21 悪夢
蟻人間たちが国を支配していく中、豪華で温かいベッドの中でグリーンはうなされていた。
「うぅ、はぁ…はぁ…」
夢の中でグリーンは全ての始まりであるあの小島にいた。
「う、うぁぁぁ!! く、くるなぁ!!」
グリーンは夢の中で必死に逃げていた。背後から迫る大量の蟻達が迫りグリーンは浜辺まで走る。途中、蟻に食われてしまった手下達の姿があり彼らはグリーンに向けて助けてと声を上げた。
「グリーン様…だ、だずげでぇ…」
「俺の足が食べられた…いだぃ、苦しいよぉ…」
「全部、お前のせいだぁ…お前たち馬鹿貴族がいなければ、俺たちはこんな目に合わずにすんだのに…」
国から探検隊と言う名の追放を受けた馬鹿三人のために命を落とした手下達は恨みの声を上げながらグリーンを睨む。
「くそぉ…そ、そんな目で俺を見るあぁ!!」
グリーンは手下達の怨嗟のこもった目に恐怖して叫んだ。
手下達は怨嗟の声はやがて一つになり「お前もいずれ、俺たちと同じように食われる」と言い放ちを消した。
「はぁ、はぁ!! くそぉ!! うるせぇ!! うるせぇよ!! お前らは所詮、俺たち貴族に使われる道具なんだよ!! 道具は道具らしく、おとなしく使われろよ!!」
貴族は下の者を好きにして良い。グリーン達貴族は悪しき風習に染まり切っており、平民や他国からも嫌われていた。
レッドは暴力で他人を支配し、ブルーは自分が有利になるために頭を使い他人を騙すことをしてきたため二人が小島で死んだ事を聞き平民たちは喜んでいたのをグリーンは知らなかった。
蟻達から逃げ続けてグリーンは浜辺に浮かぶ小舟を見つけ飛び乗った。先に小舟に乗り込んでいた手下達に大船まで急いで焦げと命令し小舟は小島から離れていく
浜辺には大量の蟻達がおり、取り逃がしたグリーンを見て黒い絨毯が波を打って動いていた。
「やった!! はぁ、はぁ…これで俺は国に戻って自由だ…」
希少な鉱物や資源を独占し国に貢献すれば自分の地位は安泰だと笑みを浮かべた。女も食い物も全て思いのままだと高笑いするが大船から大砲の弾丸が発射されて小舟の傍で爆発した。大きな水柱が立ち小舟が大きく揺れグリーンは必死に小舟にしがみつき、大船に向け叫んだ。
「やめろぉ!! 俺が乗ってるんだぞぉ!! 打つなぁ!!」
大船に向け叫ぶが砲撃は止まない。かつて、蟻を大船に入れないように小舟に乗っていた手下達を処分したように今度はグリーンも処分されようになっていた。
「うぁ、助けて!! 助けてぇ!! うぁぁぁ!!」
砲撃の嵐に晒されてグリーンは泣き叫ぶと砲弾が小舟に当たりグリーンは海に沈んだ。
「ごぼぉ!! げぼぉ!!」
グリーンは急いで泳ぎ海面から出ると大船が帆を張りグリーンから離れていく。
「おい!! 俺を置いていくなぁ!! 助けろぉ!! 裏切者どもぉ!!」
かつて見殺しにした手下達と同じセリフを吐くグリーン。
大船がどんどん離れていき、グリーンは夢の中なのに「たすけぇ、死にたくない、こんな所で死にたくなぃ…」と泣き叫んだ。
船に向かって必死に手足を動かし無駄だと分かっていても船に向かって必死に泳ぐが、グリーンの足を何かがつかみ海の中に引き込まれる。
「ご、ごぼぼ!!」
海中に引きずり込まれたグリーンは自身の足をつかんでいる物を見て一瞬心臓が止まった。
(ひぃ!!)
グリーンの両足を掴んでいるのは既に蟻に食われて死んだレッドとブルーだった。
「おい、俺が蟻に食われた時、なんで助けてくれなかったんだよ」
「この裏切り者が僕らの手柄を全て横取りして…」
二人は怨嗟の声をあげてグリーンの足を離さない。
(は、はなせぇ!! やめろ!! 息がぁ、息がぁ!!)
グリーン本人は夢の中だと気づいておらず死の恐怖で失禁をしていた。
過呼吸になり本当に海に沈んでいる現実感がより悪夢を深くしていく。
(いきだぃ!! 死にたくなぃ!! 頼む、なんでもするから手を離してくれぇ!! 俺は死にたくない!!)
心の中でグリーンは必死に抵抗しながらレッドとブルーに何度も心の中で情けなく命乞いをした。だが、レッドもブルーも決してグリーンの足を離さず虚ろな目をした二人はグリーンを見て叫ぶ。
「「お前だけは絶対に殺してやる、この裏切り者」」
二人の体から蟻達が湧き出てグリーンの体を食らい始める。
全身の皮膚を食らいつくされて骨が露出し、さらに下にある波打つ心臓や不気味な色をした胃袋や肝臓などの内臓が露出していく。
「げぼぉ!! がばぁぁ!!」
海の中でおぼれながらグリーンは自分の体が蟻に食われるのを見て悲鳴を上げながら叫ぶしかなかった。
蟻達の強靭な顎が内臓をまるで柔らかいトマトのようにかみ砕き、食らった獲物をしとめる強酸が骨を溶かしグリーンの体は蟻達に食われて消えてしまった。




