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蟻が侵略者達を食らい尽くすまで  作者: 未来
3章 北の国へ
26/30

26少女の献身

「ユー、ト…」


  全身に傷とアザだらけのリアは死んだはずの婚約者の姿を見て笑みを浮かべた。

  極寒でろくに食料を与えられず毎日グリーンからの虐待に耐えてきたが彼女の体は限界にきていた。


「おら!! お前の狙いはこの女なんだろ!? さっさとその虫けらと白目向いた気色悪い奴らを下がらせろ!! 今すぐにでもこの女の顔に風穴開けてやるぞ!!」


「くぅ…」


 グリーンはリアの顔に向けて銃口を押し付けて脅してきてユートは顔を歪めて黒蟻達と蟻人間達の動きが止まった。


「あっははは!! 俺はやっぱり神に愛されてんだ!! 誰も俺を殺せる奴なんていない!! これから先ずっと俺は死ぬまで最高に幸福だ!! 」


 グリーンは幸運の女神に愛されていると高笑いして黒蟻達を踏みつぶす。


「おらおら、どうした? 俺を食わないのか? もし俺に噛みついてきたらすぐにこの女殺すからな? 」


 常に銃口をリアの頭に押し当てていつでも撃てるぞとユートに見せつける。リアは白息を吐きながらグリーンに踏みつぶされてしまった黒蟻達を見て涙を流した。


(ごめんなさい…地の神様…私のせいで)


 生まれてからずっと信仰してきた神が自分のせいで犠牲になっていることに悔し涙を流すリア。グリーンは従者たちに金品を屋敷から持ち出すように命令した。


「こんな虫けらだらけの国なんていれるかよ、さっさと馬も用意しろ馬鹿ども!!」


 グリーンの怒声に従者たちは慌てて屋敷の中に入る。


「さぁて、俺はこのままこの女を抱いたままこの国からさよならだ。けど、また追いかけられるの厄介だからな…」


 グリーンは邪悪な笑みを浮かべてつぶやいた。


「そうだな、まずはこの虫けらと白目を向いた奴らを全部火の中に捨てて来い。全部焼け死んだらこの女を解放してやるよ」


「くっ!!」


 ユートは顔を歪ませてグリーンをにらむ。


  故郷である島を荒らしていたレッドとブルー以上に邪悪に染まったこの男だけは生かしてはおけない。だが、グリーンの指はいつでも引き金を引けるようになっていてリアを助けることができない。

 

 地の神と同化したのに大切な人を救えない現実にユートは拳を強く握りしめるしかなかった。


「ユート…もう、いいの…」


 小さな声でリアが笑みを浮かべながら話す。

 自分を助けるために地の神に認められた幼馴染をこれ以上苦しめたくない。リアは大きく口を開きグリーンの腕を力いっぱいに噛みついた。


「いでぇ!! くそ、やめ…」


 腕をかまれた痛みで体に力が入り引き金が動き轟音が起きた。


「リアッ!!!!!」


 リアの頭から小さな風穴と血が噴き出し、グリーンは重くなったリアを地面にたたきつけて捨てて逃げた。


「こ、この女!! 俺の腕を…くそぉ!!」


リアの死体を抱きしめ泣き叫んでいるユートを無視してグリーンは従者たちが用意した馬車に駆け寄る。


「おい、今すぐ馬を出せ!! 」


「え? ま、まってください!! 俺たちはどうなるんですか!?」


「何言ってやがる!! これは俺の馬車だ、お前たちをなんで乗せないといけないんだよ!!」


グリーンは従者たちを見捨てて自分だけ逃げようとしていた。


 リアを失っていつまた蟻達が襲ってくるかわからず恐怖のあまりに従者たちに向け新しい銃を取り出し脅した。だが、今までさんざん奴隷のように顎で使われてきた従者たちは怒りに燃えて銃をグリーンに突きつける。


「ふざけんなよ、このよそ者が!! あの蟻どもが出てきたのはお前のせいだろうが!!」


「お前さえいなければ俺たちはこんな目に合わなくて済んだんだ!! お前が蟻どもに食われてこい!!」


グリーンと従者たちは互いに銃をつきつけ怒声を上げて、そんな彼らの醜い姿を見てユートは地面を殴った。


「あいつらさえいなければ、島のみんなもリアも死ぬことはなかったんだ…あいつらが、この大陸の屑どもが…うぁぁぁ!!」


ユートはグリーン達だけでなくこの大陸に巣くう悪意ある者たちに怒りと憎しみを抱いた。ユートの怒りに答えたのか大地の奥底にいる黒蟻達が地面に大きな穴を空けて現れてユートとリアの体を包みこんだ。


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