとややこしいことになるから、あまり考えないようにはしてるんだけど、こんだけ影響力のあるセリフを吐かれると、困る。


結婚して、子ども産んでとか考えてもみなかった。

でも、誰かを好きになるその先には、あってもおかしくないことだ。

今まで、それを省いてのサッカー選手寿命を計算してた。

サッカーだけを並べた人生設計だった。

引退は何歳で、そのあと仕事をして。

それだけで十分だと思っていた。

誰かと生きる未来なんて、計算式の中には一度も入れたことがなかった。

なのに最近は、鈴の家で笑う時間や、律とサッカーの話をしている時間や、あいつの何気ない一言まで勝手に入り込んでくる。

そんな予定外の未来を想像してしまう自分がいる。

そう考えると、

今なのかもしれない。

WEリーグへ行くのも。

私の人生を、自分で選ぶのも。

誰かを好きになるのも。



明日につづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ