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302 婚約者候補

 挨拶を終えて壇上から降りたエドワード王子の元に真っ先に寄ってきたのはやはりミカエラだった。


「エドワード王子、とても素敵でしたわ。改めて私と乾杯していただけますか?」


 そう言ってミカエラはグラスを差し出してくる。


 エドワード王子は面倒に思いつつも、顔には表さずにミカエラとグラスを合わせて乾杯をする。


 ミカエラはグラスの中身を一口飲むと、エドワード王子にあれこれと話しかけてきた。


 ミカエラと話をしていると、他の令嬢達はミカエラに遠慮して近寄ってきたりはしない。


 エドワード王子はミカエラの話の区切りがついたところで、やんわりと告げる。


「ミカエラ嬢。私とばかり話をせずに他の方々とも交流を持ってください。そのためにこのような場を設けたのですからね。それでは私はこれで失礼します」


 エドワード王子はそのままその場を離れると、近くにいた別の令嬢に話しかけた。


 ミカエラは悔しそうに軽く唇を噛んだが、すぐに平静を装い別の男性へ話しかけにいった。


 エドワード王子はミカエラが他の男性と話を始めたのを目の端でチラリと確認すると、ホッと安堵の息を吐いた。


 ミカエラがエドワード王子から離れたのを見て取ると他の令嬢達がわらわらとエドワード王子に近寄っていった。


 エドワード王子の周りに人だかりが出来ると同時に、後ろにいるクリフトンにも令嬢達が集まってきた。


 そんな二人をブライアンは一人で遠巻きに眺めていた。


 既に婚約者が決まっているブライアンに話しかけるような奇特な女性がいるわけがない。


 それでもこの場にブライアンがいるのは、エドワード王子の側近として側を離れるわけにはいかなかったためだ。


 それにエドワード王子が『ミカエラ嬢は選ばない』と言った以上、エドワード王子に固執する姉を引き剥がす役目も担っていた。


 今のところ、姉であるミカエラは大人しく他の男性とも会話をしているので、物理的にエドワード王子から引き剥がさなくていいのでホッとしている。


 今日の交流会で婚約者を決めるつもりはなかったエドワード王子だったが、ブライアンに釘を刺された事で考えを改めた。


(何もすぐ結婚するわけではない。とりあえず婚約者を決めておけば、他の者達も婚約者を決めるきっかけになるだろう。それにこれ以上、ミカエラ嬢に迫られたくはないからな)


 エドワード王子はそう決意すると、この中で誰が一番婚約者に相応しいか、見極めようとした。


 クリフトンにも妹がいてこの場に出席していたが、エドワード王子は彼女を選ぶつもりはなかった。


 公爵家から選ばないとなると、次に候補に挙がるのは侯爵家の令嬢達だ。


 エドワード王子はその中から婚約者を決めるべく、彼女達と話をするのだった。



 

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