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287 現れた人物

 倒れた魔獣に近づいてみると、首のところに一本の矢が突き刺さっていた。


 どうやらこの矢によって魔獣は倒されたようだ。


 だが、一体誰がこの矢を放ったんだ?


 不思議に思っているとガサッと音がして茂みをかき分けて一人の人物が姿を現した。


「大丈夫? …って、その手は何!?」


 僕と同じくらいの歳の女の子が弓を手に現れたが、ウィルの右腕を指差し驚いた声を上げた。


 そりゃまあ、片腕だけがドラゴンの腕をしていたら驚くのは当然だよね。


 今更腕を元に戻して『見間違いだよ』なんて言い訳は出来そうもない。


 ここは正直に打ち明ける方が正解だろうか?


 ウィルは突然現れた女の子に気後れしたのか、右腕を人間の腕に変えるとコソコソと僕の後ろに隠れた。


 こんな時だけ年少者のフリをして可愛らしくふるまうんだからな、もう!


 僕はウィルを背にかばいながら、女の子の様子を窺った。


 歳はやはり僕と同じくらいで、右腕に弓を持っている。


 茶色の長い髪を後ろで一つに纏め、薄いブルーの瞳をしている。


 ウィルの右腕に驚いていたが、ウィルが僕の後ろに隠れると少しだけ警戒を解いたようだ。


 彼女は倒れた魔獣に近づくと、魔獣の首に突き刺さった矢を抜いて背中にある矢筒の中に入れた。


 どうやら冒険者のようだが、一人だけなんだろうか?


 とりあえずは魔獣を倒してくれたお礼を言わないといけないだろう。


「魔獣を倒してくれてありがとう。僕はエドアルド、そしてこっちがウィルだよ。君も冒険者かな?」


 優しく話しかけると彼女はちょっと驚いた顔をしたが、すぐに笑顔を見せた。


「私はブリジットよ。見ての通り冒険者をしているわ。あなた達も冒険者みたいだけど、ウィルは本当に人間なの?」


 やはり誤魔化されてはくれなかったようだ。


 だけど、ここでウィルがドラゴンだと打ち明けても大丈夫なんだろうか?


 どう答えていいのか迷っていると、ブリジットはちょっと肩を竦めた。


「会ったばかりの人間を信用して打ち明けるなんて出来ないわよね。それよりもこの魔獣の取り分はどうする? この場にいるのは三人だから、三分の一はもらってもいいかしら?」


 ブリジットに言われて僕は目の前に倒れている魔獣を改めて見直した。


 それなりに大きい魔獣だけど、三つに分けるとなると僕達の取り分は多少減ってくる。


 だけど、最終的に倒したのはブリジットの矢だから、彼女が最初に選ぶ権利があるだろう。


「勿論いいよ。最終的に倒したのは君だからね。全部寄越せと言われても文句は言えないよ」


「あら、あなた達の攻撃で手負いだったのだから、私だけの功績じゃないわ」


 ブリジットはそう言って僕達が付けた傷を指差した。


 今更ながら見るとかなりの深手を負わせていたようだ。


 これだけの傷を負っていながら僕に立ち向かってくるなんて、相当強い魔獣だったようだ。


 

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