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290 食事

 ブリジットはマジックバッグから取り出したお皿に焼き上がった肉を盛り付けた。


「さあ、どうぞ。お口に合うといいんだけど…」


 ブリジットからお皿を受け取ったものの、流石にこのままかぶりつくわけにもいかないな。


 僕がためらっているうちに、ウィルは皿の上のお肉にかぶりついた。


 僕とブリジットが目を丸くしていると、ウィルはムシャムシャと咀嚼し「うまーい!」と声を上げた。


 いやいや。


 いくらなんでも行儀が悪すぎるだろう。


 ブリジットはハッと我に返るとマジックバッグからフォークを取り出した。


「私ったらこれを出すのを忘れてたわ。ごめんなさい」


 ブリジットからフォークを差し出されて口の周りをソースだらけにしたウィルは恐縮したように受け取った。


「いや、こちらこそ。行儀の悪い奴で申し訳ない」


 僕もブリジットからフォークを受け取るとお肉に突き刺して一口かじった。


 塩コショウの加減といい、ソースの絡み具合といい絶妙な美味しさだ。


「すごく美味しいよ。こんな美味しい料理を食べさせてもらって逆に申し訳ないくらいだよ」


 ブリジットの料理を褒めると彼女はちょっと照れたように笑った。


「お口に合ったのなら良かったわ。だけど、そんなに大した事はしていないわよ。調味料だってどこでも買えるもの

だし…。強いて言えば、お肉が新鮮だからじゃないかしら?」


 ブリジットは謙遜しているけれど、この絶妙な味付けのバランスがいいんだと思うけどね。


 お肉が新鮮だからとは言うけれど、前世では熟成肉が美味しいとかって話もあったからね。


 味の好みなんて人それぞれだから、このブリジットの味付けが僕とウィルには合っていたという事だろう。


 食事を平らげると、傍を流れている川で食器やフライパンを洗って後片付けをした。


 ブリジットは土魔法で作ったかまどを元の地面に戻した。


 僕も土魔法は使えるが、こんな使い方はした事がなかったので興味津々でその様子を見ていた。


 ブリジットは僕の視線に気づくとちょっと首をかしげた。


「どうかした? 土魔法が珍しいのかしら?」


「ああ、いや、随分と手慣れているなと思って…」


 ゴニョゴニョと言葉を濁すとブリジットは「フフッ」と笑った。


「そりゃもう一年近くもこうして冒険者をしているんだもの。慣れてくるに決まっているでしょ」


 一年近くも?


 ずっと一人で冒険者をしているのだろうか?


 僕と変わらない年なのに女の子が一人で冒険者としてやっていけるのだろうか?


 その時、僕はふと後ろの方で誰かの気配を感じたような気がした。




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