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第2話 研究対象とお友達

 学校からの帰り道。

 薄暗くなった街を歩いていると、聞き覚えのある声が背後から響きました。


「エス」


 振り返るとキュラドがいました。昨日と同じように、何事もなかったかのような顔で立っています。SPは思わず肩を揺らしましたが、逃げ出すことはありませんでした。


「今日は不届き者に絡まれていないな」

「う、うん……おかげさまで……?」


 昨日の出来事を思い出し、SPは曖昧に頷きました。助けてもらったことには感謝しています。けれど、あのときのキュラドの姿を思い出すと、今でも少し怖くなってしまいます。

 キュラドはそんなSPの様子を気にする風もなく、いつもの調子で話を続けました。


「では、そろそろ俺の研究に付き合う気になったか?」

「……えっと、あの……け、研究とかは……よ、よくわかんないし……い、嫌……かも」


 SPは俯きながら、途切れ途切れに答えました。

 研究と言われても、何をされるのかさっぱりわかりません。昨日までの出来事を思い返せば、簡単に頷く気にはなれませんでした。

 それでも、はっきりと拒絶を突きつけるのもためらわれます。結局、最後は小さな声になってしまいました。


「そうか……」


 キュラドは短く呟くと、口を閉ざしました。

 いつもなら、すぐに次の言葉を重ねてくるところです。けれど、今は何も言わず、ただSPを見つめています。

 その沈黙に耐えきれず、SPは落ち着かなげに制服の裾を弄びました。

 SPはちらりとキュラドの顔を窺いました。彼の表情からは、何を考えているのか読み取れませんでした。

 けれど、SPはそこで会話を終わらせることなく、ためらいがちに口を開きました。


「でも、ね……い、いろいろ、き……聞きたいこと、ある……よ……」

「聞きたいこと? いいだろう。なんでも答えてやる」


 キュラドはすぐに応じました。

 SPは少しだけ迷ったあと、カバンの中から一枚のメモを取り出しました。そこには、昨日から気になっていたことがいくつも書き留められています。

 メモに目を落とし、SPは最初の質問を読み上げました。


「吸血鬼って……本当なの?」

「一応そう名乗っているが……より正確に答えるならば『分からない』と言うべきだろう。吸血鬼のような性質を持っているが、本当に吸血鬼かどうかを証明する術がない」

「わ、分からないって……」


 SPは思わず聞き返しました。自分が吸血鬼なのかどうかも分からない。そんな答えが返ってくるとは思っていなかったのでしょう。


「確実に言えることは、俺は人間の形をした、人間ではない何かだ」

「そ……そう、なんだ……」


 SPはメモを握ったまま、キュラドを見上げました。

 やっぱり目の前の男は得体のしれない何か怖いものらしい。そう思うと、次の質問を口にするのにも少し勇気が要りました。それでも、SPはメモに目を落とし、気になっていたことを尋ねます。


「じゃあ……なんで、わ、我のこと、気にするの……?」

「お前に興味が湧いたからだ。自覚がないとは言わせん」


 キュラドは迷いなく答えましたが、SPはすぐには返事をしませんでした。メモを見つめ、指先で紙の端をそっと押さえます。

 どこかでSPは気付いていました。彼が自分なんかを気にする理由は、間違いなくあの力のことです。

 SPにとっては、できることなら話題にしたくないものでした。けれど、キュラドにとっては違うのでしょう。


「サイコキネシス……」


 小さく呟いた言葉は、風のざわめきに紛れそうなほどでした。


「ああ、そうだ。それだ。魔術ではない何か、超能力と呼ばれる類のものだろう」


 キュラドはSPの呟きを拾い、はっきりと肯定しました。

 SPはメモを握る手に、わずかに力を込めました。


「……ごめん。帰る」


 SPは俯き、小さな声でそう告げました。

 これ以上、この話を続けていたくありませんでした。メモにはまだ質問が残っています。それでも、今はもう何も聞きたくありませんでした。


「どうした? まだ何か聞きたいことがあるのではないか」


 キュラドは不思議そうに問いかけました。先ほどまで質問に答えていたときと、声の調子は変わりません。

 SPは返事をしませんでした。メモをカバンにしまうと、キュラドの横を通り過ぎ、そのまま歩き始めます。

 いつもなら、これで終わりです。相手が追いかけてこなければ、そのまま帰ることができるはずでした。

 しかし今日のキュラドは違いました。


「待て、エス」


 声が届くと同時に、キュラドがSPの前へ回り込みました。

 突然進路を塞がれ、SPは足を止めます。目の前に立つキュラドを見上げました。


「一つだけ聞け。帰るのはそれからだ」


 キュラドの言葉に、SPは力なく首を横に振りました。

 これ以上、何も話したくない。もう帰りたい。それだけなのに、目の前の彼は簡単には引き下がってくれそうにありません。


「いいや、今日は無理矢理にでも話を聞いてもらうことにする。聞いた上でどうするかは、お前次第だ」


 キュラドの口調は有無を言わせない迫力がありました。SPが何か反応を示す前に、彼は語り始めます。


「俺は人間を知らない。個として認識したのは、エス、お前が初めてだ」


 SPは顔を上げました。

 言葉の意味をすぐには理解できず、SPは戸惑ったようにキュラドを見つめます。


「俺は、俺を救ってくれたお前に興味が湧いた。お前の力に興味があるのは否定しないが、それ以上に、エスという個体に興味が湧いている」


 SPは視線を揺らしました。彼が自分の力に興味を持っていることは、もう分かっていました。だからこそ、こうして話を聞くのも怖かったのです。

 けれど、今の言葉は、SPが予想していたものとは少し違っていました。


「サイコキネシスの研究をさせてくれ、エス」


 キュラドはSPの返事を待ちます。自分の望みを曲げるつもりはない。それでも、引き受けるかどうかまで自分が決めるつもりはないようでした。

 SPはすぐには答えられず、ただキュラドを見つめていました。


「さ、サイコキネシスは……いい、力じゃ……ない、よ……」


 SPは俯き、途切れ途切れに言葉を紡ぎました。


「……それは、お前の様子を見ていれば分かる。代償もあるようだからな」

「そうじゃなくて……違うの……わ、我は……この力が、き、嫌い、なの……」


 SPの声が震えました。

 キュラドは自分の力に興味を持っている。けれど、SPにとってその力は、興味や研究の対象として簡単に語れるようなものではありませんでした。


「それは……何故だ?」


 問いかけを受けたSPは、唇を引き結びました。

 答えようとしたのか、それとも言葉を飲み込もうとしたのか。小さく開いた口からは、すぐには何も出てきません。

 やがて、SPの目からは涙がこぼれていました。


「ひとを……き、傷つけるから……」


 キュラドはしばらく何も言いませんでした。

 ただ、目の前で涙を流すSPをじっと見つめていました。いつものように迷いなく言葉を返すことも、すぐに次の質問を投げかけることもありません。

 やがて、キュラドはゆっくりと手を差し出しました。

 SPの顔に触れようとして、ほんの一瞬、動きが止まります。ためらうような間を置いてから、彼は指先でSPの頬を伝う涙をそっとぬぐいました。


「お前にとっては人を傷つける力であっても、俺にとっては、この俺を救ってくれた力だ……ということを、覚えていてくれ」


 その声は、いつもの尊大な響きを残しながらも、静かなものでした。

 SPの頬には、まだ涙の跡が残っています。

 二人の間には、同じ力をまったく違うものとして捉える、埋めがたい隔たりがありました。

 キュラドは外套を翻し、SPに背中を向けました。


「……気を付けて帰れ。夜道は危ないからな」


 先ほどまでSPの涙をぬぐっていた手は、もう離れています。キュラドはそれ以上何も言わず、静かに立ち去ろうとしました。

 その背中を見て、SPは思わず顔を上げました。


「ま、待って……」


 引き止めるつもりなどなかったはずなのに、気が付けば声が出ていました。

 キュラドはピタリと立ち止まりました。ゆっくりと振り返り、SPへ視線を向けます。


「……あの、ね……キュラド……」


 SPは言いよどみました。涙の残る目を伏せ、制服の裾をぎゅっと握ります。自分から呼び止めておいて、なかなか続きを口にできません。

 それでも、意を決して顔を上げました。


「お、おうちまで……送ってって……?」

「……は?」


 キュラドは思わず目を見開き、唖然とした様子でSPのことを見つめていました。


 *


 二人は並んで歩きながら、ゆったりと会話をしていました。

 先ほどまで涙を流していたSPも、少しずつ落ち着きを取り戻していました。隣を歩くキュラドをちらちらと窺いながら、歩調を合わせて歩いています。


「確かに夜道は危ないと言った。だがこの俺をボディーガード代わりにするとは、恐れ入った」


 キュラドはどこか困惑したように言いました。自分から送っていくと申し出たわけでもないのに、いつの間にかSPの帰り道に付き合うことになっています。


「だ……だって、キュラド、こ、怖いけど……でも、やさしいし……」

「甘い、甘いぞエス。そのような隙を簡単に見せてはいけない。また昨日のような不届き者に狙われるぞ」


 キュラドの声には、先ほどまでとは違う、呆れ混じりの調子がありました。


「でも、キュラドが助けてくれたし……」

「俺を当てにするな」


 即座に返された言葉に、SPは口をつぐみました。

 キュラドは前を向いたまま歩き続けています。


「あ、おうち、ここだから……」


 SPが足を止め、目の前の建物を指し示しました。


「こんなに近かったのか」


 キュラドは少し意外そうに建物へ目を向けました。ここまで歩いてきた時間を思い返しているのか、周囲を一瞥してからSPへ視線を戻します。


「が、学校の寮……だし……ね」


 SPはもじもじとしながら答えました。


「……まあいい。俺は帰るからな」


 キュラドはそう言うと、帰り支度をするように外套を翻しました。


「う、うん……。送ってくれて、あの、あ、ありがとう……」

「……フン、不用心なのか用心深いのか分からんな」


 キュラドは皮肉混じりに呟きました。

 SPは少し困ったように視線を落としました。怖がっている相手に自分から送ってほしいと頼むのは、確かに矛盾しているのかもしれません。それでも、彼なら大丈夫だと思ったのです。


「……あとね、キュラド」


 呼び止められ、キュラドは足を止めました。


「ん?」


 SPは制服の裾をぎゅっと握りました。伝えたいことは決まっているはずなのに、いざ口にしようとすると、途端に言葉が出てこなくなります。


「け、研究……とかは、よ、よくわかんないし、まだ、抵抗ある、けど……でも……」


 そこまで言って、SPは一度言葉を切りました。

 SPはためらいながらも、顔を上げました。


「お友達から……は、はじめてみよっか……」

「お友達、だと……?」


 キュラドは意外そうに聞き返しました。

 SPは緊張した面持ちで、彼の反応を窺っていました。


「いいか、エス。俺は、人の血を啜り、魔術を使役し、吸血鬼を名乗る恐ろしいバケモノだ」


 キュラドの言葉は、目の前の少女が口にした言葉の意味を、今一度確かめようとするかのようでした。


「う、うん」

「そんな存在と、人間であるお前が、お友達だと?」


 キュラドは納得がいかない様子で問い返します。


「……だ、だめ……かな……?」


 SPは不安そうにキュラドを見上げました。

 断られたらどうしよう。そんな緊張が、ためらいがちな声にも表れています。


「…………」


 キュラドはしばらく考え込むような素振りを見せました。

 SPはじっとその様子を窺っています。やがてキュラドが口を開くと、緊張した面持ちで顔を上げました。


「……いや、悪くないな。いいだろう、まずはお友達だ。そしてゆくゆくは研究対象に……」

「そ、それって……関係、悪化してない……?」


 SPがすかさず突っ込むと、キュラドは口元を大きく吊り上げました。


 *


 翌日、終業のチャイムが鳴り、放課後になりました。

 一日の授業を受けた疲れはあったものの、SPの足取りはどこか軽いものでした。


「エス」

「キュラド……」

「ようやくお帰りか。学校という場所は大変だな」

「う、うん……疲れるよ……」


 SPが頼むまでもなく、キュラドが申し出るまでもなく、二人は昨日と同じように並んで歩き始めました。

 SPは鞄からメモを取り出しました。昨日は途中でやめてしまいましたが、まだまだ聞きたいことはたくさんあります。


「あの、な、なんで、倒れてたの……?」


 不意に尋ねられ、キュラドは口を閉ざしました。

 ほんのわずかな沈黙のあと、少し言い淀みながらも、素直に答え始めます。


「研究に夢中になっていて、血を摂るのを忘れていたんだ。それで力尽きてあのザマだ」

「ええっ……?」


 SPは目を丸くしました。

 昨日までのキュラドは、得体が知れず、威圧感があって、何を考えているのかも分からない相手でした。しかしそんな彼が倒れていた理由は、拍子抜けするほど間抜けな話だったのでした。


「だが都合よく目の前に血を流した人間が現れた。まったく……エスがいなかったら俺はどうなっていただろうな?」


 キュラドはどこか他人事のように笑いました。


(ああ、じゃあ……あの時のアレは、キスじゃなくて……血を飲んでただけなんだ……)


 SPはメモに書かれた「あの時のキスは何??」という一文をちらりと見やり、乾いた笑いを漏らしました。


「血を摂るのを、わ、忘れるくらい、没頭しちゃうんだ……研究……」


 SPは視線を泳がせながら尋ねます。


「昼夜を忘れ、寝食を忘れてしまうほど没頭したのは……あれが初めてだ。迂闊だった……」


 キュラドはわずかに眉を寄せ、反省するように呟きました。


「ふふっ……キュラドって、ほ、本当に、研究が好きなんだ……」


 SPの口元に、くすりと笑みが浮かびました。

 昨日までは、彼の言動に戸惑ったり、怖がったりすることばかりでした。けれど、研究の話をするキュラドからは、普段の威圧的な態度とはまた違う一面が垣間見えます。


「当然だ。知の探求こそこの俺に課せられた使命。この俺の永遠とも言える時間を使って、いずれこの世の摂理を解き明かしてみせるさ」


 キュラドは胸を張り、誇らしげに言い切りました。その声には揺るぎない自信があり、語る言葉の一つひとつに、研究への強い情熱が滲んでいました。

 キュラドはSPの反応を窺うように、視線を向けました。


「……どうだ、俺の研究に協力する気になったか?」

「うーん、それは……ちょっと……」


 SPは困ったように視線を泳がせました。彼の研究への情熱は伝わってきましたが、だからといって、得体の知れない研究に抵抗がなくなったわけではありません。


「ふむ、それは研究に対する恐れか、それとも、やはりサイコキネシスへの忌避感か?」


 キュラドは考えるように顎に手を添え、問いかけました。


「……ど、どっちも、かな。う、うまく、使えなくて、暴走……しちゃうから……」


 SPの声は次第に小さくなりました。言葉を口にするにつれ、手元のメモへと視線が落ちていきます。


「力の暴走、なるほど。では暴走させない為にも、力のメカニズムについて根本的に調べる必要があるな……」


 キュラドはSPの言葉を受け止めると、早くも研究の方向性を考え始めたようでした。


「……えっ……そ、そんなこと、できる、の……?」


 SPは驚いて顔を上げました。自分ではどうにもできないと思っていた力に、何か手立てがあるのかもしれない。そんな可能性を、すぐには信じきれない様子でした。


「出来ると断言はしない。出来るかもしれないし、出来ないかもしれない。だが、それは調べてみないと分からない」


 キュラドは静かにSPを見つめました。先ほどまで弾んでいた声が、わずかに低くなります。外套の裾が歩みに合わせて揺れる一方で、彼の視線だけはSPから離れませんでした。


「エス、未知の物事は、例え吸血鬼であっても怖いものなのだ。だから俺は、研究する手を止めない。……俺という存在は、お前が思っている以上に臆病なのだよ」


 SPは返事をしようとして、唇をわずかに開きました。けれど、声にはなりませんでした。

 キュラドの言葉が、胸の奥に引っかかっています。

 目の前にいるのは力を持ち、不遜に振る舞い、人なんか簡単に殺せそうなバケモノです。でも、彼の中にも恐れがあるのだと知ると、これまでの印象が少しずつ形を変えていきます。

 SPは隣を歩くキュラドを見ました。彼の横顔はいつもと変わらず尊大でしたが、先ほどの言葉だけが、静かに心へ残っていました。


「……ち、力のことも、知れば……こ、怖くなくなる……?」


 SPはおそるおそる尋ねました。視線は落ち着かず、足元とキュラドの顔を行き来しています。


「保証はしないが、やってみる価値はあるだろう」


 キュラドの返答は、決して無責任な希望を持たせるものではありませんでしたが、可能性を否定することもありませんでした。

 SPは足を止め、鞄の紐をぎゅっと握り締めます。


「……エス?」


 隣を歩いていたSPが立ち止まったことに気づき、キュラドも足を止めました。


「……キュラド」


 呼びかけると、キュラドは黙ってSPを見つめました。急かすことも、問いただすこともありません。ただ、SPが言葉を選ぶ時間を待っています。その沈黙に支えられるように、SPは小さく息を吸いました。


「こ、怖いものは、ない方が……いいもんね」


 その言葉を聞いた瞬間、キュラドの目がわずかに細められ、そして静かに口元が上がりました。


「……承諾と受け取るが、良いか?」


 SPはゆっくりと頷きました。


 そこからは、凄まじいスピードでした。

 キュラドはSPの返事を聞くなり、すぐさま「よし」と頷き、次の瞬間にはSPの手を掴み、何かの魔術を展開し始めます。


「え、えええ、え、え?」


 突然のことに、SPは目を白黒させました。つい先ほどまで二人で並んで歩いていたはずなのに、何が起きているのか理解する間もありません。

 キュラドの足元から魔術が発動し、周囲の景色がぐにゃりと歪みました。視界が揺らぎ、見慣れた道の風景が形を失っていきます。

 そして、次にSPが気付いた時には、そこはもう見知らぬ場所でした。


「こ……ここ……」


 SPは呆然と周囲を見回しました。


「そうと決まればすぐに研究だ。ようこそ、我が城へ」

「……し、城……?え、えええ……?」


 周りを見渡すと、ここは壁も床も冷たい石で造られており、長い年月を経たようなひび割れや染みがあちこちに残っています。窓は無く、辺りは薄暗い闇に包まれていました。

 壁際には古びた燭台が並んでいました。そこに灯る小さな炎だけが、周囲をかろうじて照らしています。


「さあ、研究室へ行くぞ。ついて来い」


 キュラドはSPの手を離すと、何事もなかったかのように歩き始めました。


「ちょ、ちょちょ、ちょっと……ま、待って……!? こ、心の、準備が……! や、休ませて……!」


 SPは慌てて後を追いかけます。けれど、足は動いても気持ちはまったく追いついていません。


「なに、茶でも出してやる。お前が飲んでいるうちに準備を進めておくからな」


 キュラドは歩調を緩めることもなく、淡々と答えました。


「そ、そんなの……む、むちゃくちゃだよ!……て、ていうか……か、か、帰らせてぇえええ……!!」


 SPの悲鳴が、薄暗い城の中に響き渡ります。

 キュラドはSPの叫びを気にする様子もなく、研究室へ向かって歩き続けました。



平日21時は「エスパー少女と吸血鬼」

土日は「VAMPIRE ON AIR !!」を更新していきます!

「このキャラのここが好き!」「ここが可愛い!」などありましたらぜひ教えてください!


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