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11.学園祭

学園祭当日。


「どうですかシルフィ!似合ってますか?」


メイド服姿のアイリスが目の前でくるくると回って魅せてくれる。


「控えめに言って最高」


マジで可愛い。目の前に天使が降臨した。

自分が店員側なのが悔やまれるわ。

だってあれでしょ?客になったら、アイリスに「お帰りなさいませ♡」とか、「美味しくな〜れ♡」とか言ってもらえるんでしょ?羨ましいわ。


「俺の方はどうだ?」


アレックスの方も着替え終わったようだ。

すんごい似合ってる。モノクルなんて付けちゃってさ、やっぱりイケメンって何着てもイケメンなんだな。


「殿下も似合ってますよ」

「そうか!」


最近気づいたけど、もしかしてこのドM王子って大型犬みたいな可愛いやつなのでは?なんか犬耳と尻尾が見える気がする。


「シルフィも似合ってますよ!」

「え?」

「本当に似合っているぞ」


まったく、このダブルわんこは………俺は超絶美人なんだから何着ても似合うに決まってるだろ。

けど、メイド服よりも執事服の方が似合う気がするんだよな。アイリスみたいに可愛い系というよりは綺麗系だから、男装の麗人って感じで人気出そうだし。


「最初は3人。休憩は殿下、アイリス、私の順番で問題ないですわね?」

「はい!」

「もちろん」


学園祭が始まった。

この世界にはないメイド喫茶というのが話題を呼んだのか、オープンから人が押し寄せてきた。


「思ったより、人が来ましたね………」


流石に、ホール3人は厳しかった。

というよりは、素人3人だけで遊園地の人気アトラクションくらいの人数を捌くのは無理があった。


「結構落ち着いてきましたね。殿下、休憩入っていいですわよ」

「ありがとう、助かるよ」

「1時間後には戻ってきてくださいね」


人も少なくなってきたので、大型犬を休憩に入らせた。


「君可愛いね、うちで働かない?」

「仕事中ですので………ごめんなさい!」

「なら休憩入るまで待つからさ」


アイリスが身なりのいい兄ちゃんに絡まれてる。

ナンパか?でもうちで働かない?って言ってたよな。

どちらであれ、あいつらのせいで俺がホールワンオペする羽目になるからさっさと助けよう。


「アイリス、ちょっといいかしら」

「なに?俺、この子と話してるんだけど」

「お待ちのお客様をご案内して頂戴」

「はい!」

「おい!話は終わってねぇぞ!」


ああいうナンパ野郎は居ないものとして扱うに限るわ。アイリスも気づいてくれたみたいだし、なんか喚いてるけど無視しよ無視。


「おいっ!!!」


ナンパ野郎に腕を掴まれた。

なんで俺の腕を掴むの?こういうのってナンパしてる相手の腕を掴むんじゃないの?しかも強く掴むせいで普通に痛えし。


「おい、俺のシルフィに何をしている?」


大型犬が散歩から帰ってきたみたいだ。もう1時間経ったのか。てか、誰が俺のシルフィだよ。とっくに婚約破棄しただろうが。


「あら殿下。お帰りなさい」

「殿下!?」


そりゃ驚くよな。自分の国の王子が執事服着て店員やってるんだもん。


「それで?俺のシルフィに何をしていたんだ?」

「いえ!何でもありません!」


ナンパ野郎共がそそくさと去って行った。

殴り合いを覚悟してたけど、やっぱり権力って偉大だわ。


「殿下がお戻りになられたのなら、アイリス休憩入っていいわよ」

「はい!」


大型犬と入れ替わりでアイリスが休憩しに行った。


「殿下!注文お願いしますわ!」

「殿下!こちらもですわ!」


今度はバカ王子目当ての令嬢たちが大量に押し寄せてきた。

ドリンク1杯で長居しやがるので普通に迷惑だ。つうか、貴族が金ケチってんじゃねぇよ店への迷惑考えろ。しかも、


「お客様、ご注文お伺いいたします」

「貴方には頼んでませんわ!私は殿下に頼んでますの!」


こんな感じで、俺が注文聞きに行っても拒否される。

ここぞとばかりにバカ王子を酷使しやがって、お前らのせいで他の客を全員俺1人で捌いてんだぞふざんけな。


「シルフィ………」

「シルフィちゃん」

「ん?パパンとママンじゃん!来てたんだ」


パパンとママンが来ていた。

パパンは殴り合ってからまともに会話してないから、少し気まずそうだ。ママンは相変わらずホワホワしてる。


「ご注文は?」

「コーヒーとおすすめを一つ」

「おすすめ?」

「ああ、娘のおすすめの品を食べてみたいのでな」

「わたくしも同じものを頂戴?」


このおっさん、可愛いとこあるじゃん。あの時は王子を殴った件で気が動転してだけで、案外ただの不器用なお父さんなのかな。


「シルフィ、戻りましたよ!休憩どうぞ!」

「ありがとうアイリス。でも、両親が来ているからもう少しだけ働くわ」

「休憩は大事だぞ。行ってきなさい」

「え?」


マジでどうしたんだこのおっさん。まあ、ご厚意はありがたく受け取るけど。


「では、お言葉に甘えさせていただきますわ」

「シルフィ、学園祭が終わったら話がある」

「わかりました」


話がある。か、どうしたんだろ。まあ、そういうことはその時の自分に任せよう。


「シルフィ、待っていたんですよ?」

「なっちゃん!」


裏に戻ると、なっちゃんがいた。

なんでも、学園祭中とはいえ1人になればいじめられないとも限らないからと、殿下に頼まれたらしい。


「それじゃ、行きましょうか」

「ごめん、その前にお花を摘みに行ってもいい?」

「ええ、もちろん。では、私はトイレの前で待っていますね」


オープンからずっとホールで立ちっぱなしでトイレに行く暇もなかったし、なっちゃんならトイレの個室の前までは来ないだろうから気も楽だし、さっさと用を足すとするか。


「ふ〜すっきりした」


用も足したし、なっちゃんが一緒ならいじめられないし、改めて学園祭楽しむぞ!

そう思った時だった。


「むぐ!?」


口元に濡れた布が当てたれた。

いじめか?いや、入ったときには誰もいなかったし、表にはなっちゃんがいるからありえない。ならなんだ?

ヤバい、どんどん………意識……が………遠く…………

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