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313 報告書

 ハーパー侯爵が逮捕されて一週間後。


 国王とエドワード王子のもとに報告書が届けられた。


 なかなか口を割らないハーパー侯爵に業を煮やした国王は自白剤を使う事を決定した。


 その結果、エドアルドの暗殺だけでなく、国庫金の着服までもが発覚した。


 その事実が判明すると、国王は思いのほか落胆していた。


「まさか、着服までしていたとは…。長い間信頼してきたのに、こんな形で裏切られるとはな…」


「父上…」


 エドワード王子は父親に対してどう慰めていいものかわからず、声をかけられずにいる。


 そんなエドワード王子の様子に気づいて、国王はフッと寂しそうな笑みを見せる。


「気にするな。エドワードのおかげでエドアルドを狙っていた脅威が去ったんだ。それにこれ以上ダグラスに罪を重ねさせずに済んだんだ。改めて礼を言おう」


「いえ、もったいないお言葉です」


 そう答えながらもエドワード王子は今後のハーパー侯爵家の行く末にため息をつかずにはいられなかった。


 正式な王子ではないにしても、王族であるエドアルドを殺そうとした罪は大きい。


 おまけに財務大臣という立場を利用し、長年にわたって国庫金を着服していたのだ。


 それを誤魔化すために自分の娘をエドワード王子と結婚させようと画策し、婚約者候補の令嬢達に毒を盛ろうとしていたのだ。


 未遂で終わったからと看過出来るはずもなく、ダグラスには死刑が言い渡され、その日のうちに執行された。


 現当主の死刑に伴い、ハーパー侯爵家はお取り潰しとなった。


 ハーパー侯爵家の妻と娘ももれなく取り調べを受けたが、結局ダグラス一人の罪だと認定された。


 そこでダグラスの罪が公表される前に夫人と二人の娘は侯爵家を離籍し、夫人の実家の伯爵家へと戻る事を許された。


 だが、二人の娘が今後、どこかに嫁入り出来る可能性は限りなくゼロに近いだろう。


 誰も好き好んで犯罪者の娘と結婚しようとは思わない。


 たとえ相思相愛の相手がいたとしても、貴族社会で生きている限り、結婚を許される訳が無い。


 貴族の身分を捨てて平民になってでも添い遂げてくれる相手がいれば話は別だが…。


 残された者の末路を考えると、何とも気が重くなる話だ。


「エドワード。いつまでもそんな顔をするな。エドアルドへの脅威が去ったのだから、一刻も早くエドアルドに連絡を入れてやりなさい。エドアルドは『会いたくない』と言うかもしれないが、せめて一度は私に顔を見せてほしいものだな」


 少しばかり弱気な発言をする国王にエドワード王子は同情せざるを得なかった。


(エドアルドは嫌がるかもしれないが、ほんの少しだけでも父上に会って元気づけてもらおう。だが、その前にエドアルドを探すのが先決だな)


「わかりました。早速エドアルドを探すようにアーサーに伝えてきますね」


 エドワード王子は少しだけ足取りも軽く、父親の執務室から出ていった。



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