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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第2章 カタリナ、ついでに内乱鎮めとく  ~ イケメン海賊団編 ~

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第49話 ダラけちゃうぞ!

巡洋艦がゆっくりと離陸していく。

サクラモカと団員たちを乗せて、

グラーニャ星系へ向かって旅立っていった。


往復で四十日ほどかかる。

引っ越し準備まで含めると、

二ヶ月は戻ってこない計算だった。


引っ越し予定の赤毛猫海賊団は約五百名いる。


さすがに一日や二日で動かせる規模ではない。

もっとも、グラーニャのアジトをそのまま残す予定なので、

すべてを運び出すわけではなかった。


それでも大掛かりな作業になる。


そんな中――

ペドローニャン星系のロウのアジトの一室。


コンコンコン、とノックの音が響いた。


「入るぞー」


ロウが扉を開けた。

その瞬間、視線が止まる。


ジーナがベッドの上で仰向け大の字になって寝ていた。

パンツが完全に見えている。


サイドテーブルには空き缶が山のように積まれていた。


ロウは反射的に顔を背ける。


(ひでぇ部屋だな……)


視線を逸らした先で、さらに状況が悪化する。

カタリナがベッドにうつ伏せに寝転びながらテレビを見ていた。


Tシャツにパンツという格好で、足をぶらぶらさせながらポテチをかじっている。


当然のようにパンツが見えている。


ロウは無言で扉を閉めた。

そして外に出る。


「なんて格好してんだお前ら!!

 恥じらいってもんがねぇのかよ!!」


中から即座に返ってくる。


「はぁ?

 乙女に向かって何言ってんだよ。

 失礼な奴だな!」


ポテチの袋がガサガサ鳴る。


「で、なんか用?」


ロウは額を押さえた。


「……もう入っていいか?」


「いいよ」


ロウはもう一度扉を開けた。

何も変わっていない。


同じ光景がそのまま広がっていた。


ロウは無言で引き返す。


バタン!!


「何がいいよだ!!

 全然よくねぇよ!!」


扉越しに怒鳴る。


「パンツ見えてんだよ!!」


中からあっさり返ってきた。


「あ?

 そんなもん見られても減らないって」


少し間を置いて、さらに追撃が飛ぶ。


「……童貞かよ」


ロウのこめかみがぴくりと動く。


「……どこが乙女だよ」


深呼吸して気持ちを切り替える。


覚悟を決めて再び入室した。

とりあえず、付き合ってられないので

いつも通り接することにした。


「でだ」


咳払いを一つ。


「おい!何見てんだよ、スケベ!」


ロウのこめかみがピクリピクリと動く。

あえて無視する。


「お前、妹に留守番中は賞金稼ぎするって言ってたよな?」


カタリナはテレビから目を離さない。


「言ったっけ?」


「言った」


ロウがため息をついた。


「今から出撃する。

 一緒に来るか?」


カタリナは間髪入れず答えた。


「は?

 めんどくさい。パス」


ジーナも寝転んだまま、目玉だけ向けて返す。


「行かないっス」


そのまま手だけ伸ばす。


「それよりビール」


ロウは思わず振り向いた。


「お前起きてたのかよ!」


そして気づく。


また見えている。


「……だから足閉じろ!!」


ジーナはもぞもぞと動く。


だが閉じない。


「ビールは冷蔵庫にあるだろ。

 自分で取りに行け」


カタリナがポテチをかじりながら不機嫌そうに言った。


「今この映画いいとこなんだよ。

 邪魔すんなって」


ロウは言い返しかけて、やめた。


「……なんでこんな連中に部屋貸してんだ俺は」


小さくぼやいて部屋を出る。


――数日後。


「今日、漫画読むからパス」


――さらに数日後。


「昨日夜更かしした。

 パス」


――さらにさらに数日後。


「パス」


「パス」


「パス」


そのやり取りが延々と続いた。


気がつけば二ヶ月が経っていた。


カタリナとジーナは見事に堕落していた。


食べて、寝て、飲んで、また食べる。


ロウはいい加減呆れた顔で、腕を組んで二人を見ていた。


「……お前らさ」


カタリナがスナック菓子をかじりながら顔を上げる。


「なに?」


ロウはじっと観察する。


慣れていた。


薄着にも、だらしなさにも。


「ん?あれ?」


だからこそ気づいた。


「なぁ、お前、ちょっと太ったんじゃないか?」


カタリナの動きが止まる。


お菓子が口から落ちる。


「……は?」


ゆっくり振り向く。


立ち上がる。


「嘘だ」


首を振る。


「ありえん」


ロウは肩をすくめた。


「いや、なんか腹回りが――」


「ロウ!!体重計!!」


「え?あぁ、倉庫にあるかもな」


次の瞬間、カタリナが飛び出した。


いつもの格好のまま。


ロウが叫ぶ。


「待て!!

 その格好でうろつくな!!」


止まらない。


数秒後。


「ぎゃあああああああああ!!」


悲鳴が響いた。


ロウはため息をつく。


「ほら見ろ」


部下たちが駆けつける。


「隊長!今の悲鳴――」


視線の先にカタリナ。


一瞬で全員が背を向けた。


「失礼しました!!」


一斉に撤退する。


ロウとジーナがゆっくり近づいた。


ロウが少し得意げに言う。


「だろ?

 見てわかるって相当だと思うぞ――」


「賞金稼ぎいくぞ!!」


カタリナが叫んだ。


ロウは即座に返す。


「いや都合よく賞金首なんていねぇよ」


ため息をつく。


「二ヶ月一回も出撃してねぇのに今さらかよ」


カタリナがジーナを指さした。


「ジーナ!!

 なんでお前太らない!!」


ジーナは缶を傾ける。


「酒では太らん体質っス」


ロウが横から口を挟む。


「違うだろ」


ジーナを見る。


「こいつ酒とツマミとサプリだけで生きてるから、

 単純にカロリー足りてねぇ」


カタリナが固まる。


「……」


「くぅ!!」


歯を食いしばる。


その時だった。


バン!!


扉が勢いよく開いた。


「隊長!!」


部下が飛び込んでくる。


「サクラモカさんから通信です!!」


ロウが振り向く。


「モカ?」


部下が続ける。


「対賊局に追われています!

 救援要請です!!」


空気が一瞬で変わった。


カタリナの目が細くなる。


「……は?」


ロウが即座に指示を出す。


「状況出せ」


「複数艦に追跡されています!!

 これからこの星系にFTLジャンプするので攪乱してほしいそうです」


ジーナが缶を置いた。


「マジっスか」


カタリナが笑う。


さっきまでのだらけた顔は消えている。


「いいね」


一歩前に出る。


「久しぶりに面白いじゃん」


ロウが横を見る。


「今度はパスとか言うなよ」


カタリナは即答した。


「言うわけないでしょ」


振り返る。


「行くぞ」


ジーナが立ち上がる。


「やっと酒が活きるっスね」


ロウがため息をついた。


「……最初からそうしろよ」

挿絵(By みてみん)

やっほー!銀河一美しくて、今ちょっとだけ「重力」のいたずらに悩まされているカタリナ団長だよ!


第49話、見てくれた?

いやー、二ヶ月。二ヶ月よ?

モカたちがいない間、私とジーナがどれだけ過酷な「精神修行」に耐えていたか、みんなには伝わったかしら。


え?「ただダラダラしてポテチ食べてただけだろ」って?

失礼ね!あれは、次なる激戦に備えてエネルギーを極限まで蓄積させていたのよ!

テレビを見るのも情報収集の一環だし、パンツが見えるくらいリラックスするのは、宇宙の真理と一体化するためなんだから。

ロウのやつ、いちいち「童貞」みたいな反応しちゃって、修行が足りないわね。


でも……。

あのデリカシーのない賞金稼ぎ、なんて言ったと思う?

「ちょっと太ったんじゃないか?」ですって!!


……。

…………。


ありえない。銀河の物理法則が乱れたとしか思えないわ。

あの体重計、故障してるわ。


でも、まぁ、タイミングだけは最高だったわ。

ちょうど「この蓄えたエネルギー(脂肪じゃないわよ!)」をどこで発散しようかと思ってたところに、モカからの救援要請!


対賊局?複数艦?

上等じゃない。今の私は、ダイエットに対する執念と久々の実戦へのワクワクで、いつもの1.5倍は凶暴なんだからね!


公務員ども、覚悟しなさい。

私の「ズバババン」で、まとめて宇宙の塵にして、ついでに私の体重も元の数値に叩き戻してやるわ!

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