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295 ブリジットの事情

「私が参加しなくても、エドワード王子に相応しい方はたくさんいらっしゃるでしょうに…」


 ブリジットは何とかパーティーに参加しなくて済むような言い訳をするが、父親であるテューダー侯爵はそれを否定する。


「それはお前の考えであって、誰もが納得出来るようなものではない。それに侯爵という立場の家の娘が『相応しくない』などと言えるわけがないだろう?」


 父親にそう言われてしまえばブリジットはそれ以上反論は出来なかった。


「わかりました。参加させていただきます」


「よろしい。明日はドレスを仕立てるために商会を呼んであると、アレクシアが言っていた。詳しい話はアレクシアに聞くといい」


 母親の名前を出されてブリジットは微笑んだ。


「わかりました。後でお母様に聞いてみます」


 話は終わったとばかりにブリジットは立ち上がると父親に向かって頭を下げて部屋を出た。


 テューダー侯爵家は代々女性しか生まれない女系家族だ。


 そのため、夫となる男性は実力のある男性騎士が選ばれて代々騎士団長を務めている。


 時折、男の子も生まれるけれど、騎士団長となりうる実力のない者は容赦なく、他の貴族の入婿にされていた。


 そうする事でテューダー侯爵家は代々騎士団長を続けてきたのである。


 ブリジットの父親も実力を買われて、アレクシアの夫として入婿となった。


 ご多分に漏れず、アレクシアも女の子しか授かれなかったが、長女は既に次期騎士団長となりうる男性騎士を婿として迎えていた。


 ブリジットは三女として産まれたが、小さい頃から剣や弓を習ってきた。


 風魔法が使える事から、剣よりは弓の方が実力があった。


 そのため、女性騎士となるよりも、冒険者となる事を夢見ていた。


 父親はブリジットが冒険者になる事を渋ったが、結局は条件付きで折れた。


 護衛として女性騎士を側に置く事と、月に一度は屋敷に戻り顔を見せるというものだった。


 ブリジットは面倒には思ったものの、魔獣と戦う事の危険さをわかっていたのでその条件を飲んだ。


 学院を卒業すると、本格的に冒険者として活動を始めたため、他の女性貴族のような社交はしてこなかった。


 そんな自分が王宮のパーティーに呼ばれても、浮いてしまうのではないかとブリジットは思った。


 だが、王宮から招待状が届いたのならば、出席しなければならない。


 ブリジットはため息をつきながら、自分の部屋へと戻るのだった。




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