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255 男達の災難

 その男達はイーストエンド国の第一王子であるシャルルの後を追ってアルズベリー王国へとやって来た。


 彼等はイーストエンド国では兵士をやっていたが、大した功績も挙げられずに生活は困窮を極めていた。


 そこへ金儲けの話があると聞いて飛びついたのが『第一王子の暗殺計画』だった。


『王族殺し』は重罪である。


 慌てて抜けようとしたが、『話を聞いた以上は生きて帰すわけにはいかない』と脅された。


 そのうえ、逃げ出せば家族に害が及ぶと脅された以上、実行しないわけにはいかなかった。


 シャルル達一行が森に入ったのを追って奇襲をかければ、あっさりと目的は達成された。


 男達は確かにシャルルを殺害した証拠にとシャルルの髪の毛の一部を切り取って持ち帰る事にした。


 だが、男達は知らなかった。


 それがシャルルのフリをしていた替え玉だと言う事を。


 そして男達はイーストエンド国に帰るために森を抜けようとしたが…。





「ちくしょう! どうして森から出られないんだ!」


 苛立ったようにリーダーの男が吐き散らす。


 そんなに森の奥に入った覚えはないのに、さっきから一向に森を抜けられずにいた。


 それどころかますます茂みが深くなってくる。


 こんな場所を歩いてきた覚えはないのに、なぜかこの茂みから抜け出せない。


 それでなくても罪のない人間を手にかけたという罪悪感に苛まれていた。


 いくら金儲けに目が眩んだとはいえ、人殺しに手を染めるべきではなかった。


 だが、この仕事を断ろうにも『家族を殺す』と脅されれば従わないわけにはいかなかった。


「ちくしょう! 金をもらったらさっさとイーストエンド国からおさらばするぞ」


 リーダーの呟きに他の男達も頷かずにはいられなかった。


 そんな彼等の前に不意に一人の人物が立ち塞がった。


「な!? お前は誰だ!? 一体どこから現れた!?」


 音もなく現れた人物に男達はギョッとして立ち竦む。


 するとその人物の身体がみるみるうちに大きくなり、見上げるばかりの大男へと変わった。


「お、鬼…」


 その大男の頭上には二本の角が生えていた。


 男達は恐れ慄き、その場にひれ伏した。


「よくも我が森で人殺しをしてくれたな」


 地の底から響き渡るような声に男達は身を縮こませる。


「も、申し訳ございません。しかし、そうしなければ私達の家族が…」


 必死に言い訳をするが、信じてもらえるかどうかは不明だった。


「そんな言い訳など聞きたくはない。この国で人殺しをした者を野放しにするわけにはいかない」


 鬼がそう言い終わると同時に男達の身体はがんじがらめに拘束された。


「それに、残念ながらお前達の目的は達成されなかった。第一王子はこうして無事だったぞ」


 男達の前にシャルルとジャンが姿を現した。


 男達は切り落としたはずのジャンの腕が何事もなかったかのようにくっついている事に驚愕した。


「できるならばこの場で八つ裂きにしてもいいが、下賤な者の血で森を汚したくはないからな。お前達の身柄はこの

ままイーストエンド国に引き渡す。向こうで正当な裁きを受けるがいい」


 男達はこのあとの自分達の身に起こる出来事に絶望を感じながら意識を手放した。

 



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