表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『俺だけデスビーム』 ~剣も魔法もいらないので世界最強です~  作者: もかどら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/93

第68話 最後の試練の塔

天を貫く白亜の塔。


それは圧倒的な存在感を放っていた。


雲を突き抜け。


空を裂き。


まるで世界の中心に突き刺さる槍のようにそびえ立っている。


騎士たちは言葉を失っていた。


セリナも呆然としている。


ガルドでさえ目を見開いていた。


これほどの建造物を見たことがない。


王城など比較にもならない。


神話の時代の遺産。


それが一番しっくりくる表現だった。



しかし。


少女は違う意味で青ざめていた。


「嫌な予感しかしない」


本気だった。


冗談ではない。


本気で嫌そうだった。



零司が首を傾げる。


「どうしたんです?」


「塔の最上階」


「はい」


「見た?」


「何をです?」


やっぱり見えていない。


少女は額を押さえた。



実は。


塔の最上階。


ほんの一瞬だけ。


白い装甲の男が映っていた。


玉座に座り。


足を組み。


優雅に微笑む姿。


見間違えるはずもない。


フレージだった。



もちろん。


零司ではない。


だが。


少女は知っている。


あれは非常に面倒なパターンだ。



「アーク」


『何だ』


「塔の管理人格生きてる?」


数秒。


沈黙。



『まさか』


アークが答える。


『とっくに消滅した』


少女は空を見上げた。


「なら余計に嫌だ」



ガルドが話についていけない。


「何の話だ?」


少女は答える。


「もし塔が勝手に動いてるなら」


そこで言葉を切る。


そして。


嫌そうに続けた。


「フレージの悪戯」


森が静まり返った。



管理者会議の連中が顔を覆う。


老人も顔を覆う。


女性管理者も顔を覆う。


アークだけが空を見上げていた。


現実逃避だった。



「ちなみに」


ボルグが聞く。


「悪戯だとどうなる」


少女は即答した。


「最悪」


「具体的には」


「最悪」


説明になっていなかった。


だが。


全員理解した。


本当に最悪なのだろう。



その時。


巨大な塔の入り口が開く。


ゴゴゴゴゴ……


重い音が響く。


高さ五十メートルはある巨大な門。


その奥は暗闇だった。


何も見えない。


だが。


確実に何かが待っている。



アークが口を開く。


『試練は三つ』


空中に文字が浮かぶ。


第一試練。


力。


第二試練。


知恵。


第三試練。


真実。



「普通ですね」


零司が言った。


管理者たちは顔を見合わせた。


誰も返事をしない。



少女が小さく呟く。


「普通じゃ終わらないんだよなあ」



零司たちは塔へ向かう。


ガルド。


セリナ。


ボルグ。


騎士団。


そして少女。


全員で門をくぐる。


その瞬間だった。



景色が変わる。


塔の内部。


のはずだった。


しかし。


そこに広がっていたのは巨大な草原だった。


青空。


草原。


花畑。


平和そのものの風景。



「外だぞ?」


ガルドが困惑する。


「いや」


セリナが周囲を見る。


「魔力反応は塔の中」


つまり。


空間が捻じ曲げられている。


神話級の技術だった。



その時。


草原の中央に光が集まる。


人影が現れる。


白いローブを纏った老人だった。


長い髭。


穏やかな顔。


いかにも賢者という姿。



老人は零司たちを見る。


そして。


深く頷いた。


「ようこそ」


優しい声だった。


「第一試練へ」



ガルドたちが警戒する。


しかし。


老人は敵意を見せない。


むしろ親切そうだった。



「試練は簡単です」


老人は微笑む。


「この世界で最も強い者を倒してください」


全員が周囲を見る。


誰もいない。



「どこにいるんだ?」


ボルグが聞く。


老人は答える。


「そこです」


そして。


零司を指差した。



森……ではなく草原が静まり返った。


ガルドが固まる。


セリナが固まる。


ボルグが固まる。


騎士団が固まる。


少女だけが空を仰いだ。



「ほら来た」


心底嫌そうだった。



その頃。


空の裂け目の向こう。


管理者会議では。


アークが机に突っ伏していた。


『やっぱりフレージの悪戯だ……』


誰も否定しなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ