321 長との面会
地上に戻るにはドワーフの長に会わなければならないのなら仕方がない。
オーウェンの名前を出せば僕を極刑にしたりはしないだろうという希望的観測を持つ事にした。
「わかりました。それじゃドワーフの長の所に案内してもらえますか?」
目の前のドワーフにお願いすると、何故かビシッと直立不動になって敬礼された。
「はっ! かしこまりました! ご案内いたしますのでついてきてください!」
そう言うとドワーフはまわれ右をして僕の前を歩き出した。
僕はドワーフの後をゆっくりとした歩幅でついて歩く。
僕は歩きながら辺りを見回したけれど、一本道が続くばかりで辺りの景色に変化はない。
薄明るいトンネルがどこまでも続いているような感じだ。
だが、そのうちに正面に扉があるのが見えてきた。
もしかしたら、あそこにドワーフの長がいるのだろうか?
扉の前には僕の前を歩くドワーフと同じような鎧を身に付けたドワーフが二人立っている。
「止まれ! …何だ、お前か。どうしたんだ? もしかして後ろの人間が今落ちてきた奴か?」
扉を守っているドワーフが僕達に停止を命じた。
僕が落ちてきた事を知っているとは、誰かが落下したらわかるようになっているんだろうか?
「ああ、そうだ。どうやらオーウェン様のお客人らしい。地上に戻すために長との面会を希望する」
「わかった。長に伝えてくるのでしばらく待っていてくれ」
そう言って一人が扉の中へと入っていった。
それほど待たされる事もなく、すぐにドワーフは戻ってきた。
「ご案内しますのでどうぞ。…お前はもう持ち場に戻っていいぞ」
僕をここまで連れてきてくれたドワーフは、敬礼をするとクルリと向きを変えて戻って行く。
僕はその後ろ姿に軽く会釈をすると、ドワーフに連れられて扉の中へと入った。
扉を入るとすぐに赤い絨毯が細く長く敷かれていて、その前方には階段があって玉座へと続いていた。
まるでこれからドワーフの王に謁見するような雰囲気だ。
絨毯の上を進んで行くと階段の数歩手前でドワーフが足を止めて跪いたので、僕もそれにならう。
しばらく待っていると、壇上の左側から王冠を頭に載せたドワーフの長が姿を現して玉座に座った。
後を付いてきたドワーフが玉座のすぐ横に控える。
ドワーフの長はよく絵画やなんかで見るような真っ赤なマントを羽織り、ゴテゴテと飾りの付いた服を着ている。
『長』というより『王様』と言った方がしっくりくるんだけどね。
ドワーフの長は僕の横で跪いているドワーフに声をかけた。
「そこにいる人間がオーウェン殿のお客人で、先ほど我が国に落下してきたというのか?」
隣のドワーフは更に頭を下げて言葉を発した。
「はっ! 左様であります!」
「わかった。お前はもう下がって良いぞ」
「はっ! 失礼します」
隣で跪いていたドワーフは立ち上がると、一礼して扉の方へ歩いていき出て行った。
いきなりこの場に取り残されて僕はどうしていいかわからず、少しオロオロとする。
やっぱり極刑にされるのか?




