学園祭準備
「もうすぐ学園祭の時期ですね!」
「学園祭?」
「知らないんですか?学園祭の出し物を今日決めるんですよ!」
なるほど、文化祭か。ここ最近アイリスのテンションがいつも以上に高かったのも頷ける。
異世界の文化祭がどういうものなのか気になるな。
乙女ゲーの文化祭とかだとあれじゃん。スチルとかあるでしょ、やっぱり攻略対象の好感度とか上げるイベントとかもあるのかな。
あ、でもそうなるとアイリスがあのバカ王子×2とイチャイチャするところを見せられることになるよな………。
うん、元の世界で彼女とかいなかった俺がそんなの耐えられるわけないわ。血の涙とか流しかねないわ。
「さて、学園祭の出し物を決めるわけだが、誰か案はあるか?」
「…………」
誰も手を挙げない。もしかして、学園祭って人気のないイベントなのか?でもアイリスは楽しみにしてそうだったよな。
「誰も案はないのか?ならこちらから名指しするぞ。シルフィ・ローズ」
「は?」
バカなのか?このクソ教師。我、いじめられっ子ぞ?
普通に考えて、俺の案とか絶対に批判されて終わるだろ。
「何かないのか?」
「ないですわ」
「なんでもいいんだぞ?」
「じゃあ、メイド喫茶で」
文化祭といったら、喫茶店かお化け屋敷だよね。
やっぱり乙女ゲーならコスプレとかあってもおかしくないし、何より俺がアイリスのメイド服姿を見たい。
絶対に可愛いもん。あ、俺も着るのか。まぁ、今の俺は超絶美人だからいいだろ。
「メイドなんて下の者がやるようなことは嫌ですわ!」
学園祭の出し物の案が全くでなかった理由が分かった。
うちのクラスは貴族の生徒が多いからだ。貴族だから、店員側になりたくないんだ。自分の支度をしてくれるメイドさんを下に見てるんだ。クソだわ、この世界の貴族。
「でしたら、貴方が何か別の案を出せばいいじゃないですか」
「それは………」
「案がないのなら、黙って従ったほうが楽ですわよ」
「………」
やっぱり貴族の子供として甘やかされてきた奴は、少し言い返されただけで黙る。こっちとしてはそのほうが楽だし、メイド喫茶の案が押し通せそうですなのでむしろ嬉しい限りだ。
「メイド喫茶に決定するとして、男性陣はどうするんだ?」
「男性陣は執事服を着ましょう。メイドと執事喫茶でやればいいですわ」
コスプレイベントといえば、攻略対象の執事服でしょ。それに、アレックスはイケメンだし、王子様の執事服姿とか、物珍しさで来る客増えそうじゃん。儲かるぞこれは。
「決定でいいですわよね?いいなら、さっさと採寸しましょう」
「まて、喫茶店なら料理はどうするんだ?」
完全に忘れてた。どうしよ、貴族が料理とかできるわけないよな、誰か料理作れる人いないかな。アイリスは?アイリス一人だけだと荷が重いよな。食堂のおばちゃんは?後で聞きに行ってみよう。
「どうしましょう?」
「どうしましょうって………何か当てはないのか?」
「食堂のおばさまあたりにでも頼んでみますか」
昼飯食うときにでも頼んでおくとしよう。
「さて、今度こそ決定でいいですわよね?」
「待ちなさいよ!」
「まだなにか?」
「私はメイド服なんて着たくないわ!」
「俺もだ!」
面倒くせぇなこいつら。嫌なら別の案出せって言ってんだろうが。なんなの?貴族って人語を理解してないの?
「じゃあもういいですわ。接客は私とアイリスと殿下で行います。これなら文句ないでしょう?」
「え、ええ」
「殿下とアイリスも、それでいいですわよね?」
「はい!」
「もちろん」
言ってから気づいたわ。ホール3人はキツくね?しかもホールワンオペはまず無理だから、休憩1人ずつしかはいれないじゃん。マジでやらかした、アイリスと一緒に学園祭見て回りたかったのに………。
「今日の日替わりは何なんでしょうね!」
「さぁ?私は少しお花を摘みに行ってくるので先に行っててくださいな」
「わたしも一緒に行きます!」
「なら俺は、先に食堂に行って席を取っておこう」
うんうん、偉いぞアレックス。ようやくお前にも女心というものが分かってきたか。俺、男だけど。
「シルフィ?トイレにお花はありませんよ?」
「女性がトイレに行くときに「トイレ行ってきます!」じゃはしたないでしょう?だから遠回しに言うのよ」
「そうなんですね!」
アイリスも『お花を摘みに行く』の意味知らないんだな、平民だからかな?それとも、この世界にはこういう遠回しな言い方はないのか?
「シルフィちゃん、今日は何にする?」
「日替わりのAもBも気になるな〜。ねぇ、アイリス半分こしない?」
「する!」
はい可愛い。流石は俺の推し。あれ?天使かな?やはりこの世に天使は存在したのか………。
じゃなくて!推しは愛でたいけども、その前におばちゃん達に学園祭で料理作ってくれって頼まないとじゃん!
「おばちゃん!うちのクラス、学園祭で喫茶店やるんだけどさ、そこで出す料理作るのお願いしてもいい?」
「もちろん、構わないよ。シルフィちゃんはあたしらの娘みたいなものなんだから」
「ありがとう!」
おばちゃん………。マジでいい人達だわ。こんな俺を娘みたいなものなんて………もう心の中ではお母ちゃんって呼ぼうかな。
料理を作る人も見つかったし、ホールは俺とアイリスとアレックスだけだし、後は学園祭が始まるのを待つだけだな。




