300 交流会開始
エドワード王子は交流会に出席するための準備を整えながら、今日の参加者名簿に目を通した。
招待状を送ったものの、『婚約者が決まった』と参加を断ってきた者が何人かいた。
そんな中、エドアルドだけは『連絡がつかないため欠席する』と、エルガー男爵から返事があった。
(連絡がつかないってどういう事だ? そもそもアーサーとパーティーを解消したのは一体どういう理由なんだろうか? 学院ではあれだけ仲が良かったからケンカをしたとは思えないが…)
そのアーサーからは『出席する』との返事をもらっていた。
直接アーサーに会ってエドアルドがどうしているのか聞いてみればいいだろう。
エドワード王子はそう考えながら、身支度を終えた。
通常であれば、爵位の高い順から挨拶を受けるのだが、交流会という事でその辺りは緩いものにした。
それでも自ずと爵位の高い順に会場入りしてくるのは、日頃の習慣が染み付いているのだろうか?
エドワード王子はブライアンとクリフトンを後ろに従えて、会場入りする人々を出迎えた。
一番最初に会場入りしたのは、やはりブライアンの姉であるミカエラだった。
「ようこそ、ミカエラ嬢。こうしてお会いするのは久しぶりですね。今日は楽しんでいってください」
ミカエラはエドワード王子の出迎えに優雅なお辞儀を返した。
「エドワード王子、お久しぶりです。このような場を設けていただきとても嬉しく思いますわ。エドワード王子にとっても楽しい一日になりますように」
ニコリと微笑んでくるミカエラの顔に、エドワード王子は自分の母親の面影を見た。
叔母と姪という間柄の二人は、親子と言えるくらいそっくりだった。
ミカエラが会場の奥へと進んで行ったのを確認すると、エドワード王子はこっそりブライアンに耳打ちした。
「ブライアンには申し訳ないが、私はミカエラ嬢だけは選ばないぞ。自分の母親にそっくりな妻なんて真っ平御免だからな」
エドワード王子と王妃の関係を知っているブライアンは、わかっていると言わんばかりに頷いた。
「私から見ても姉は王妃様によく似ていますからね。エドワード王子がそうおっしゃるのも無理はありません。それよりも早めに婚約者を決めていただかないと、姉を始め他のご令嬢達が行き遅れてしまいますよ」
ブライアンの指摘に婚約者選びを面倒だと思っていたエドワード王子は、ぐっと言葉に詰まる。
「…善処する」
そう返すとエドワード王子はこっそりとため息をつくのだった。




