281 考察
オーウェンの姿が消えた後、部屋には僕とウィルだけが残された。
「オーウェン、行っちゃったね」
ポツリとウィルが呟いたが、その声はどことなく寂しそうだ。
「…そうだね」
一緒に冒険していたアーサーと別れた後、アーサーの代わりに側にいてくれたオーウェンとヴィンセントだった。
僕を狙っている人物を突き止めて、危険を回避して再びアーサーと冒険出来るまで一緒にいてくれると思っていたのに…。
まさか、こんなにも早く別れる事になるとは思ってもいなかった。
僕を狙っている人物が誰なのかわからない今、再びアーサーと旅をするわけにはいかない。
だけど、生まれたばかりのドラゴンであるウィルと、これから先どうやって僕を狙う脅威と対抗すればいいのだろうか?
王都を出てからは特に僕を狙ってくるような人物はいない。
つまり、王都に戻らない限り僕を襲ったりはしてこないのだろうか?
そう考えると、僕が王都にいては困る人物が犯人である可能性が高いと言えるだろう。
では、犯人はどうして僕が王都にいては困るのだろうか?
父親である陛下は『エドアルドを王宮に迎え入れるつもりはない』と断言した。
けれど、それでも僕が王家の血筋を継ぐ者である事には変わりはない。
万が一、エドワード王子に何か不測の事態が起こった場合は僕が次期後継者となる。
だけど、僕という存在がいなくなり、万が一エドワード王子にも何かあった場合、その次の王位継承権を持つのは誰なのだろうか?
父親である陛下には兄弟はいなかった。
だが、その親である祖父王には確か妹がいたはずだ。
その妹は降嫁してダウナー公爵家に嫁いだと聞いている。
つまり、陛下とダウナー公爵は従兄弟同士となるわけだ。
それから考えると、陛下やエドワード王子、そして僕の身に何かが起こった場合、その次の王位継承権を持つのはダウナー公爵という事になる。
ダウナー公爵は年齢的にも陛下よりは年下だ。
このまま先に陛下が亡くなり、エドワード王子と僕が子孫も残さずにいなくなった場合、次の王はダウナー公爵という事になる。
そしてその後をクリフトンが王太子となって後を継ぐのだ。
僕は学院でのクリフトンの様子を思い返していた。
確かに野心家ではあったが、僕やエドワード王子を排除しようとしているふうには見えなかった。
となると、父親であるダウナー公爵が手を回しているという事だろうか?
だが、これはあくまでも僕の考えで、必ずしもダウナー公爵が関係しているとは言い切れない。
けれど、このまま逃げ回っていてもいいのだろうか?
どうにかして、僕を排除しようとしている人物を特定出来ないのだろうか?
その考えに明確な答えを出せないまま、僕はぐるぐると考えを巡らせるのだった。




