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瀬戸内マリンドラゴン  作者: 井田雷左
序部 マリンドラゴン現る
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第2話 決戦!瀬戸内海国立公園 Act3 真水2



     2



氷室が艦長を務めるはやしお型潜水艦が潜行し、波が静まり、10分の時間が過ぎた。

民間船のタンカーは後方に回り、その前をかばうように栗久が船長を任された巡視艇いつくしまが展開している。

この二艘内では今でも排水やメンテナンスをクルーらが船内を走り回り、多忙だ。

いつくしまにも海底レーダーはある。

だから栗久は「動かない、なんでだろう」とマリンドラゴンの伴賀に話しかけた。

「出方をうかがっているともいえるが、それよりこっちがハープーンを持っていないかを探っているのさ」

もうマリンドラゴンははやしお型へ直接攻撃できる兵器を持ち合わせていない。

だが氷室としては、あんなけったいな武器~ファイヤーソードを見ているので、用心はしている。

特に、ハープーン・ミサイルを所持している可能性をファイヤーソードを見て、その確率を上げたのだ。

ハープーン、戦艦が空に向かって発射し、弧を描く、又は海上すれすれを行き、敵に着弾させる。

自動追尾システムに優れ、発射したならば、必ず敵を肺腑をえぐる。

だが対戦艦戦では有効だが、着水した瞬間、その音=振動は潜水艦のソナーとソナーマンに捉えられ、回避されるか・魚雷によって迎撃される。

だから、戦艦が潜水艦に当てに行くには複数発射をする必要がある。

と、このように解説したが、マリンドラゴンはハープーン・ミサイルなど装備していない。

「よしっ!あの火柱使い、ハープーンは所持していない!」

氷室が乗組員に聴こえるように発言する。

彼らはあと数十キロ進み、海底ケーブルを切断すればいい、それが氷室艦長率いるはやしお型クルーの勝利条件だ。

「動いたな」

「動いたね」

戦闘用船舶ではないといいながら、巡視艇いつくしまも単騎決戦型特殊発散船のマリンドラゴンもレーダーでははやしお型を捉えていた。

「じゃ、そろそろ行こうか!」と伴賀が例のイヤパッド型デバイスで仲間6人に話しかける。

「そんじゃあ、予定通りに。伯父貴、レール・カタパルトは準備OK!」と甥の博士。

「ではレーザー・リフレクター80!30枚!順次!掃射!」と伯父の士仁。

レーザー・リフレクション、八幡浜沖海戦では敵の操る漁船やクルーザーを攪乱させるため、光や熱を発して活躍した、直径80㎝もデカいレンズで、眼鏡のフレームのような枠で囲まれ、その枠の四か所にプロペラが付いているデザイン。

(伴賀が個人で使うレーザー・リフレクションは半分の40㎝サイズで、彼は最大20枚を右手に隠れるサイズのコントローラーで操ることができる)

「確か、つまりドローン、ですよね」

艦橋でいちばん下っ端の遼斗だけは作戦を説明されておらず、皆の進行をディスプレイで眺めてる。

「うん、ドローン、だね。ドローンって、空を駆ける以外のドローンもドローンと呼ばれるの、知っている?」

隣りにいる望太郎が解説する。

操舵輪の前には伴賀。

今、レーザー・リフレクターの運動を綾川教授が行っているので、艦長席でなく、立って、操舵主の居所にいる。

ジャムる可能性があるので船底にあるレーザー・リフレクターの射出を甥の博士が見張っている。

房望太郎は最初に伴賀から「遼斗くんと解説役な」と云われる。

そして烏賊偉と吉祥は既にピッポーシリーズに搭乗し、発進命令を待つ身。

「はい!全て無事に射出完了!」

博士がイヤパッド型デバイスに叫ぶ!

そう言った後に彼は艦橋を目指す。

「まさか!」

「そのまさかさ、遼斗くん!」

レーザー・リフレクターの30枚の群れが深海に向かって、ランダムな動きで落下していく。

80㎝の大きさなもの・3㎏の重さのものが自由落下で落ちていくが、その四隅のプロペラで、ちょこまかと動く!

熱や光を発する発散道具としてその能力を発揮する時にはレーザー・リフレクションと呼ばれ、単体・又は静止時にはレーザー・リフレクターと云われる。

「で、房さん!あのレンズの群れは何かビームとか出すんですね!?」

「いや、出さないよ!民間船だよ!これ!」

そう、出さない、出さないがウザい、凄くウザい!

「なんだコレら!ウザい!凄くウザい!」

はやしお型のソナーマン、桶屋は心底ウザく・物凄くストレスを感じた。

30枚のリフレクターが4か所のプロペラで海水を切る度に彼の耳に針を投げているようであった。

「艦長!?」と秋山副官。

「これは、いったい!?」

そう、氷室が躊躇しているのは何かこのレンズが良からぬ機能や装備を持っている可能性のせいである。

あんなヘンなデザインで、30mもの火柱を上げたのだ、これに何かしらの意味があるのはないか、と氷室。

「いや、全速前進!向かうは淡路島、海底ケーブルだ!」

そう、動けばその意味も判るかもしれない。

バッテリーが止まるまで座しているワケにはいかないのだ。

「だが、副長!なにか掛けろ!」と氷室は秋山に指示する。

「なににしましょう」

「なんでもいい、早く」

その数秒後、綾川伯父・甥がギョっとした表情を浮かべる。

それに気づいた伴賀が「音量上げて」と指示する。

そして艦内のスピーカーから壮大にして・鬼気迫るクラシック音楽が流れ始める。

「ドヴォルザークか!交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第4楽章!」

これは意外なことに詰めている吉祥がコクピットから。

「いやぁ、今の状況には合ってはいるけど、ベタじゃないかね」

吉祥の独語に伴賀が答える。

「レーダーがはやしお型の発進を捉えました!」と綾川甥。

「判った、第二段階だ!だがその前に、ちょっと待って!アキ、聴こえている?」

少しの間があって、「はい、おじさま」と亜樹子の声。

「せっかくだから、歌ってくれないか?」

「いやだよー!なんでそんなことをしなければならないのか!?適当なもんをyou tubeから出力させなよ!」

「いや、ここは今、オリジナルを重んじる、瀬戸内国際芸術祭の開催中のメイン会場!そんな借り物とかあり得ない!」とタンカーに同乗していたチューリップハットの天鱈さんが割り込む。

伴賀としては二つ。①レーザー・リフレクターでの攪乱をクラシックで返した氷室に意趣返しをしたい、②氷室にケンカを売った亜樹子に一太刀浴びせさせてやりたい、以上である。

「そう云えば、亜樹子とカラオケ行ったことなかったなぁー」と零子。

「アニメのOPについてよく論じ合ったじゃん、披露しようよ、それをここで」と希雄。

―アニメ、か。まさに戦場において女の子の声が鳴り響き、そのミスマッチという名の相性の良さ。ここはやはり「愛・おぼえてますか」、いや、現役の女子大生、ワルキューレかランカ・リー、そんなところか!」

とは実はアニおたの海保・栗久。

―自分で作詞しちゃう富野御大、井荻麟の名曲、「コスモスにきみと」か「いまはおやすみ」がいいな!そう!あえて「哀戦士」でも「めぐりあい」ではなく、この2曲のどっちかだ!女性目線・立場で戦争を憂う感じがっ!

と実はバリバリのガンオタである房望太郎。

―実はですねー、ロボ大に意外にも出ていたダン・オブ・サーズデイにならって、「虹の彼方」!懐かしいな、アキと美花子さんと3人で、マンションにこもりデリバリーのピザやパエリア食べながら、12時間かけてイッキ観したんだ!そう!あの曲しまあり得ない。

これはそう、毎話悲恋が披露される伴賀さん。

綾川伯父と助手として遼斗が直接通信で、亜樹子からインストゥルメンタル、つまりカラオケの指示を受ける。

そして曲が流れ出す。

当然、レーザー・リフレクター30枚を通して、海中・海底にも間抜けな前奏が流れる。

―ハッ!アキ!その曲はやめろ!やめるんだーーーーーーーーーー!!!

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