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285 魔獣

 他の魔獣を狩りに行く前に口の中をどうにかさっぱりさせたかった。


 魔獣を探しながら木の上にも視線を巡らせていると、前方の木に何かの実がなっているのが見えた。


 近づいてみるとリンゴのような赤い色をした木の実が数個実っている。


 ダメ元で採ってみるか。


 身体強化をかけてジャンプをして木の実を採る。


 ウィルと僕の分、合わせて二回ジャンプした。


 匂いを嗅いでみると、やはりリンゴのような甘酸っぱい匂いがした。


 匂いはともかく、味はどうだろう?


 恐る恐る皮ごとかじってみると、やはりリンゴのような味がした。


 少しはこれでお腹も満たされるだろう。


「ほら、ウィル。これを食べて少し口の中をさっぱりさせるといいよ」


「何、これ?」


「あそこに生っている木の実だよ。大丈夫。ちゃんと味見はしたからね」


 ウィルはためらいつつも一口かじってみて、美味しかったようで必死にパクついている。


 まぁ、あのゴブリンの不味い肉の後だったら何を食べても美味しいよね。


 ようやく口の中がスッキリした僕達は魔獣を狩るべく森の奥へと進んだ。


 すると前方に豚のように丸々と太った魔獣が見えた。


 だが、豚と違って鼻の頭に角のような物が生えている。


 あれは豚じゃなくてサイかな?


 だけど、サイよりは小さくてヨロイのような皮膚は持っていないようだ。


 どちらにしてもとりあえず狩ってみようか。


 僕とウィルは魔獣を挟み撃ちするような形で回り込むと、魔獣目掛けて突進した。


 魔獣は僕の姿を目にすると、僕が剣を振り下ろすタイミングで身体を横に向けた。


 僕の剣が魔獣の身体に直撃する。


 カキィーン!


 硬い物に剣が当たったような音がして、僕の手はピリピリと痺れたような衝撃が走る。


「いったーい!」


「いてぇっ!」


 僕が声を上げると同時に魔獣の反対側からウィルの声がした。


 どうやらウィルも右腕だけをドラゴンの腕に変えて、魔獣を切り裂こうとしたのだが、やはり硬い胴体に阻まれたようだった。


 僕とウィルが痺れた腕を押さえている間に魔獣は、見た目によらず素早い動きで走り去っていった。


 ようやく腕の痺れが消えたところで剣を確認したが、どうやら刃こぼれはしなかったようだ。


 ところでウィルの方は大丈夫だったんだろうか?


「ウィル、怪我はしてないか?」


「うん、何とか爪は大丈夫みたい。それにしてもまさかあんなに皮膚が硬いなんて思わなかったな」


 それに関しては僕も同意だ。


 てっきり豚の仲間かと思っていたが、やはりサイの仲間だったようだ。


 次に会った時は絶対に仕留めてやるぞ!




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