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253 彼等の処遇

 シャルルと両脇からジャンを支えながら歩き出したものの、思うように先へと進めない。


 ジャンもシャルルに支えてもらうのが申し訳ないようで、僕の方に体重を預けてくる。


 両脇を支えているのが二人とも王子だと知ったら、その場で地中深くに埋まってしまうかもな。


 それにしても僕の方に体重をかけ過ぎじゃないか?


 これじゃあジャンも歩きにくいだろう。


 僕はこっそりとジャンに向かってヒールをかける事にした。


 決して疲れたからじゃないぞ。


 このままじゃ三人とも歩きにくいだろうと思ったからだ。


 誰にも気づかれないようにじわじわとジャンに向かってヒールの魔法を流し始める。


 するとジャンの足取りが少しずつ軽くなっていく。


 僕に寄りかかっていた身体も徐々に真っ直ぐ伸び出した。


「シャルル様。どうやら体調も良くなったようです。…君ももう大丈夫だ。ありがとう」


 ジャンは僕とシャルルの肩にかけていた腕をほどいた。


 シャルルが心配そうに見守る中、ジャンは自分の両足でしっかりと立ってみせる。


「本当に大丈夫なのか? 無理はしてないよね?」


 シャルルが確かめるようにジャンに問うとジャンは大きくうなずいた。


「はい。もう何も問題はありません」


 そう言ってジャンはチラリとオーウェンの方を見た。


 どうやらジャンはオーウェンが何かしらの力を使ったと思っているようだ。


 オーウェンはジャンの視線を受け流しながらも僕の方をジロリと睨んでくる。


 どうやらオーウェンには僕がヒールの魔法をかけた事がバレバレのようだ。


「回復されたのなら遠慮はいりませんね。このまま一気に連中との差を縮めましょう」


 そう言うなり走り出したオーウェンの後をウィルが嬉々として追っている。


 ヴィンセントも軽やかな足取りで後を追う。


 僕達は彼等に置いていかれないようにと急いで後に続いて走り出す。


 ジャンもヒール魔法が効いたようでシャルルよりも先にオーウェン達を追っている。


 ふと気になって後ろを振り返ったら棺を乗せた荷馬車が音もなく走って付いてきていた。


 御者もいない荷馬車が後を付いてくるなんてシュール以外の何物でもないな。


 どんどんと森の奥へ進んで行くと、不意にオーウェン達が足を止めた。


「しっ! 静かに」



 茂みに身を潜めているオーウェン達にそっと近づくと、向こうの方に五人の男達の姿が見えた。


 男達は疲れたような足取りで歩いているが、なぜか同じ場所をぐるぐると回っているだけだった。


「オーウェン、あれは?」


「彼等は今幻覚の中ですよ。森の中を奥へ奥へと進んでいるつもりですが、実は同じ場所をぐるぐると回っているだけなんです」


「フフフ」とオーウェンは不敵な笑みをこぼしている。


 男達は両手で茂みをかき分けるような仕草で前へ進んでいる。


 どうやら生い茂っている茂みの中を歩いているつもりなんだろう。


「さて、シャルル。彼等をどうしますか? この場で命を奪いますか? それとも捕縛だけにしておきますか?」


 シャルルはジャンとしばらく話し合っていたが、決意を固めた顔でオーウェンを見た。


「捕縛してイーストエンド国に連れて帰ります。そしてイーストエンド国で正当な裁きを受けてもらいます」


 どんな裁きを受けるのかはわからないが、シャルル達がそう決めたのならば僕達に口出しは出来ない。


「わかりました。それでは彼等を捕縛しましょうか。エドアルド君。こちらへ」


 オーウェンが僕に向かって手招きをする。


 一体僕に何をさせる気なんだ?




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