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瀬戸内マリンドラゴン  作者: 井田雷左
序部 マリンドラゴン現る
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第1話 過激派の殺し方教えます Act.3 ファイヤー・ソード 6



     6



物語は伴賀と二村を追うが、その前に2点。

くみ子に夜風をあててくれたオレンジ髪のコを筆頭とするギャルっぽいコたちの援交少女たちだが、四谷雛が第二陣として連れてくる予定だったが、マリンドラゴンの襲撃が始まり、なんの連絡もないものだから、近所のコンビニで酒とツマミを買い、酒盛りをそのマンションの一室で始めた。

「超パネェ!みんな!海、燃えているよ!」

オレンジ髪がストロングゼロ片手にベランダから見る光景はファイヤーソードの結果だった。

この女たちが撮影・拡散し、地元に戻り語ることでマリンドラゴン伝説は確実に広がっていくのである。

この光景は深夜だというのに思いのほか、人々に目撃された。

八幡浜から、遠くは佐多岬からも見えたと云われる。

ハーケンでするするとスカイピッポーにたどり着いた伴賀は西谷に耳打ちをした。

「日左連の船を全部撃破するチャンスだ!ニッシー、きみはマリンドラゴンと合流してくれ!それと吉祥と烏賊偉の回収も頼む!そろそろ1時間、あの2人程の手練れでももう限界だろう」

伴賀はキッドに探らせている、使える船を。

あった!無傷のモーターボート!

「あすこにハーケンを打ち込んでくれ!あの男はオレがヤる!」

別のキッドには二村が乗る漁船を追わせている。

スカイピッポーは伴賀の云う通りにして、この戦場から離れ、火炎の海へと向かった。

その頃、二村はその漁船の元船長こそ、二村と同格幹部だったが、斧で脳天を割ることで始末した。

五島と二村、どちらも倫理観の無いクズだが、その決定的な差異は五島は人殺しができないということだ。

二村は殺人ができる。

かといって、殺人淫楽症のような殺人に性欲に歓喜するタイプではない。

最初の講師リンチと同じでシチェーションさえ用意されれば躊躇なく殺せるというだけで、そしてその行いがトラウマや悪夢を見る等に反映されることもないのだ。

五島が未だ己の欲望を満たすために女たちを毒牙にかけたが、二村は必要だからやっただけで、彼に自己憐憫もロマンティシズムも必要なかった、そう!つまりは典型的なサイコパスで、日左連が囲い込んでいなかったら、とっくに死刑台の上の人物なのだ。

だが、サイコパスは左翼と縁が深い、スターリンもサーロット・ソーも確実にサイコパスの所業を行っている。

いや、左翼とは多かれ少なかれ、サイコパスの集まりなのだ。

イデオロギーには右翼であれ・左翼であれ・宗教であれ〈この私〉がない。

集団心理の中では誰もが責任を取る〈主体〉を棚上げできるから、誰もが好きでもないが、やらない理由もない殺戮や凌辱が行えるのだ。

そんな連中、SNSにもウヨウヨいるではないか!

その中にあって、二村は入会する前からのサイコパス、筋金入りのキチガイなのだ。

そして今、そのキチガイが追うのはもう一人の同格幹部の乗る漁船。

殺された同格幹部からスマホが着信し「二村に追い詰められている!」と忠告が来ていたのだ。

直ぐに切れたのは殺されたからだ。

その幹部も長年の付き合いだけあり、二村のクレージーさは熟知していた。

二村は部下に漁船を運転させているが、同格幹部は一人、自分で操作するが、剥き出しの運転席のため、二村が撃つピストルの的にされている。

その状況を目視できるまで、ようやく伴賀は近づけた。

先行するキッドは猛スピードの漁船2台の動きをトレースし続けている。

伴賀としては日左連の内ゲバなど、放っておけばよいのだが、二村に白星を取らせるのもシャク、そこで攻撃を仕掛ける。

キッドを突っ込ませる、それもいいが、この速度の相手には失敗の可能性が高い。

『プロフェッサー、今距離800まで詰めているだろう!?例のヤツを掃射してくれ!』

綾川伯父はすぐさま〈例のヤツ〉を発動させる。

「でも綾川さん、この艦からの攻撃は届かないでしょう!?ファイヤーソードは40mが限界とみた。兵器は民間船だから装備されたないんですよね」

「ええ、でも投光器くらは付けるでしょう。船なんだから」

「でも光なんて距離もあるし、正確な位置判らないと浴びせても的外れもはなはだしい」

―それに光を浴びせて、なんだというのか?

「レーザー・リフレクション、掃射!」

遼斗の考えを無視するかのようにプロフェッサー綾川はホークヘッドの更に上にある冠のようなオブジェからレーザービームを放つ。

艦橋のガラスから見る遼斗は「高過ぎじゃあないですか!?」と発言。

それに呼応するように太郎が前面の巨大モニターを映し出す。

下部で待機する80センチの艦用キッドがそのレーザービームを受け、屈折させ、次の艦用キッドに受け流す。

こうして間に3台の艦用キッドを挟むことで、800mという距離をさすがは光りの速さ、あっという間に漁船へ達した。

深夜に走る電撃のような目くらまし!

『第二掃射!』

綾川伯父がそう云うと今度は漁船ではなく、伴賀のモーターボートを光は目指す!

直ぐに伴賀は己の持つ直径40cmのキッドで受け、それを二村に向け、浴びせる。

あまりのまぶしさに船内に駆け込む二村。

『最大、掃射!』

今までの二射で、場所は確実に把握したマリンドラゴンからは二村の漁船に向かって最大ヴォルテージのレーザー・リフレクションを充てた。

船内は急激に温度が上昇する。

破壊機能まではないが、サウナ室の最大温度くらいにはなる。

攻撃を知って同格幹部の漁船は湾内に走り去ろうとする。

それを辛うじて追う二村の漁船。

更にその後を追う伴賀のモーターボート。

初めの漁船が突っ込んだところ、それは未だ新しいフェリーターミナルの船舶を駐留させる埠頭。

更に二村の漁船がその背後へ突っ込む。

目が慣れてきた二村、元々一つ目の彼はかなり聴覚に頼った生活をしていることもあり、回復も早かった。

サウナ状態から出るには船を降りるしかない。

二村は船を降りる時に運転していた部下を殺し、埠頭に突っ込み・自分の船に突っ込まれたことでダメージを受けた敵対幹部も射殺した。

だが二村は気づいていた。

さっきから追いかけて来て、妙な光と熱で自分を攪乱してきた者の存在を。

―その〈存在〉の援護が来るまで3分とみた!2分以内で殺して、1分でこの港町から逃走だ!

だから二村は窓ガラスをピストルの弾丸で破壊し、フェリーターミナルビルに潜入した。

だが、すかさず!伴賀の個人用キッドが降り注ぐ!

すぐさま、二村がピストルで撃ち落とす。

―既に、先にこのビルに侵入していたってことか!?

二村は広いロビーを、待合室を走り抜け、階段で2階へと逃げる。

ピストルの弾丸が切れた。

だから、二村は替えのカートリッジを取り出して、詰めるようにするが、キッドが飛び込んできて、それを弾く。

拾うとかがむ二村に2台のキッドが飛んでくる。

二村が素手で落とそうとするが、1台はよろけただけで、もう1台は逃げた。

旋回するドローン、キッドと呼ばれる伴賀用のAI搭載UVAは伴賀の周囲に8台、飛行している。

二村との距離、たった3mまでやってきたのだ!

二村も伴賀も何も云わない。

2人とも皮肉めいた笑顔も、これ見よがしのにらみも利かせない。

「孝夫くん!おはよう!」

伴賀には〈あのひと〉の笑顔が思い出されていた。

―ようやく、ようやく、たどり着いた!

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