現実
「起きてください!お嬢様!」
「ん〜………え?」
知らないおばさんに起こされた。誰ぇ?この人。
知らん部屋だしさ。てか、お嬢様?今俺のことお嬢様って言った?
「ん、おはよ」
「おはよって………旦那様がお呼びですよ」
「はいはい、わかったから」
「何ですかその口の利き方は!昨夜の件、旦那様は大変お怒りでしたよ!」
なんかキレられた。昨夜の件って………ああ、あの金髪殴った件か。夢に後日談とかあるか?これって現実なのかな………。
おばさんに案内されて食堂に行くと、おそらく父親であろう口元に髭を生やしたおっさんと母性溢れる綺麗なお姉さんが椅子に座っていた。
「シルフィ!!!」
入って早々におっさんが怒鳴ってきた。この世界の男って喋る時に怒鳴らないといけない決まりでもあるの?
「なに?」
「親に向かって何だその口の利き方は!」
「さっさと用件を言ってくださる?」
「貴様ァ!!」
パァン
おっさんにビンタされた。娘に手あげるとかクソジジイじゃん。
「ってぇなぁ」
「昨夜のパーティーで王子殿下を殴ったと聞いたぞ!ふざけるのも大概にしろ!!」
「向こうが先に手出してきたんだから正当防衛でしょ」
「そんなことはどうでもいい!殴ったことが問題なのだ!!」
どうでもよくねぇだろうがふざけんな。テメェの娘が手出されたのにやり返すなってイカれてんのかこのクソジジイ。
「手を出されたのも貴様がアイリスという娘をいじめていたのが原因だろうが!」
「やってません」
「嘘をつくな!殿下から聞いているんだ!」
「なら証拠出せよ」
「は?」
何で証拠出せっつったら驚くんだよ。昨日の件でキレるんならいじめの証拠くらい出してから文句いえよ。
「もしかして、ないのに怒鳴ってましたの?最っ低ですわね!」
「貴様ァ!!」
パァン
まだビンタされた。どいつもこいつも都合が悪くなったらすぐ手出すクソ野郎だな。
「ってぇんだよこのクソジジイ!!」
「親に向かってクソジジイとはなんだ!!」
「証拠もなしに片方の言うことだけ信じて娘のことを信じずに怒鳴って都合が悪くなったら叩くなんてクソジジイ以外の何物でもないだろうがボケェ!!!」
マジでこのクソジジイが。殴られないだけありがたいと思えってんだよ。
「シ、シルフィちゃん?一旦落ち着いてお話しましょう?ね?」
「初っ端から怒鳴ってきて、反論したら手出すやつとどうやって落ち着いてお話するの?バカなの?」
「っっ!?」
お姉さんがすっごい驚いてる。まさかこの状況で落ち着いてお話できると思ってたの?頭の中お花畑なの?
「母親に向かってバカとはなんだ!!」
「自分のせいで話が進まない自覚ありませんの?」
「貴様ァいいかげんにしろ!」
「だ、旦那様も落ち着いて……」
「お前は黙ってろ!!」
「ひっ………」
は?とうとう嫁にまで怒鳴りだしたぞこいつ。頭の中お花畑とはいえ、綺麗なお姉さん泣かすとか許せんわこのクソジジイ。
パァン
ビンタした。2発も食らわされたし一発くらいいいよね。やっぱりクソ野郎をしばくと心が軽くなるわ。最初からこうすればよかった。
「お話………できますわよね?」
「あ、ああ」
めちゃくちゃ驚いてる。普通に考えて王子殴った奴が自分の父親に手出せないわけないじゃん。やっぱりバカだろこいつ。
「私のいじめの証拠として出されたのは、目撃者と暴言の書いてある教科書でしたわ」
「目撃者がいるじゃないか」
「そんなものは、金でも握らせればいくらでも捏造できますわ」
「教科書に書いてあった字がお前の字だったんだろう」
「筆跡くらい簡単に真似られますわ」
マジで娘のこと信じてねぇんだなこのジジイ。
「それでアイリス様に直接どんなことをされたのか聞きましたの。そしたらされたことを思い出して泣いてしまいましたわ」
「それで殿下が……」
「その通りですわ。ちなみに、アイリス様はひと言も私にいじめられたなんて言ってませんわ」
「そうか………」
急におとなしくなるじゃんこのおっさん。そんなに娘に殴られたのが信じられないの?
「あ、ついでに婚約破棄されましたわ」
「は?どういうことだ」
「いじめの件を話し出す前に高らかに宣言してましたわ。お前との婚約を破棄するって」
「そんな馬鹿な………」
「パーティーの参加者に聞けばすぐにわかる話ですわ」
パパンが物凄く動揺してる。やっぱり婚約破棄はマズかったかな?まあ、王子の命令だし仕方ないよね!




