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294 テューダー侯爵家

 ブリジットは冒険者ギルドで素材を引き取ってもらい報酬を受け取った。


 思っていたよりも高い金額で買い取ってもらい、少々エドアルド達に申し訳ない気分になった。


(あんな料理だけじゃ足りなかったみたいだわ。あの二人がほぼ倒していたのに、私がとどめを刺して、手柄を横取りしたみたいになってしまったのに…)


 冒険者ギルドを出ながらブリジットはエドアルド達の事を思い出していた。


(次に会ったら…って、これから王都の屋敷に戻ったら、もうこの街に来られないかもしれないのに…)


 そんな事を考えながら、ブリジットはケイトと共に迎えの馬車に乗った。


 馬車は一目散に王都に向けて走り出した。


 王都に入る門を抜けると、やがて馬車はテューダー侯爵家へと入っていった。


 馬車が玄関に到着すると、使用人達が一斉に揃ってブリジットを出迎えた。


「お帰りなさいませ、ブリジット様。まずはお着替えをお願いいたします」


 冒険者姿のブリジットを侍女達がお風呂に連れて行き、湯浴みをさせた後ドレスに着替えさせた。


 ドレス姿になったブリジットは執事に連れられてテューダー侯爵の元へと案内された。


「旦那様。ブリジット様をお連れしました」


 執事が声をかけると待ちかねていたように扉が開かれテューダー侯爵が姿を現した。


「お帰り、ブリジット。たまにしか会えないなんて、やはり冒険者になるのを許すのではなかったな」


 テューダー侯爵にぎゅうぎゅうと抱きしめられ、ブリジットは苦しさから抗議の声を上げる。


「お父様、苦しいから離してください!」


 愛娘のブリジットに文句を言われてテューダー侯爵は渋々力を緩めた。


「たまにしか会えないのだから少しくらい良いではないか…」


 そのまま娘をエスコートする形でソファーに向かい合わせで座る。


 侍女がお茶を淹れている間に、二人は当たり障りのない話をする。


「しばらく見ない間にまた一段と冒険者らしくなったのではないか?」


「お父様。しばらくと言っても二週間前に会ったばかりですわ。それよりもこうして呼び出した理由を教えてください」


 侍女が退室した頃合いを見計らってブリジットが呼び戻された理由を尋ねた。


「近々、王宮で貴族の子女を集めたパーティーが開かれるそうだ。それにお前も出席するように招待状が届いた」


「王宮でパーティー? それは一体どんな集まりなのですか?」


 そう尋ねたものの、ブリジットはなんとなく嫌な予感がしていた。


「貴族子女の交流を図る…と言われているが、主な目的はエドワード王子の婚約者を決めるためのパーティーだろう」 


 父親の言葉にブリジットは内心で『やはり』とため息をつくのだった。

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