28侵略者の末路
(ここはどこだ…俺は今どこにいるんだ…)
全裸で白目を向いたグリーンが蟻人間達と一緒に荒地を歩いていた。
ユートとリアによるこの大陸の粛清する闘いのためにグリーンは決して死ぬことのできない体にされていた。首から下は黒蟻達で作られた偽物の体であり体内では黒蟻達の巣と卵が無数に作られていた。さらに脳にも黒蟻がおりグリーンの神経や感覚を全て支配していた。
故郷である小島への侵略を計画していた国に全裸のまま歩かせて体内の黒蟻達をまき散らし、悪意ある権力者や暴力者たちを次々と食い尽くしてきた。蟻達を運ぶ生きた箱と化したグリーンは何も聞こえず、何も見えず足の裏の皮膚が上げて血だらけになろうが槍で体を貫かれようが痛みの感覚だけを残された状態でひたすら歩かされ続けていた。
(いだぃ、足の裏に何か刺さってる…歩きたくない…苦しい、殺してくれぇ…)
巨大黒蟻に殺されて1年が過ぎ暗黒の世界でひたすら苦痛の進行を続けていく中で初めは「助けて」と心の叫びがいつの間にか「殺して」に変わっていた。
ユートとリアによる悪しき心を持つ者達との闘いは1年にも及んだ。
北の国を手に入れたおかげで豊富な資源と蟻人間を使い銃器を作成し戦争に何度も勝つことができた。敵国の重鎮や王を蟻人間にして貧しき者を助けて行く内に大地の神の信仰が根付いていった。
それでも「たかが蟻の虫けらに支配されてたまるか」と蟻や蟻人間に危害を加える者も残っており、そんな愚か者に大地の神の化身である巨大黒蟻が粛清に入り、その者とその仲間たちを蟻人間にして永遠に神の下僕と作り変えた。
大陸の大地の下には膨大な蟻の巣が形成されており、その数は大陸にいる人間の数を軽く超えていた。
この大陸でユートとリアの故郷である小島を狙う者はいなくなり二人の戦いは終わった。
だが、グリーンは足の皮膚が無くなり全身の骨や肉がボロボロになろうが大陸中を永遠にさまよい続けるのであった。




