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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第2章 カタリナ、ついでに内乱鎮めとく  ~ イケメン海賊団編 ~

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第65話 宇宙基地に再潜入するぞっ!

モカとミネ、そして数名の赤毛猫団員は、何事もなかったかのように堂々と正規ゲートを通過した。

そして宇宙港に停泊している《アストラル・フォージ重工》のロゴが描かれた宇宙艇へ乗り込んだ。


ハッチが閉まると同時に、モカとミネはジャンプスーツを勢いよく脱ぎ捨て、下着姿のまま艦内をドタバタと走り回った。

隠していた赤毛猫の制服を引っ張り出しながら、モカはその状態でも冷静に部下へ指示を飛ばす。


「いい? 私とミネは着替えた後、下部のエンジンルームにあるメンテ用ハッチから抜け出すから。

 ロウが戻ってきたら、ロウも着替えさせて同じように脱出させて。

 あなたたちはそのまま《アストラル・フォージ重工》として退出して。

 出る時には私やミネ、ロウがいるように見せかけてね」


団員たちは慌てて頷いた。


「はい! えっと……副団長たちはどうやって逃げるんですか?」


モカは制服の袖を通しながら答える。


「ロウに一隻宇宙艇を盗ませるから。

 私とミネがおねーちゃんを拾い上げたら、それに乗って強行脱出する。

 あくまで《アストラル・フォージ重工》の点検は正常完了したと見せかける必要があるの!

 だから、あなたたちは堂々と出航して」


「はいっ!」


団員たちが返事をする頃には、モカとミネはいつもの赤毛猫の制服へ着替え終わっていた。

モカは腰のベルトを締めながら言う。


「よし! 行くよ、ミネ!」


ミネは慌てて頷いたが、すぐに手を上げた。


「はい! あ、少しお待ちくださいモカ様。お化粧直ししますね」


「え、あ……はい。よろしく」


ミネは慣れた手つきでメイク道具を取り出し、

モカの顔を手際よく整えていく。


団員たちはその様子を怪訝そうに見つめた。


(あれー? 急いでいたんじゃないのかな……?)


しかしミネは“少し”どころかガッツリとメイクをし直し、モカは鏡の前で真剣にチェックした。


「うん! よし。イイ感じ!」


そして鏡を閉じた瞬間、モカは叫んだ。


「……っておい! そんな暇ねーだろ!」


ミネは悪びれもせず答える。


「あ、そうでした! でもちょっと気になって」


団員たちは呆れたように見つめた。


(マイペースすぎる……)


モカは気を取り直し、勢いよく言った。


「じゃあ、行ってくるね!」


ミネも気合を入れ直し、二人はエンジンルームへ向けて足早に駆けていった。


宇宙艇の床に転がるジャンプスーツと化粧道具。

その中を、赤毛猫の制服を翻しながら二人は走り抜けた。


・ ・ ・


宇宙艇のメンテナンスハッチから外へ出たモカとミネは、人影を避けながら宇宙港の壁沿いを移動し、少しずつ基地ゲートへ近づいていった。

遠目に見えるゲートは、点検班が退出した直後とは思えないほど厳重な警備が敷かれていた。


モカは眉をひそめた。


「結構ゲートの守りキッツいね。

 二人では強行突破難しそう」


ミネは冷静に周囲を見渡す。


「えぇ、無理がありますね。どこか入れるところ……。

 あ!? あそこはどうですか?」


モカが身を低くして覗き込む。


「どれ?」


ミネが指差した先には、壁際にぽつんと取り残されたような、くすんだ金属製の小さなドアがあった。


「なんかきったないドアがありますよ。

 なんでしょう? 廃棄物搬出口ですかね」


モカは即座に顔をしかめた。


「……却下。他は?」


ミネは周囲を見渡すが、首を横に振った。


「なさそう」


モカは絶望した。


「ねぇ?! あれってゴミ流す搬出口でしょ。

 生ごみとかもあるかもしれないよ?!」


ミネは淡々と返す。


「いや、そうですけど。

 そういう所を通るくらいしか、さすがに軍港の中に簡単には入れませんよ」


モカは頭を抱えた。


「うぐぐぐ。おねーちゃんのせいで!!

 これじゃ化粧直しした意味もないじゃん!」


ミネは即答した。


「そうですね、無駄でした」


モカは叫んだ。


「もういい! 行くよ!」


二人は人目を避けながら搬出口のドア付近に張り付いた。

モカがそっと取っ手を引く。


「開けるよ……鍵掛かってる。

 テンキーロックされてるっぽい」


ミネは横の装置を覗き込む。


「はい、入力装置がここにありますね。

 かなり古いタイプです。

 ゴミ掃除を委託されてる下層民間会社の人でも扱いやすいような3桁のロックキーです。

 で、汚い手で触ってるのか、3つの数字だけ汚れてますね。

 これなら総当たりでもいけそう」


モカは即座に言った。


「早く開けて」


ミネは顔をしかめる。


「汚いから触りたくないです」


モカは怒鳴った。


「その汚い所に今から入るんだから我が儘言うなよ!

 ちっ!」


モカが舌打ちしたまま、しぶしぶ数字を押し始め、四回目でロックが解除された。


「じゃあ入るよ」


モカがドアを開けた瞬間――鼻を突く強烈な臭気が溢れ出した。


「おぅえ!」


ミネは横の棚に、汚れた防護マスクが掛かっているのを見つけた。


「これを付ければ臭いは防げそうですけど……

 これ自体臭そうですね」


モカは震えた。


「……うぅぅぅぅぅぅ!!

 くそぉぉぉぉぉ!!」


気合を入れてマスクを装着する。


「おうぇええ」


ミネは眉をしかめながら呟いた。


「一回宇宙艇に戻りましょう。

 点検用に防護マスクはあったと思います」


モカはマスクを外し、地面に叩きつけて吼えた。


「最初からそうしろよ!!」


搬出口の前に、モカの絶叫が虚しく響いた。


・ ・ ・


結局、一度宇宙艇に戻って、防護マスクを三つ持ち出したモカたちは再び搬出口の前に立った。

そしてマスクをかぶってドアを開ける。


「なんとか臭いはこれで防げそう。

 ミネ、行くよ」


その時に通路の奥の方にカサカサと動く物体が一瞬だけ見えた。

ミネの足が鋼のように固まる


「こっこっこっこっこっこ」


完全に思考が止まったかのようにバグっているミネ。

心配そうにモカが声をかけた。


「何?鶏の真似?」


「いえ、ちちちちちちちちち違います。

 こっこっここって、生ごみも流れてるんですよね。


 ゴゴゴゴゴ……いや名前を呼ぶのも汚らわしい!


 Gが出ますよね!!」


モカが渋い顔をした。


「あー、居そうな気がするぅー」


「却下!!絶対に行きません!!」


そういうとミネが勢いよくドアを閉めてロックボタンを連打した。

どんなに無理強いしても、ミネがGが居そうな場所へ入りこむ可能性はゼロなのはよくわかっていた。


「じゃあ、どうすんのよ!他に道がないわよ!!」


「いいいいいいややや。絶対ここは無理。絶対ここは無理!!」


モカも頭を抱えた。

絶対にこのルートを使いたくないミネは、頭を200%フル回転させた。


「あっそうだ!

 そこにある金銀キラキラの、見るからに悪趣味な宇宙艇、きっと貴族の持ち物です。

 あれ、奪ってゲートに突撃しちゃいましょう!」


ミネが目に狂気を浮かべたまま提案した。


「おい、無茶苦茶だな!!」


引き留めさえも無視してミネが悪趣味な宇宙艇の入り口ハッチの前に立った。

隠れて小型端末を接続させて、ハッキングを開始した。


程なくしてロック解除の音がする。

そして中に入った。


艦内は消灯しており、人が居ないのが分かった。

そのままコクピットまで移動する二人。


コクピットでもミネがハッキングを開始した。


「つーかさ、初めからこれにしたらよかったじゃん!

 マスク取りに戻るとか、不要だったじゃん!」


ミネは無視したまま、狂気の目でハッキングを続けた。


「Gが嫌で200%の力出てそう。

 まぁ、臭い道通らなくてよくてこっちも嬉しいけどさ」


ミネがハッキングを完了して、宇宙艇のシステムが全面的に起動した。

その時、宇宙基地内の警告ランプが点灯して、慌ただしくなった。


「おねーちゃん達見つかったみたい!

 ミネ、急ぐよ!」

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