314 アーサーの決意
ダグラス・ハーパー元侯爵の処刑が執行され、エドアルドへの脅威は無くなった。
そう確信したエドワード王子はエドアルドを王都に呼び戻す事にした。
だが、肝心のエドアルドが今どこにいるのかはまったく掴めなかった。
「アーサー。エドアルドがどこに行ったかはわからないのか?」
エドワード王子に呼び出されたアーサーは少し緊張した面持ちで申し訳なさそうに答える。
「はい。僕、いえ私もエドにパーティー解消を告げられた事がショックで、どこに行くつもりかなんて聞く余裕もありませんでしたので…」
消え入りそうな声で答えるアーサーに、自分の行動を後悔しているのがひしひしと伝わってくる。
「仕方がないさ。だが、どうやってエドアルドの居場所を探せばいいんだ? エルガー家のご両親も行き先を聞いていないんだろう?」
エドワード王子に話を振られて、ブライアンが頷きながら答える。
「エルガー男爵ご夫妻に確認しましたところ、こちらも突然の事で行き先も告げずに行ってしまわれたそうです」
ブライアンの報告にアーサーは目に見えて落ち込んだような様子を見せる。
そんな暗い雰囲気の中、クリフトンの言葉が重い空気を払拭する。
「各街には冒険者ギルドがあるんだろう? エドアルド様が冒険者として活動していらっしゃるのなら、冒険者ギルドに何かしらの接触があるんじゃないのか?」
「そうか! 早速各街の冒険者ギルドに通達を出せ! エドアルドがどこの街で活動しているかそれで掴めるはずだ!」
「かしこまりました! すぐに各街のギルドに問い合わせの書簡を送ります!」
立ち上がって執務室を出ようとしたブライアンの背中に、エドワード王子の言葉が追いかける。
「大至急、返事を寄越すように伝えるのも忘れるな!」
「心得ております!」
バタバタと走り去るブライアンの背中を見ながら、アーサーはほんの少しだけ安堵した。
(これでようやくエドに会える)
だが、一週間後。
集まった情報の中にエドアルドに関するものは何もなかった。
「……一体どういう事だ?」
エドワード王子は集まった情報に目を通しながら、ため息をついた。
何もなかったとは言えないが、入って来た情報はすべてアーサーとパーティーを組んでいた時のものばかりだった。
つまり、アーサーと別れてからは冒険者ギルドを利用していない事になるのだ。
だが、これはすべてオーウェンがエドアルドの痕跡を消していたからなのだが、そんな事を知る由もないエドワー
ド王子達はエドアルドの消息が掴めず途方に暮れるのだった。
エドワード王子が頭を抱えていると、アーサーが決意を固めた顔でエドワード王子の前に跪いた。
「エドワード王子。私はこれからエドを探しに行こうと思います」
「エドアルドを探しに? だが、何処にいるかわからないのだぞ?」
「それでも行きます。絶対に何処かで会えると思っていますから、行かせてください」
その決意に満ちあふれた目を見たら、エドワード王子にはもう何も言えなかった。
「わかった。こちらでも引き続きエドアルドの情報を集めるとしよう。何か掴めればアーサーにも連絡を入れるから、すぐに連絡がつくようにしていてくれ」
「承知しました。それではこれから出発しようと思いますので、これで失礼します」
アーサーはエドワード王子に頭を下げるとそのまま部屋を出ていった。
(アーサーが絶対にエドアルドを見つけられますように)
エドワード王子にはそうやって祈る事しか出来なかった。




