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288 魔獣の解体

 倒した魔獣をブリジットと分けるのは構わないが、どういうふうに分けるのがいいのだろうか?


 僕の後ろに隠れているウィルに目をやると、その顔は如実に『肉が食いたい』と言っている。


 僕は軽く頷くとブリジットに向き合った。


「僕達は魔獣の肉を食べたくて狩っていたんだ。とりあえず僕達が食べる分の肉が欲しいんだけれど、君は何か必要な部分があるのかな?」


 ブリジットはちょっと目を見開いたが、すぐに何事もなかったような顔になる。


「そうなの? 別に討伐依頼を受けたわけじゃないのね? それだったら私はこの角と魔石をもらいたいわ。いいかしら?」


 角と魔石かぁ。


 もしかして、この角が討伐の証拠になるのかな?


 それとも、素材として売るためなんだろうか?


 どちらにしても僕達が欲しい部分と被らなければ、いくらでも持っていって構わない。


「勿論いいよ。それじゃ、先に君が欲しい部分を取ってくれないか?」


 そう告げるとブリジットはナイフを取りだして角を切り落とした。


 それから胸の辺りを切り裂くと心臓を取り出した。


 取り出された心臓はみるみるうちに魔石へと変化した。


 ブリジットは魔石を懐に仕舞うとチラリと僕の方に目をやった。


 僕が頷いてみせると、ブリジットは魔獣の足から蹄の部分を切り落とした。


 その手際の良さから見ると、魔獣の解体には随分と慣れているようだ。


 ブリジットは切り落とした角と蹄をマジックバッグに仕舞うと僕達に場所を譲った。


 三分の一にしては随分と少ないように見えるが、それだけで良いのだろうか?


「それだけで良いの? まだ持っていっても良いんだよ?」


 そう尋ねるとブリジットはちょっと肩をすくめた。


「後はいいわ。それよりも後ろの彼が早くお肉を食べたそうな顔をしているから、食べさせてあげた方がいいわよ」


 ブリジットにそんなふうに言わしめるなんて、ウィルは一体どんな顔をしているんだ?


 クルリと後ろを振り向くと、ウィルは今にもよだれを垂らしそうな顔で魔獣を見つめている。


 まだ解体もしていないうちから、あの魔獣が肉の塊にしか見えていないようだ。


 まったく、食い意地が張っているにも程があるよな。


 僕はやれやれと首を振ると魔獣の解体に取り掛かった。


 食べられる部分の肉を切り落とすと、残った内臓や骨などはまとめて穴の中に入れ、火を点けて灰にした。


 すべて燃え尽きると上から土をかけて平らにならした。


 僕が解体している間、ブリジットはじっと僕の様子を見ていた。


 せっかくだから、ブリジットにもこの魔獣の肉を食べさせてあげようかな?



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