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蟻が侵略者達を食らい尽くすまで  作者: 未来
3章 北の国へ
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27大地の神の怒り

 「ひぃ…な、なんなんだよ! あれは!?」


  この国の大地を支配した黒蟻達がユートとリアを包みこみ黒い塊が生まれた。

   蟻たちの体で作られた塊は蠢きながら大きくなっていきその不気味さにグリーンと従者達は恐怖で悲鳴を上げた。


  「おい!! お前、何してやがる!! くそぉ、死ねぇ!!」


   グリーンがユートとリアだった物に向けて発砲した。弾丸は塊の一部を吹き飛ばし地面に数匹の蟻の死骸が広まるが新しい黒蟻が穴を塞ぎ塊は卵の形となる。


「な、なんなんだよあれは…」


  グリーンがつぶやいた瞬間、黒蟻で作られた漆黒の卵の中から何かが生まれた。

 

  「ひ、ひぃぃぃ!?」


 卵から出た不気味な黒い物を見て従者達が悲鳴を上げた。牛よりも大きな漆黒の体に無数の足。獲物を砕く巨大な顎から地面を溶かす強酸が滴っていた。


  ガァァァァ


 獣のような低い声を出す巨大蟻は傍にいた蟻人間の体に噛みついた。強酸が瞬時に上半身を溶かし皮膚や骨が消え内臓が露出して地面に落ちた。さらに強固な顎で頭部や残った下半身をボリボリと音を立てて食べ終えると地面に落ちた内臓を啜り始めた。


  ぐちゃ、ぺちゃ…ちゅ、ちゅ


「あ、あぁ…」


  巨大蟻が蟻人間を食べている場面を見てグリーンや従者達は胃の中の物を出しかけて口を押えていた。


  人の命と尊厳を弄んできた彼らは「これは現実じゃない、悪夢だすぐに覚める夢だ」と何度も頭の中で思っていた。


  やがて巨大黒蟻が食事を終えてグリーン達を見る。黒い瞳はしっかりと醜き悪人たちをとらえて巨大な足を前に動かす。


「う、うぁぁぁ!!」


  死の恐怖が迫りグリーンと従者達は馬車へ駆け込んだ。馬車の中に入れなかった者は外側に捕まり馬に必死に鞭を打ち 馬が鞭の痛みに悲鳴を上げながら走り出す。だが、定員を超えて人が乗っているのとグリーンの金品の財産を乗せて重いせいで速度が遅く巨大黒蟻がすぐそばまで近づいてきていた。


「う、うぁぁぁ!! 」


  馬車にしがみついていたグリーンが隣にいた従者を打ち殺し死体が地面にたたきつけられた。

 

「お前ら降りろぉ!! この馬車は俺のなんだぞぉ!!」


「なっ!? ふざけんな! このくそ野郎!!」


  巨大蟻から逃げるためにグリーンと従者達による醜い争いが起きる。

  銃で相手を撃ち殺し金品など硬い物で殴殺し一人、また一人と馬車から転げ落ちた。

  グリーンが目の前にいる従者を打ち殺そうとしたが銃に弾丸がなく、ベルトにはもう弾の入った銃はなかった。


  最後に生き残った従者が銃の無いグリーンを見て拳を振り上げる。


「じゃあな、くそ野郎。お前の金は俺がありがたく使うぜ」


「ぐぇ!!」


  顔面を殴られたグリーンが馬車から転げ落ちた。最後に生き残った従者が「俺は自由だ、もうこれで馬鹿な貴族どものお守りなんで終わりだ!!」と叫ぶが馬車の足元の地面から無数の黒蟻が出現し従者の体を食らい始める。


「う、うぁぁ!! やめろぉ!! 俺は何も悪くねぇ!! あの人質の女を殺したのはグリーンの屑だ!! いやだぁ!! 俺はこれから、自由になるんだぁ!! いやだぁ!!」


  黒蟻達が馬車を包む。馬につながれているベルトや装飾品だけを強酸で溶かし馬はそのまま馬車を置いて走り去っていく。


  「あ、ぁぁ…」


  体中傷だらけで倒れているグリーンは最後の従者の最後を見て言葉が出なかった。

  自分を守ってくれる人間も武器もなく、気づけば黒蟻達に囲まれていた。そして、背後には巨大な黒蟻がグリーンを見下ろしていた。


「ま、まって!! 彼女の事は謝る!! お、俺にできることがあったら言ってくれ!!」


  涙と鼻水を大量に流しながら命乞いの醜い叫びが響く。


「そ、そうだ!! 俺にはこの国で権力も財力もある!! それを全部使ってお前たちと、あの島を守ってやろう!! 俺以外にもあの島を狙っている奴は多い、すでにあの島で手に入れた物はこの大陸中に流れてんだ、いずれまたあの島を誰かが狙うだから…」


  自分を生かせばあの小島を守ることができるか助けろ。と醜い命乞いが続く。

  すでにあの資源が豊富な小島の情報は大陸に知れ渡っておりあの島を植民地にしようと

 する国もいるのも事実だった。放っておけばまたグリーン達が来た時のように惨劇が繰り

 返される。


「「なら、お前の命を使わせろ」」


  巨大黒蟻から二つの重なった声が聞こえた。


「ひぃ!?」


  巨大黒蟻が一歩踏み出しグリーンは後ろに逃げる。


  巨大黒蟻の二つの瞳の奥にはユートとリアがいた。地の神に選ばれたユートと恋人であり

 巫女でもあるリアは地の神の中で生き続けていた。


「「もう、お前たちの好きにはさせない。誰にも僕/私達の故郷を汚させない!!」」


 故郷の島をこの大陸の悪しき者どもから欲望から解放するために戦う決意にグリーンは首

 を横に振り小声で何度もつぶやく。


「いやだぁ、やめて…死にたくない…助けて…」


  グリーンのむなしい命乞いを無視して巨大黒蟻はグリーンを食らう。


「ぎやぁぁ!!」


  巨大な顎が右肩をかみ砕き骨や肉を咀嚼する。グリーンは体の一部を食われて地面に倒れ

 た。


「あぐぁぁl!! いだぃ!! だずげでぇ!! ぼくのからだぁがぁ!! だれはぁ、だれがぁ、だずげ、でぇ…」


 倒れたグリーンの上にのり巨大蟻は腹を裂き胃袋や大腸など内臓も音を立てながら食らっていく。そのまま残された上半身を食らい頭部以外の体を全て食われてグリーンは死んだ。

 

「「終わった…みんな、やっと終わったよ」」


  島を蹂躙した貴族達を屠ることができ巨大黒蟻が曇っている空を見上げた。

 

  「「まだだ、これからだ…」」


  ユートとリアはこの大陸の人間を見て悟った。

  グリーン達への復讐が終わっても自分達の戦いはまだ終わっていない。グリーンが命乞い

 で言っていたとおりに島の情報はこの大陸中に広がってしまっていた。


 腐敗した権力や差別など人々の悪意を消し去らない限り惨劇は繰り返される。


「「まだだ、まだ帰れない…みんなを守るため、戦わないと…」」


 黒蟻と蟻人間により革命に勝利し喜び合う貧民たち見て巨大黒蟻は地面を掘り大地の奥

 へ潜む。残った黒蟻達は絶望に歪んだ表情を浮かべているグリーンの頭部へ集まり体を形成していく。


  ユートと同じように黒蟻で構成された体を手に入れたが目が白く全裸のまま他の蟻人間

 達と一緒に国を出て行く。

 

 復讐を終えた大地の神は次の敵である悪意ある者を駆逐すべく準備を始めた。


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